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ブックメモ「地方消滅」

最近記事をつくることにあれこれ悩み、動き出せていませんでした・・

そこで、自分の勉強のために読んだ本をまとめて発信することで、

インプット&アウトプットの練習をしようということに。

ざっくりですが、学んだことをまとめていきますので、お付き合いいただけると嬉しいです。


さて、最初の記事にしようと思ったのは、この一冊。

その名も、「地方消滅」です。


「地方消滅」との出会い


この本を初めて読んだのは、大学2回生のころ。

僕は地方経済や地方財政を専攻するゼミにいたので、

ゼミの先生が学生に読むように勧めてくれたことからです。


著者は、元岩手県知事で総務大臣も勤められた増田寛也氏。

前回の東京都知事選にも立候補され話題になりました。

いうなれば、地方行政の現場のトップと、

地方行政の頂点、総務大臣と両方を経験された

まさに地方行政のエキスパートです。


2014年に発表されましたが、

‘‘消滅‘‘という過激的なタイトルということもあり、

瞬く間にベストセラーになりました。現在も多くの書店で平積みしてあります。


「地方消滅」が教えてくれること


この増田寛也氏の地方消滅が教えてくれること、

それは、

このまま未来を迎えれば、896の地方自治体が消滅するかもしれない

ということ。

さらに詳しく言うなれば、

現在のペースで人口減少が進めば、一部の地域がなくなる。

そのために必要な対策を、国を挙げて行う必要がある、ということです。


人口が急激に減り続ける社会がやってくるという警鐘


まず、僕が驚かされたのは、

日本の人口が予想以上のハイペースで減少していくということです。


著書内で登場する国立社会保障・人口問題研究所によれば、

2010年で1億2000万人の人口が、

2040年には1億人、

2060年には8600万人、

2090年には5727万人

まで減少するとのこと。


少子化による人口減少が叫ばれて久しいので、

人口が減り続けることは理解していましたが、

今後70年で日本の人口が半分になる恐れがあるという予想は、

非常にショックを受けました。


「地方消滅」では、この未来に対する対処が甘すぎると警鐘をならしています。


なぜ、人口は減少し、地方は消滅するのか?


この人口減少はなぜ起こり、

どうして一部の自治体がなくなるということがいえるのか。


まず、人口減少が加速する理由は、

子育て環境の整っていない大都市圏に若者が多く流入するからです。


毎年、進学や就職をきっかけに、

地方から東京、大阪、名古屋といった大都市圏に若者が大勢移動しています。

そして、仕事の集中する大都市圏に定住し、結婚、子育てをはじめますが、

大都市圏は子どもを産み育てる環境としては

必ずしも望ましいものではなく、

若年層の出生率は低くとどまったままです。


このような、

出生率の低い大都市圏に人口が集中することによって、

日本全体の人口が減っていく、ということなのです。


そして、さらに地方が消滅するにいたるのか。

ここでは大都市圏に移動する若い女性の人口に注目しています。

当然、若い女性が少なくなれば、子どもの生まれてくる数も少なくなります。

ただでさえ少なくなる子どもの数、さらに都市への移動が続けばどうなるか。


「地方消滅」の中では、

2010年から2015年の人口移動が続くことを前提に、

一般的に出産のできる20歳‐39歳の女性の人口が、

各自治体でどのように変動するかを算出しました。


2010年を基準に、

2040年までに若年女性の人口が5割以下になるところは、

「消滅可能自治体」と定義し、

自治体自ら人口維持することはできないとみなして、

「その地域は消滅する可能性がある」としたわけです。


この未来予想に、地方はどう対処したらいいのか?


では、地方は、このように著しく人口が減少するという事態に、

どのように対処すべきなのか。

それは、地方都市の「選択と集中」が必要と増田氏は提言します。

どういうことか。


例えば、これまで集落や山間部など、

過疎地域にもインフラ充実や投資などを進めてきましたが、

財政的な観点からみてそのような余裕がない地方自治体も多いです。


そこで、

若者に魅力のある中核都市を絞って、

規模のメリットを生み出し、人材と資源をそこに集積するべき

ということです。


中核地域に人口と産業が集まることによって、

遠く離れた大都市圏ではなく、

経済的影響のある近くの街が活性化し、

その後まわりの地域にも良い影響を与えるという考え方です。


さて、最後に感想を。


地方消滅はいい意味でも悪い意味でも、

地方に軸足を置いている人に大きな衝撃を与えました。

特に、このままいくと一部の地域が消滅するまで人口が減り続ける、

と言い切ったことはすごいことです。


地方経済や地方行政、政治に携わる人へ

現状維持ではいけない、

という危機意識を持たせたことはよかったといえるでしょう。


実際、僕自身もこの本のおかげで地方への危機意識が非常に強くなりました。

間違いなく、地方を取り巻く今後の状況は厳しいもの変わりありませんが、


しかし、

この人口減少問題にどう対処するか、という面においては、

本当に「選択と集中」をすることが正解なのか

ということはもちろん議論の余地があります。



非常に勉強になった一冊でしたが、

これがすべて正しい、というものはないと思うので、

今後も様々な考え方に触れながら、自分なりの解を考えていきます。



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