【全文公開中】絶対にプレゼンを成功させるために(1分で話せを読んで学んだこと)

『人は80%の話を聞いていない』

 そんな文言が本に書いてあった。80%という数値は衝撃的に思えるが、冷静になってみると理由が思い当たらないわけではない。その理由は凡そ三つある。

①聞いているつもりで情報を逃している

 これは無意識的にやってしまうが、実は大きな損失で、僕も何度も聞いているつもりで、話が終わってから内容を整理してみると全く整理がつかなかった経験がある。意識的にメモをとって瞬間的に話の構造を理解するスキルの重要性を肌で感じる瞬間だ。

②話を聞かされているだけだから

 これは幼い頃から大人になっても、どんな人に対しても訪れる場面だろう。大好きな長期休暇明けに聞かされる校長先生の長い話……退屈な大学の講義……あまり伝わらない社長のプレゼン……みんな、自分から臨んで話を聞いてるとは限らないのだ。

③伝わりにくいプレゼンだから

 プレゼンは「伝えたい事」と「伝え方」に大別できる。このどちらかが悪いとプレゼンは聴き手にうまく伝わらない。

 今回ご紹介する本では「③伝わりにくいプレゼンだから」の改善を中心に記述する。場合によっては、「②話を聞かされているだけだから」の場合でも熱心に話を聴いてもらえるかもしれない。伝わりやすいプレゼンは、そのような人の気持ちを掴むことも可能だからだ。

 ■プレゼンで君は何をしたいのか?

 本書はプレゼンの基礎的なスキルが分かりやすく、かつ体系的にまとめられていると思う。なので、誰かに説明することが苦手だと感じる人は迷わずに本書を買ってみればいいと思っている。

 しかし、そのような技術を学ぶ前に理解しておくべきことが一つある。それはプレゼンをする目的だ。

 例えばこんな場面を想像してみよう。

 あなたは最新のAIソリューションを提案する営業マンだ。今日は、AIソリューションの導入を検討していると噂の企業とアポイントを取っている。そして、いざ対面の時がくる。いきなりAIの話をするのも気が引けるので、「最近ITでお困りのことはないですか?」とジャブを打つ。すると「それが、Windows10にするのに端末を変えるんですけど、ノートパソコンとデスクトップのどっちがいいかわからなくて」と返事がくる。議論がそのままヒートアップしてAIのことは大して話せずじまい。改めて時間を頂戴する約束はできたが……。あなたは自分のAIソリューションの資料を見返しながらため息をつく。ノートパソコンとデスクトップのメリデメで揉める人たちにAIのことを理解してもらえるのだろうか?

 このような場面であなたの目指すプレゼンのゴールはどこか。

『理解してもらうこと』

と答えていないだろうか? 若干誘導するような例になってしまったが、これはプレゼンの正しい目的とは言えない。

 正しい目的は、『聴き手の行動を促すこと』である。つまり、AIソリューションを導入していただくことだ。その過程でAIの理解があるだろう。しかし、目的はそこではない。

 僕はこの一文を読んだときにハッとさせられた。時折、「どうすれば理解してもらえるのか?」というポイントにばかり重点を当てていたことに気づかされたからだ。

 このような正しい目的が理解できていないまま技術を学んでも何も身につかない。なので、「聴き手の行動を促すプレゼンをすること」は必ず記憶にとどめておこう。

***

 以降で本書のポイントを僕なりにまとめたもの、それに加えて心理学的な観点から納得性の高いプレゼンの要素をお話しようと思う。これを読めばプレゼンのコンテンツをロジカルに整理することが以前より簡単になるだろう。

■コンテンツをロジカルに整理せよ

■何が何でもプレゼンを成功させる気持ちを持て

■納得性の高い説明

 この流れで進めたいと思う。

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■コンテンツをロジカルに整理せよ

 伝わりにくいプレゼン(説明)と伝わりやすい説明の違いは何だろうか。想像の余地で問題点を挙げ始めたらきりがなさそうだ。が、簡単にまとめると「何が言いたいのかわからない」(主張への疑問)と「何で、そう言い切れるのかわからない」(根拠への疑問)に落ち着くと思う。

 前者では、一番伝えたい結論部分を後回しにしていきなり説明している様子が想像できる。

 例えば「店長すみません。最近インスタが流行っていますし、若者はチョコレートが好きです。それに、この店は渋谷駅からも近いですから若者も集まりやすいですし……」と話始めると店長は「何の話だろう?」と思うだろう。このような伝え方を絶対にするな! と言うわけではないが、最初に何の話(主張)がしたいのか伝えるのは、お互いにテーマの認識が合うし、両親的だと思う。

 なので、「店長すみません。新作のケーキを考えてみませんか?」から始めると、その後続く「最近インスタが流行っている」「若者はチョコレートが好き」「この店は渋谷駅から近くて若者が集まりやすい」という情報が、新作ケーキを考えるための根拠であることが分かりやすくなる。以前のブログで書いたが、戦略的なコミュニケーションは「気遣い」になるのだ。

 このタイプは素材を既に持っているので、伝え方さえ意識すれば改善は簡単だ。

 後者(根拠への疑問)の場合、「根拠を伝えられていない」場合と「根拠が適切でない」場合がある。

「根拠が適切でない」場合は、「根拠」だから「主張」である、という関係が成り立っているのか確認してから話す癖をつけるとよいだろう。成り立っていない場合は、成り立つように「主張」に対してWHYの深堀りをする必要がある。

「根拠を伝えられていない」場合は、上述したケーキの例のように主張の後に適切な根拠を伝えるようにしよう。また、それに合わせて例を示すと具体的なイメージが共有できるので、聴き手はあなたの主張をより理解しやすくなる。

 ちなみに根拠をいくつか用意しているのは、一つの根拠だけしかない場合、その主張を支えるのに弱いと判断される場合があるからだ。

 これを図にすると以下のようになる。

 ロジックツリーはビジネス基礎として学習された方も多いと思うが、意外と実務ではおざなりになっている。今一度この重要性を理解する必要があるだろう。

 そして、いつも議題に対して自分なりの主張や結論を持ち、ロジックツリーを使って説明できるようなシュミレートをしておくことが大切だ。このようにいつでも結論を考える癖を身につけておくと、いざ急に聞かれたときに対応が可能である。

 注意しておきたいのは、結論と事実を混同して伝えてしまうことだ。事実は結論にならない。結論とは、知識と事実を動員して導き出すものだからだ。

 さて自分の結論が正しく設定されているか不安な方は本書に用意されている四つのチェックリストが満たせているか確認しよう。

・前提を聞き手と共有する

・主張(結論)を明確にする

・主張を説明する根拠を複数用意する(できれば、3つくらい)

・意味がつながっているか、「~だから、~だ」と読んでみて、チェックする

 この内一つ目のチェック項目については、これまでに触れていないので、次でお話したい。

■何が何でもプレゼンを成功させる気持ちを持て

 プレゼンで相手の行動を促すために、あなたは何をするだろうか。

 聴き手に伝えるコンテンツを磨き上げて、スピークの練習をする……だけでは足りないかもしれない。本書では、やれることは全部やる気持ちが必要だと述べている。日本では汚いと思われそうなアフターフォローや根回しだって、必要があればやるべきだと主張されている。

 この泥臭い考え方が僕は好きだ。なぜなら、目的は「聴き手の行動を促すこと」であって、プレゼンをすることではない。プレゼンはあくまでも目的を達成する手段でしかないのだ。そう考えるとプレゼン以外にもやれることは全部やることが、どれだけ大切なことか理解できる。

 そのためには相手のことを考え抜く必要がある。

 そう考えると主張の後の相手の行動プランが分かりやすいように、こちらから「いつ・どこで・なにを」という情報を提示できた方が良いだろう。

 もちろん相手の抱える課題や要望についても相手目線で考え抜く。仕事に対するマインドや人生に対する考え方まで見通せるようになれば最高だろう。

 幻冬舎の箕輪さんは、堀江貴文に執筆を依頼する際、彼の多忙ぶりを意識して、彼が執筆時間をほとんど要しない書籍化を提案したそうだ(確かインタビューなどを中心にして、他者が文字起こしをしたはず)。破天荒な言動が目立つ箕輪さんも、このように相手のスタイルを意識して、提案の形を変えることで大きな契約に結びつけているのだ。

 さて、先ほどの箕輪さんの例で、何も考えずに堀江貴文に執筆の依頼をしていたらどうなっていただろうか……。恐らく断られているだろう。なぜなら彼は多忙で、なおかつ自分の興味のない仕事には全く手を出さないと断言している。その状態で、何もなしに執筆を依頼することはできない。

 この場合、依頼者と堀江貴文の間で「前提」が異なっている。仕事への意識や執筆への興味、仕事の空き時間などなど。これは大胆に前提が異なっているが、実際の仕事ではもっと細かな部分で前提条件が知らぬ間に異なっている場合がある。

 よくある例としては、上司と部下の立場の違いによる前提条件のずれだ。部下は与えられた仕事を完遂することに意識が向いているが、上司はより大きなビジョンの達成や利益の確保に意識が向いている。この違いが前提条件の違いになって主張がうまく通らなかったりする。

 そのため前提条件のズレを修正することは大切になる。

 堀江貴文の例であれば、そもそも相手のことを考え抜く段階で、自分とは違う仕事スタイルを持っていることに気づくだろう。上司と部下の例では、プレゼンという形になる前に前提条件の確認をしておくべきなのだと思う。プレゼンの過程で世代間ギャップが出るような話題に触れる場合は、最初から「今の世代は……」のように伝えてしまうと話題についていきやすい。これも気遣いだと僕は思う。

 僕たちはついつい自分の頑張りを根拠として話してしまったりする。その方が自己肯定感の高まりは強くなるからだろう。でも、それは聴き手にとって大切な根拠にならない。僕たちが伝えるべきは、相手にとって本当に必要とされる根拠だ。

 相手のことを考え抜いて、できることは全部やって伝えよう。そして、そのプレゼンを楽しむことだ。自分がそのことについて一番詳しくて熱量を持っている、そんな気持ちが伝わるプレゼンにしよう。それくらいの情熱がなければ聴き手に想いは伝わらない。

■納得性の高い説明

 最期に、本書に書かれている内容ではないのだが、以前に僕が、DaiGoが解説していた納得性の高い説明から学んだことを簡単にまとめてみようと思う。今回の記事のテーマにも関連するところなので、一緒に意識いただければ良いだろう。

 DaiGoが解説していた納得性の高い説明に関するトークから、僕は三つの要素を導き出したので、順にご説明したい。

①内容を理解していること。

 至極当然といえるかもしれないが、様々なソリューションを一手に引き受けている営業マンのような存在を考えると、内容を完全に理解していない人がいるのも頷けるか……。

 ただしここでいう「内容」とは「今、ここで話していること」だと思う。そう考えるとソリューションについて理解することも大切だが、自分が話していることの理解とそれに対する聴き手のリアクションへの理解が大切になるし、理解していることを相手に表現することも大切になる。そのため、同調を示す頷きなどを徹底する必要があると僕は感じている。

②緊張せず堂々と話している

 人は信頼と不信をどのように判断しているのか。以前に僕は気にしたことがある。ファスト&スローという統計心理学に関する有名な書籍があるのだが、ここで僕の疑問に対する回答があった。

 そこには、基本的に人は信頼することから始めて、信頼できない要素を見つけたときに疑うことを始める、と書いてあった。

 緊張して説明する姿は、この信頼から不信頼へのスイッチ地点のひとつだと僕は推察している。きっと誰もが緊張している人を見て、「なにか心配なことがあるのか」「どこか嘘をついているのか」と考えたことがあるだろう。そうやって聴き手のマインドシェアを奪っているところも納得性を低くする要因なのかもしれない。

③強調ポイントを繰り返している

 単純接触効果という言葉を聞いたことがあるだろうか?

 これもファスト&スローに記載されているし、恋愛心理学などで話題にされやすいので、ご存知の方も多いかもしれない。

 これは文字通り接触回数が多いものほど人は好意を抱きやすくなるという効果を証明するものだ。

 有名な実験で新聞記事の中に全く関係ないトルコ文字を複数パターン書き込んだ。あるパターンの文字は一回で、その他に五回など登場しているトルコ文字もある。読み手はトルコ文字のことを理解していないので、それが何を示しているのかは全く不明である。それにも関わらず、記事を読んだ人は複数回登場したトルコ文字に対して好印象を示したのだ。

 この効果を応用して自分が強調したいフレーズを何度も言うと記憶に残りやすいだけでなく、好感を抱きやすくなる。本書の著者も、ソフトバンクの孫正義にキャッチーなフレーズを強調することで覚えてもらったと書いている。強烈な印象を残すためにも、色んな角度から自分の伝えたいフレーズを表現してみてはいかがだろうか。

■最後に

 こうやってプレゼンの技術を記事にまとめていると、プレゼンにとって大切なことは、とても当たり前のことばかりだなと思わされた。しかし、当たり前だからこそ、みんなが疎かにするし、意識しないまま技術が錆びてしまう可能性もあるのだと思った。こうやって言語化して、自分の取り組みに反映できるチャンスがあることを僕は感謝しなければならない。

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りっちゃん(元やまゆう)@読書ブロガー

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