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【ペット市場2020】ペットの家族化で拡大する世界・日本のペット市場はこれからどうなる?

こんにちは。ペットテックスタートアップ、PETOKOTO代表の大久保です。ツイッターもぜひフォローください!Clubhouseは「tai3961」で。元保護犬でコーギーのコルクと暮らしています。「人が動物と共に生きる社会をつくる」をミッションに掲げ、信頼ある情報やモノを提供し、データを通してパーソナライズに提案するプラットフォームを展開しています。
保護犬猫のマッチングサイト「OMUSUBI」、ペットライフメディア「ペトこと(PETOKOTO)」、フレッシュカスタムドッグフード「PETOKOTO FOODS」を運営しています。

日本では犬や猫の飼育頭数が15歳未満の子どもの数を上回るほど、犬や猫とのライフスタイルが「マイノリティ」ではなく「マジョリティ」となっています。現在のペット市場を統計レポートを元にスタートアップとして実際にビジネスを展開する当事者の目線で解説したいと思います。
また、コロナウイルスの影響で、postコロナからwithコロナの時代が現実味を増す中、ペット市場も変化をしていくことが考えられます。そのため、統計レポートの見込みも変化することを前提に主観も踏まえて話したいと思います。

※最新版2021年のペット市場トレンドも執筆しています。是非ご覧ください。

参照レポート
・矢野経済研究所 2020年版 ペットビジネスマーケティング総覧
・Passport The World Market for Pet Care
一般社団法人ペットフード協会 全国犬猫飼育実態調査
アニコム損害保険株式会社 ペットにかける年間支出調査
アニコム損害保険株式会社 家庭どうぶつ白書
・MONROE SCOOP PET FOOD MARKET AUGMENTED EXPANSION SIZE BE REGISTERED BY 2025

1. グローバルのペット市場

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Passportが発行する「THE WORLD MARKET FOR PET CARE」のレポートによると、ペットケア市場は全世界で1,250億ドル(13兆円ほど)の規模と安定的に成長を続けています。
要因として、飼育頭数と年間支出額の増加があります。前者は、発展途上国を筆頭に経済成長により中間層が拡大し、可処分所得が増加したことで飼育頭数が増加しています。後者は、獣医療の進化に伴い寿命が続伸し、ペットが家族同然に育てられる「ペットの家族化」により年間平均支出額が増加しています。

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内訳別に見ると、ドッグフードが最も大きなカテゴリで全体の43%の5.8兆、ペット製品が全体の30%の4.0兆、キャットフードが全体の24%の3.3兆、その他ペットフードが全体の3%の0.4兆となります。

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地域別にはアジアが最も成長率が高く、その中でもドッグフードの成長率はCAGR13%となっています。

■内訳別にみる
ペットフードマーケット

世界のペットフードマーケットは2024年に980億ドルまで成長すると見込まれています。地域別には、2025年までアジア、中東、南米のマーケットが成長しており、タイプ別には人間も食べられる冷凍フードの市場が成長しています。
コロナウイルスの影響で、トイレットペーパーの買い占めが起きたように、ペットフードの買い占めがアメリカでは起きているようです。家族化が進むからこそ、なくてはならない食への不安が増大しているのでしょう。また現在国内のペットフードは輸入が8割を占めますが、サプライチェーンの影響で在庫切れのフードが目立っている状況です。

■大きなトレンド
1. デジタルを活用した消費者との関係性の変化

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従来のペット産業は、メーカー>卸売>小売のモデルが一般的でした。しかし、インターネットの隆盛からソーシャルメディアへと進化し、誰でもいつでもどこでも、直接的に消費者と関係性を構築することが可能となりました。

Amazonを筆頭とした通販モールや、BASEなどのネットショップサービスの登場より、ペット産業のEC化比率は成長を続け、ニッチな製品を個人で販売することが可能となってきたことも特徴です。グローバルでのペットEC化率は2023年までに26%に成長すると見込まれています。ペット産業では2019年にChewyがIPOを果たしました。Amazon一強ではなく、カテゴリを絞ってフォーカスすれば勝ち筋があることが分かります。

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直近では、D2C(Direct to Consumer)というメーカーから消費者までの全ての関係性が一本で結ばれ、データを通して最適化されるモデルがペット産業でもトレンドとなりつつあります。このオンラインを活用したモデルはスタートアップが得意な領域であり、Bark&Co.やFarmer's Dogなどのスタートアップが成長しています。

統計レポートを見ても大企業よりも成長率でスタートアップが上回っており、フードやグッズのカテゴリで市場をディスラプトしていることが伺えます。

2. サービスやモノのプレミアム化

ペットの家族化により、人間の健康意識が高まるにつれ、犬や猫に対しても健康意識が高まっています。

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フードにおいても、自然食材を使用した低温加熱の冷凍フードやエアドライフードなど、食事の価値観が変化しています。エサという価値観からご飯という価値観に変わっているのです。また、データを用いたカスタムフードの需要も拡大しています。
暮らし面でも、住まい、アウトドア、電気、自動車まで幅広いペットライフ経済圏が拡大しています。今後、犬や猫のGPS/生体トラッキングIoTデバイスが汎用化することで、獣医療や保険サービスの拡充も期待されています。

2. 日本国内のペット市場

市場規模(内訳)

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ペット関連総市場の市場は前年比101%で堅調な伸びを続けており、2018年 約1.5兆円の規模から2021年には約1.6兆円に増加すると見込まれています。内訳別に成長を牽引しているのはペットフードで、2018年約5,200億円の規模から約5,800億円まで成長しています。

市場規模は計算式にすると、
「市場規模=飼育頭数 × 年間平均支出額(ARPU)」
に当てはまりますので、次は飼育頭数について見ていきましょう。

■飼育頭数の推移

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2011年からの全体頭数推移ですが、2011年の約2,154万頭から2018年時点では約1,855万頭と14%減少しています。この原因は内訳にあり、犬が減少し、猫が増加しています

犬の飼育頭数が2011年は約1,193万頭で2018年は約890万頭と、26%も減少していることが分かります。対して、猫の飼育頭数は2011年は約960万頭で2018年は約965万頭と微増しています。ただし、2015年には約928頭まで減少しているため、その意味では急増傾向と言えます(猫ブームという所以です)。

では飼育意向は変化しているのでしょうか?

◇飼育意向の推移

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飼育意向率の推移ですが、全年代で見て犬は23.2%から20.5%まで減少しています。中でも30-40代に比べ、20代、50-60代の下がり幅が大きく50代では5.1%も減少しています。

一方、全年代で見て猫は16%から15.5%と微減しています。こちらも同様に20代、50代で減少しているものの、60-70代は増加しており、犬に比べて育てやすいことも大きなポイントかもしれません。

では、ペットの飼育意向を阻害している要因は何なのでしょうか?

◇ペットの飼育阻害要因

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犬の飼育の阻害要因で最も多いのが「旅行などの外出がしづらくなる」という時間の制限でした。次に「別れがつらいから」という心のハードルや、「ペット不可物件」という環境面、「お金がかかるから」という経済面がありました。

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猫の飼育の阻害要因で最も多いのが「ペット不可物件」という環境面、「旅行などの外出がしづらくなる」という時間の制限でした。次に「お金がかかるから」という経済面、「別れがつらいから」という心のハードルがありました。

どちらも似ていて、今後飼育意向率を増加するためには環境面、時間の制限の解決が現実的で、育てやすいハード・ソフト含めた環境面の整備が必要だと言えます。その上で、責任と覚悟を持って犬や猫のことを理解してから迎えることが必要であることは言うまでもありません。

※参考記事(ペトこと)
【最新犬種ランキング2020】フレブル人気は日本だけでなくアメリカでも!? 小型、中型、大型犬別に紹介

■年間平均支出額の推移

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飼育頭数の推移の次に年間支出額の推移です。アニコム損害保険株式会社が毎年発表している「ペットにかける年間支出調査 2019」によると、年間支出額は犬が約30.6万円、猫が約15.8万円となっています。

では、2008年から2019年の11年での推移の変化を見ていきましょう。

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収集項目が同一ではなかったため、サプリメント、防災用品、交通費、光熱費を除くと、2008年の20.6万円から2019年の27.6万円と34%増加していることが分かります。

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その中でも、成長率が大きいカテゴリは、ペット保険、遊べる施設、病気やケガの治療費となっています。このことから「健康意識の高まり」と「人間と同じ生活スタイルの確立」が支出額を増加している要因だと考えられます。

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続いて、猫も見てみましょう。こちらも収集項目が同一ではなかったため、サプリメント、しつけ・トレーニング、遊べる施設、防災用品、交通費、光熱費を除くと、2008年の10.6万円から2019年の13.8万円と32%増加していることが分かります。

整理すると、犬や猫との暮らしが家族同然になっている「ペットの家族化」が進むことで、犬や猫にかけるお金が増えていることが伺えます。

3. withコロナを踏まえた今後のトレンド

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ペットの家族化により、犬や猫との暮らしはライフスタイルの一部となっています。ペットと泊まれる宿の増加に伴う旅行・お出かけの需要が増加し、ペットツーリズムという言葉も生まれています。インバウンドが停滞し何年かは続くことが予想されるので、新たな集客源としてペットツーリズムが注目されてくるでしょう。

また、これにより周辺市場である、移動関連市場(飛行機や新幹線などの交通機関、自動車など)や、アウトドア関連市場(キャンプ、登山など)が成長しています。自動車に関しても若年層の「所有から共有」の価値観の変化により、今後はレンタカーやカーシェアリングの市場もペットへの進出が見込まれます。

また、暮らしという観点で見ると、電力・ガス、不動産・賃貸、リフォーム、インテリアなどの市場も関連市場と言えます。実際に東京電力は見守りサービス「ペットみるん」を提供開始していました。

整理すると、獣医療やフードなどの直接的なペット市場1.5兆円を超えて、関連した経済圏がペットの家族化により生まれています。この市場を私たちPETOKOTOは「ペットライフ市場」と呼んでいます。

◇減少が見込まれる市場
・旅行、移動関連
行動の規制が再開すると、旅行や移動関連市場は縮小すると考えられます。しかし、落ち着いて規制がなくなった場合、GOTOトラベルキャンペーンを始めとして短中長距離の移動は回復してくるため、ペットツーリズムの市場が形成されてくるでしょう。

◇増加が見込まれる市場
・オンラインメディア、ネット通販の利用(ペットテック製品の利用)
コロナ以前のトレンドでもありますが、ホームセンターなど従来の店舗利用の減少が見込まれることから、一層オンラインを活用した情報収集、購買が増加すると考えられます。ペット産業はオフライン中心のモデルでしたが、DX(デジタルトランスフォーメーション)の転換期にもなるチャンスであり、オンラインとオフラインが融合するOMOが推進していくでしょう。そうすることでペット産業の体験価値の向上が期待できます。

・犬や猫の飼育頭数
在宅時間が増え、犬や猫を育てられる環境になったことで、飼育頭数の増加が見込まれます。実際にペットショップの購入が増加していたり、弊社が運営する保護犬猫マッチングサイト「OMUSUBI」も応募数が増加している背景があります。一方で、ペットショップの購入を通してきちんと犬や猫を育てることを理解しないまま迎える方が増える可能性があり、飼育放棄から保護犬猫の増加が懸念されます。そういった意味でもインターネットを通してきちんと迎え方を発信することが求められます。

4. まとめ

世界的にペット市場は堅調に成長しています。成長のドライバは、経済成長>中間層拡大>可処分所得増加>ペットの飼育数増加と、ペットの家族化>ペットにかける年間支出額増加です。

日本においては、経済停滞から飼育数は減少していますが、ハード面・ソフト面の環境面の整備が進むことで飼育意向が増加することは見込まれます。また、家族化が進むことで年間支出額は増加しているため、堅調に市場規模も成長を続けるでしょう。

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