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“N₂O排出と持続可能な農業”: 地球を守るための戦略

一酸化二窒素(N₂O)収支2024年度版の公表

国際研究プロジェクト「グローバル・カーボン・プロジェクト(GCP)」は、一酸化二窒素(N₂O)の主要な発生源と吸収源を詳細に網羅した世界のN2O収支「世界の一酸化二窒素(N₂O)収支2024」を公表します。
今回の報告では、最近40年間(1980年から2020年)において、世界の人為的N₂O排出総量は約40%増加し、最も主要な人為排出源は農業活動であることが示されました。

一酸化二窒素(N₂O)とは何か?

一酸化二窒素(N₂O)は、地球温暖化の原因となる主要な温室効果ガスの1つです。N₂Oは、二酸化炭素(CO2)やメタンといった他の温室効果ガスと比べて大気中の濃度は低いですが、単位重量あたりで高い温暖化をもたらす能力(地球温暖化係数)を持ちます。また、成層圏オゾン層の破壊物質でもあります。

農業活動とN₂O排出の関係

N2Oは、窒素肥料や堆肥の使用により、農地から大量に排出されます。これらの肥料は、作物の成長を助けるために必要ですが、同時に微生物の活動を刺激し、その結果としてN2Oが生成されます。このN₂Oは、大気中に放出され、地球温暖化を引き起こします。

有機栽培と持続可能な農業の役割

有機栽培では、化学肥料の代わりに堆肥や緑肥を使用します。これにより、土壌の健康を維持し、微生物の活動をコントロールすることで、N₂Oの排出を抑制することが可能です。また、肥料の適切な管理や、作物の回転栽培などの方法も、N₂O排出の削減に寄与します。

地球温暖化対策への取り組みと未来への展望

2010年代以降における大気中N₂Oの増加速度は、これまで気候モデルによる将来予測で使用されてきた想定シナリオを上回る規模に達しています。つまり、気候変動枠組条約・パリ協定の温度目標を達成するには大幅な排出削減が不可欠であり、その進捗を評価する仕組み(例えばグローバルストックテイク)に貢献するよう、地球上の N₂Oを監視しモデル化するネットワークが必要です。今回の成果は、このような環境政策への貢献が期待されます。

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