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「好きなものは、全部好きじゃなきゃいけない」という感覚

こんばんは、駆け出し眼鏡です。今日は帰り道に読んだこの記事をネタに書いてみようと思います。

この記事を読んで、ここで紹介されているような研修は何を目指しているのだろうとふと考えてしまいました。多分ですが、「組織のコアファン」を創るのが目的なのだろうとは思うのですが……。

社訓を声に出して読むような研修というのは、以前美容師の方の研修でも似たようなことをやっていると聞きましたし、確か厳しすぎる新入社員研修みたいなものがニュースになっていた時期もありました。ぼくは縁がありませんが、割とメジャーなのかもしれません。


「好きなものは、全部好きじゃなきゃいけない」という感覚

少し話は違いますが、この記事を読んで、ふと星野源さんのエッセイを思い出しました。

その中のエピソードでこんなエピソードが紹介されています。

学生時代、スキなアーティストの曲は全部スキだと思っていた。けれどあれは今思い返すとかなり無理していたと思う。今になって思えば、キライな曲もあったし、ダサいなと思う曲もあった。けれどあの頃は全部スキだと思わないといけない気がしていた(筆者うろ覚え)

かなり好きな本なんですが、改めて探そうと思ったら手元にないので、うろ覚えでの書き起こしになります。大体こんな感じのことを言っていたと思ってください。

で、なんでこんな話を出したかというと、この「好きなものは全部好きじゃなきゃいけない」という感覚は割と根深くありそうだなと思ったのです。そしてこの感覚は、最初に引用したような「組織のコアファンを作り出す研修」にも隠れているのではないでしょうか。


「強いファン」の存在が「好き」のハードルを高くする

今の時代、ぼくらはとても簡単にコンテンツを消費できるようになりました。好きなアーティストの曲は調べれば大抵iTunesで見つかるし、インタビューやテレビ出演もYouTubeで見れます。こうなると、そこには全てを消費している「強いファン」が必然的に出てきます。

「強いファン」は、全てを消費していて、基本的に対象を全肯定しています。そしてとにかくその内容についてめちゃくちゃ詳しい。考え方ひとつとっても、生み出すものも全部愛しているし、もう本人よりも本人のことを知っています。

そしてもう1つの特徴として、「にわかファン」を全力で否定します。好きな対象は最早神なので、つまらないとか、キライなところがあるとか、そんなものはありえないのです。結果として、好きにエンタメが消費できる時代には、「好き」と言うハードルが非常に高くなっています。


「強いファン」を作れば組織は回しやすい?

エンタメの話から研修の話に戻します。
従業員が組織のコアファンであること、つまりみんなが組織を大好きであること。歯車として盲目的に働いてもらうのなら、こんなに都合のいいことはありません。組織の全部が好きでいてくれるのなら、多少無理しても働いてくれるし、相互監視的な作用も働きやすくなります。

例えば、以前ニュースでやっていたような新入社員研修では、あえて厳しい研修を実施し、最終日に「君たちの成長を思って…」みたいな締めで感動を演出するようなものもあるようです。これは「コアファンを創る」という目的にとっては最高に効果的で、参加者はみな、涙を流しながらお互いを称え合い、愛社精神にあふれるのだそうです。

少し怖い気もしますし、ぼくの信条とは合いませんが、こういった研修が実際に行われているようですし、そこにニーズがあること、また1つの上手くいく形であることも事実だと思います。


「スキだけど、キライなところもある」くらいが丁度いい

ただぼく個人としては、むしろ「スキだけど、キライなところもある」とはっきり言ってくれるような社員の方が、議論のしようもあるし、発展できるのでいい気がします。組織の規模の問題もありそうですが。

何よりその人とか組織が全部好きって、それはある意味思考停止です。嫌いなところやハマらない部分があって然るべきです。コンテンツにしても、組織にしても、友達や恋人、家族にしてもです。

例えば、ぼくは三人称というゲーム実況者が大好きですが、当たり前だけれど毎日見てればつまらない動画シリーズもある。星野源さんは音楽も好きで聴いていたけれど、恋以降何となく聞かなくなってしまった。こういうのって普通のことだと思います。

なんだか途中で話が脱線していき、自分でも何が書きたいのやら。改めて読み返してみると、言いたいことは多分こんな感じ。

1.組織の「強いファン」を生み出すための研修が、いろいろなところで行われるらしい

2.対象を全肯定する「強いファン」の存在から、何かを「好きだ」と言うハードルが上がってきている

3.でも全肯定って思考停止なので、「スキだけど、キライなところもある」くらいの在り方のほうが、今後の発展のしようがあるんじゃないか

以上、本日はここまで。最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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