ITストラテジスト午後2試験対策:ChatGPTを活用した勉強法
はじめに
Tストラテジスト試験の午後2では、受験者の経験を基にした、設問ごとに指定された文字数での論述が求められます。自治体勤務の中で試験勉強を進めていた私は、なじみのないビジネス用語の多さに戸惑う場面がありましたが、今回紹介するChatGPTを活用した勉強法のおかげで、無事にITストラテジスト試験に合格することができました。
この記事では、令和6年度春季試験の問題を使用したChatGPTを利用した午後2対策のプロセスを紹介します。また、私自身が苦戦したビジネス用語を、自治体業務にどう置き換えればよいかについても解説します。
学習方法
午前問題や午後1と同様に、過去問を解くことが最も効率的な学習法です。しかし、午後2は受験者の経験をもとに論述する形式であり、明確な正解がないため、学習に悩むことが多いでしょう。
特に書き出しに迷う方には、ChatGPTを使って論文を生成し、その構造や書き方を観察することをおすすめします。以下に具体的な学習方法を紹介します。
1.過去問をChatGPTに読ませる
まずは、過去問をChatGPTに読ませます。公開されている問題文はコピーできないようになっていることが多いため、スクリーンショットを撮り、それを画像としてChatGPTに読み込ませてテキストを抽出する方法が便利です。
2.見出し、小見出しを抜き出す
論述を小説のように書いてしまうと、焦点が散漫になりがちです。これを避けるため、設問ごとに見出しや小見出しを付け、章立てを行いながら論述を進めることが効果的です。以下は令和6年度秋季試験問題の設問です。
この設問に対する見出しと小見出しは以下の通りです。設問と同様、全3章の構成になります。
第1章 私が携わったDXの実現に向けて採用した新たな情報技術
1-1 DXの狙い
1-2 施策の内容
1-3 検討対象となった新たな情報技術とその必要性
1-4 事業特性
第2章 施策の実施に向けて行った机上確認と技術検証
2-1 机上確認
2-2 技術検証での結果と工夫
第3章 採用に当たって具体化したリスクと対策および経営層への説明
3-1 机上確認と技術検証を通して具体化したリスクとその対策
3-2 経営層への説明
3-3 経営層からの指摘
3-4 指摘を受けて改善したこと
3.論文案をChatGPTに生成させる
見出しに沿って、自分の経験や論述したいテーマを箇条書きでまとめます。完璧に書き出せなくても構いません。まずはテーマだけでも指定して、ChatGPTに指示を出して論文を生成させます。ここでは、自治体のDX施策である「水道スマートメーター」を例にしました。
指示文の例は下記のとおりです。
問題1に対する論述案を、設定した見出しと小見出しに応じて出力してください。
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問題 1: DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に向けた新たな情報技術の採用について
企業は、情報技術を使った新サービスの開発や既存事業の改革などの施策を企画し、DXを実現する。その施策の中で、従来の情報技術では実現できなかったことを実現するために、企業にとって利用実績の乏しい、AIやIoTなどの新たな情報技術の採用を検討することがある。
ITストラテジストは、新たな情報技術の採用に関する検討の中で、その情報技術による施策を実施できるかどうかについて、机上確認と技術検証を行う。例えば、業務要件への適合性、業界における規制への対応、性能・拡張性・セキュリティなどの非機能要件への適合性、情報技術の利用における複雑性などについて机上確認し、その後、試験的な導入やシミュレーションなどを通じて、技術検証を行う。机上確認と技術検証を通して、事業への適用におけるその情報技術の特性を理解した上で、リスクとその対策を具体化する。例えば、倫理などのコンプライアンスに関するリスク、計画していた予算や体制などの経営リソースに影響を及ぼすリスクなどを確認し、それらへの対策をもとに経営層に説明し、承認を得る必要がある。
あなたの経験と考えに基づいて、設問ア〜ウに従って論述せよ。
設問ア あなたが携わったDXの実現に向けた新たな情報技術の採用について、DXの狙い、施策の内容、検討対象となった新たな情報技術とその必要性を、事業特性とともに、800字以内で述べよ。
設問イ 設問アで述べた新たな情報技術について、施策の実施に向けて、あなたはどのような机上確認と技術検証を行ったか、その結果や工夫したことともに、800字以上1600字以内で具体的に述べよ。
設問ウ 設問イで述べた情報技術を採用するに当たって、机上確認と技術検証を通して、あなたなどのようなリスクとその対策を具体化し、経営層にどのように説明したか、経営層からの指摘、指摘を受けて改善したことともに、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
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設定した見出しと小見出し
私が携わったDXの実現に向けて採用した新たな情報技術
水道スマートメーター
DXの狙い
施策の内容
検討対象となった新たな情報技術とその必要性
事業特性
施策の実施に向けて行った机上確認と技術検証
机上確認
技術検証での結果と工夫
採用に当たって具体化したリスクと対策および経営層への説明
机上確認と技術検証を通して具体化したリスクとその対策
経営層への説明
経営層からの指摘
指摘を受けて改善したこと
出力結果は下記です。
# 私が携わったDXの実現に向けて採用した新たな情報技術
水道スマートメーター
## DXの狙い
私が携わったDXの施策は、自治体の水道事業における水道スマートメーターの導入を通じて、業務の効率化と住民サービスの向上を目指すものでした。この施策の狙いは、従来の手動での水道メーターの検針を自動化し、人的リソースの削減と、リアルタイムでの水道使用状況の把握を可能にすることでした。また、水漏れや異常な使用量の早期発見を可能にし、住民に対してより迅速かつ適切な対応を提供することを目標としていました。
## 施策の内容
具体的には、水道メーターにIoT技術を組み合わせたスマートメーターを設置し、データをクラウド上で収集・管理するシステムを構築することが施策の中心となりました。スマートメーターから送信されるデータは、自動的に中央システムに集約され、住民や管理者が水道の使用状況をオンラインで確認できる環境を整えました。このシステムにより、定期的な検針業務の自動化、異常検出時の即時通知が可能となり、住民サービスの向上が図られました。
## 検討対象となった新たな情報技術とその必要性
検討の対象となった技術は、IoT(Internet of Things)技術とクラウドコンピューティング技術です。IoT技術は、リアルタイムでの水道使用量のデータを収集・送信するために不可欠であり、従来のシステムでは対応が難しかったリアルタイム性と大規模なデータ管理の実現が求められました。また、クラウドコンピューティング技術を利用することで、データの蓄積と分析が効率的に行われ、異常な使用量の検出や予測分析の精度が向上するため、これらの技術の採用は不可欠でした。
# 施策の実施に向けて行った机上確認と技術検証
## 机上確認
まず、スマートメーターの導入においては、業務要件と技術要件の適合性を机上で確認しました。業務要件としては、検針の自動化、異常検出の早期化、水道管理の効率化が主な目標でした。技術的には、通信の安定性、メーターの耐久性、そしてセキュリティ要件が重要な検討事項でした。特にIoTデバイスはネットワークを通じてデータを送信するため、データの保護や不正アクセスの防止が不可欠です。また、法的規制においては、個人情報の取り扱いやデータの保存場所に関する規制が関わってくるため、これらの法的要件を満たしているかを確認しました。
## 技術検証での結果と工夫
次に、試験的にスマートメーターを一部の地域に導入し、技術検証を行いました。まず、リアルタイムでのデータ取得に成功し、手動での検針と比較して大幅に効率が向上しました。しかし、通信の安定性に課題が発見されました。特定の場所では通信障害が頻発し、データの取得に遅延が生じたため、通信インフラの見直しが必要でした。これに対処するために、通信プロトコルの最適化や補完的な通信手段の追加導入を検討しました。また、セキュリティ対策として、データ送信の際に暗号化を行い、不正アクセスのリスクを軽減する取り組みを実施しました。
技術検証を通して、データの正確性とセキュリティ、さらにはリアルタイム性の改善が確認され、最終的には施策の本格的な導入が決定されました。試験導入時の結果から、通信の安定性を保ちながら効率的にシステムを運用するためのベストプラクティスを策定し、住民に対する案内や運用マニュアルの整備を行うなどの工夫を加えました。
# 採用に当たって具体化したリスクと対策および経営層への説明
## 机上確認と技術検証を通して具体化したリスクとその対策
技術検証の結果、いくつかのリスクが明らかになりました。第一に、通信インフラの障害によるデータ送信の遅延が発生する可能性が指摘されました。これに対しては、通信経路の複数化やバックアップシステムの導入を検討しました。第二に、セキュリティリスクが挙げられました。特に、個人情報が含まれるデータを扱うため、データ漏洩や不正アクセスのリスクが存在しました。これに対しては、データの暗号化、アクセス権限の厳密な管理、セキュリティ監査の強化を対策として導入しました。
## 経営層への説明
リスクとその対策を明確にした上で、経営層に対して説明を行いました。まず、DX施策がもたらす効率化や住民サービスの向上効果を強調しました。特に、スマートメーターによる検針コストの削減や水漏れの早期発見といった定量的なメリットを示し、経営層の理解を得ました。また、リスクについても詳細に説明し、対策が適切に講じられていることを示しました。具体的には、通信障害に対するバックアップシステムの導入や、セキュリティ強化のための監視体制の強化を説明しました。
## 経営層からの指摘
経営層からは、初期投資コストに対する懸念が示されました。特に、通信インフラの整備やセキュリティ強化にかかる費用が問題視されました。また、導入後の運用コストについても、長期的な維持費用を含めた詳細な説明が求められました。
## 指摘を受けて改善したこと
これを受けて、費用対効果の再検証を行い、初期投資に対するリターンが十分に得られることを再確認しました。また、運用コストを削減するために、クラウドサービスの見直しやインフラ整備のフェーズ分けなどの工夫を加えました。最終的には、これらの改善案に基づき、経営層からの承認を得ることができ、プロジェクトを進行することとなりました。
このようにシンプルな指示を出すことで、文章をどう構成すればいいか、流れをつかむことができます。しかし、このままの論述では合格は難しいかもしれません。
4.ChatGPTでシラバスの語句を論述に組み込む
午後2で合格するかどうかは、シラバスに基づいているか、が重要になります。特にシラバスの大項目で必ず出現する「事業特性」の記述が足りているかという点は、特に重要なポイントです。
このようなシラバスに出現する重要な語句は、語句の理解に加え、自身の経験と照らし合わせ、語句を適切に論述に組み込む必要があります。この作業にもChatGPTが利用できます。シラバスのPDFをChatGPTに読ませたうえで指示を行いましょう。指示の例は下記のとおりです。
設定した見出し小見出し、シラバスと照らし合わせて、この論述は適切ですか?適切でない部分があれば、それを指摘してください。
出力結果は下記です。
設定した見出し・小見出し、シラバスと照らし合わせて、あなたの論述を確認しました。全体的に適切な内容となっていますが、いくつか改善できる点やシラバスの要件と完全に一致しない部分があるので、以下で指摘します。
# 適切な部分:
## DXの狙い
### シラバスとの整合性: DXの目的や新技術の導入による効率化・コスト削減について述べられており、ITストラテジストが求められる経営方針とIT技術の連携を意識した内容となっています(syllabus_st_ver4_1)(syllabus_st_ver4_1)。
### 適切性: 水道スマートメーターの導入による住民サービス向上やコスト削減の明確な説明があり、これはDX施策の具体例として適切です。
## 検討対象となった新たな情報技術とその必要性
### シラバスとの整合性: IoT技術の使用やクラウドコンピューティングの活用はシラバスで求められている「最新技術の調査と適用の必要性」の要件を満たしています(syllabus_st_ver4_1)。
### 適切性: リアルタイムでのデータ収集やセキュリティに関する課題についても具体的に触れている点は、シラバスの期待に沿った内容です。
## リスクと対策および経営層への説明
### シラバスとの整合性: リスクマネジメントやセキュリティの対策について具体的な記述があり、リスク評価とその報告が適切に行われていることが述べられています(syllabus_st_ver4_1)。
#改善が必要な部分 :
## 事業特性
### シラバスとの整合性: 「事業特性」に関しての説明がやや薄い印象があります。シラバスでは、DX施策やIT技術が導入される業界やビジネスの特性にしっかり触れることが求められています(syllabus_st_ver4_1)。水道事業の特性や、自治体特有の業務環境(例: 規制や住民対応など)についてもう少し具体的に説明する必要があります。
## 技術検証での結果と工夫
### 具体性の不足: 技術検証において、具体的な検証手法や問題に対してどのように解決策を見つけたかについて、より詳細な説明が求められます(syllabus_st_ver4_1)。シラバスでは、技術の性能や適合性に関して実際の検証結果やそれに基づく判断プロセスを具体的に示すことが強調されています。
### 改善点: 例えば、「通信インフラの見直しを行った」と記載されていますが、その見直しの具体的な手段(通信プロトコルの最適化や追加設備の導入など)をもう少し具体的に述べると、より評価されやすくなります。
## 経営層からの指摘と改善点
### シラバスとの整合性: 経営層のフィードバックに基づく改善プロセスは適切に記載されていますが、具体的な対策内容がやや抽象的です(syllabus_st_ver4_1)。
### 改善点: 「運用コストの削減策」や「クラウドサービスの見直し」といった対策にもう少し具体的な数字や手順を含めることで、経営層からの指摘にどのように対応したかが明確になります。例えば、「フェーズ分けにより初期投資コストを20%削減できた」といった具体的な効果を示すと、より説得力が増します。
# 結論:
全体として、シラバスに基づく論述としては適切ですが、特に技術検証の詳細や事業特性の具体化、経営層への説明内容について、さらに具体的に掘り下げることで、より高い評価が得られるでしょう。
ChatGPTからの回答内でも、やはり事業特性の不足について指摘があります。
5.頻出ワードをChatGPTに解説させる
理解が難しい語句は、ChatGPTに解説をさせましょう。
公務員にとって、ITストラテジスト試験で頻出する語句は、日常的に使用するものが少なく、なじみが薄いです。ここでは、以下の用語をビジネスシーンではなく、自治体業務に置き換えた解説の例を紹介します。
事業特性:自治体の外部環境(人口動態、観光産業など)や内部環境(職員数、予算など)。
ビジネスモデル:水道事業などのサービス提供形態。
事業目標:政策目標や行政サービスの改善目標。
事業戦略:地域振興計画やインフラ整備計画など、目標を達成するための個別の計画。
ステークホルダー:市民、議会、関連企業など。
6.改善をChatGPTに指示する
事業特性を含め、ChatGPTから、いくつか改善の指摘がありましたのでChatGPTへ追加の指示をします。
以下は、ChatGPTからの指摘を踏まえ、水道スマートメーターについて、より詳しく指示を記述した例です。
# 新たな情報技術:水道スマートメーター
## DXの狙い:メーターのデジタル化により水道利用データを取得し、EBPMに活用する。
## 施策の内容:アップロードした画像の文字を読み取って確認してください。
## 検討対象となった新たな情報技術とその必要性:①アナログメーターは各家庭のメーターを確認する必要がある。しかし、これを、デジタルで記録しその結果を通信するIoTである、スマートメーターを導入し、検針員による戸別訪問による検針をなくす。②水道管は50年程度で更新する必要がある。随時更新しており、本管の口径によって費用が変わり、流量が少ない箇所は口径を下げることで費用を下げることができるが、適切な流量を把握できていないため、現行の口径と同じものを施工していた。
## 事業特性:
### 外部環境:大企業の工場が複数ある。工業が盛んで、水需要は大きい特性がある自治体である。
### 内部環境:人口は6万人程度と小規模な自治体であり、水道事業の規模も小さい。特に、検針員が慢性的に不足していた。さらに、検針員はメーター1個当たりで賃金が決まっていたため、過疎地はメーターの数が少なく、各家庭は点在しているため時間当たりの賃金が低く人が集まらず、市職員が各家庭の検針を行っており、業務が回らない状況であった。
## 机上確認:スマートメーターはアナログメーターと比較して1個当たりが2倍程度の値段であること、スマートメーターの通信には、電力会社の通信網を利用できる見込みであり、協力体制が敷ける見込みであること。スマートメーターが設置されれば、近隣の大学の協力が得られ、その流量データや人口推移からシミュレーションを行うことができる見込みであること。
## 技術検証:過疎地域への試験的な導入
## リスクとその対策:おおむね問題なく設置されデータは取得された
ただし、リスクとしてメーターは1時間に1回通信網を通じてデータセンターへ流量データを送信するが、大雨等でスマートメーターからの通信が一回途絶えると以降スマートメーター自体は正常に動作する者の、データ送信を行わない仕様であることが分かった。集中管理を行うインターネット上からのダッシュボードから、通信を行わなくなったスマートメーターへ再送信の指示をすることでサイドデータ送信を行うようになる。しかし、これは手動で行わなければならず、さらにスマートメーターには72時間分のデータしか保存できず、古いデータは削除されるため、職員の日常の業務が増えるほか、3連休以上の場合、職員は休日に出勤し再送信の指示が必要かをチェックしなければならないことが分かった。
このため、ダッシュボードでの操作を自動化するシステムを開発。2時間以上送信が停止しているスマートメーターを抽出、再通信の指示を出し、
## 経営層への説明
おおむね問題なく設置されデータは取得されたこと、検針員の不足に貢献でき、流量の把握もできるため、将来的にメーター費用分を超える効果が見込めること、職員の負担が軽減されたことを、取得したデータを分析して説明。
## 経営層からの指摘
全地区への展開の承認。さらなる職員負担の軽減
## 指摘を受けて改善したこと
さらなる職員負担の軽減のため、アナログの場合現地で作業を行わなければならない水道栓の開栓、閉栓のDXを提案。スマートメーターと連動した水道栓の開栓、閉栓を行うIoTバルブの設置検証の承認。
ChatGPTからの回答結果は下記のとおりです。
# 設問ア
私が携わったDXプロジェクトは、水道スマートメーターの導入です。DXの狙いは、アナログ方式で行われていた水道利用データの収集をデジタル化し、EBPM(Evidence-Based Policy Making)の実現に寄与することです。これにより、リアルタイムでの水道利用データの把握が可能となり、漏水や異常使用の早期発見、効率的な水道インフラの管理が実現します。
具体的な施策内容としては、アナログメーターをIoT技術を活用したスマートメーターに置き換えることで、従来必要だった検針員による現地確認を不要にし、通信を介してデータを遠隔で収集する仕組みを導入しました。これにより、検針作業の大幅な効率化が図れ、コスト削減や人手不足の問題にも対応できます。
新たな情報技術としてのスマートメーターの必要性は、以下の点から明らかです。第一に、漏水検知の精度向上です。従来のアナログ方式では、漏水が発見されるまでに時間がかかることが多く、特に過疎地域や高齢者世帯では問題が深刻化する傾向がありました。スマートメーターによるリアルタイム監視は、この問題を解決します。第二に、検針員の人手不足問題です。人口減少に伴い、地方自治体では検針員の確保が困難となっており、従来のアナログメーターによる手作業では対応しきれない状況に陥っていました。
私が携わったプロジェクトは、外部環境として工業が盛んな自治体であり、水道需要が高いため、水道インフラの管理を効率化することが重要でした。一方、内部環境としては、人口6万人程度の小規模な自治体であり、コスト面での制約も大きく、検針業務の省力化が急務でした。このような背景から、スマートメーターの導入は、事業特性に合致した必要不可欠な技術革新でした。
# 設問イ
設問アで述べたスマートメーターの導入に向けて、まずは机上確認と技術検証を行いました。机上確認としては、主に以下の3つの点を確認しました。第一に、費用対効果の検証です。アナログメーターに比べ、スマートメーターは1個あたり2倍程度のコストがかかるため、長期的なコスト削減効果を見込む必要がありました。これに対して、検針員の削減や漏水検知の精度向上による水道料金の未収リスク低減が期待できるため、導入による全体的なコストメリットがあると判断しました。
第二に、技術的なインフラの整備です。スマートメーターは通信を必要とするため、地元の電力会社の通信インフラを活用することができるか確認しました。協力体制が確立されており、通信に関しては問題なく運用できる見込みが立ちました。
第三に、データ活用のシミュレーションです。スマートメーターが導入された後に得られる流量データを活用し、近隣の大学の協力を得て将来的な人口推移や水道使用量の変動を予測するシミュレーションを行う計画を立てました。このシミュレーションにより、水道管の適切な更新時期や更新範囲を予測し、予算の効率的な使用が可能となる見込みです。
技術検証においては、過疎地域への試験的な導入を行いました。これにより、遠隔でのデータ取得や漏水検知が正常に機能するかを確認しました。実際に過疎地域で導入した結果、リアルタイムでデータが取得でき、漏水検知も正確に行われることが確認されました。しかし、一部通信が不安定になる地域があり、これは後述するリスク対策に含まれます。
全体として、机上確認と技術検証により、スマートメーターの導入が事業に適したものであることを確認し、技術的にも実用可能であることを裏付けることができました。
# 設問ウ
スマートメーターの導入に当たり、机上確認と技術検証を通じていくつかのリスクが浮き彫りになりました。まず、技術検証の結果として明らかになったリスクは、通信の途絶です。スマートメーターは、1時間ごとに流量データを通信網を通じてデータセンターに送信する仕様ですが、大雨などの気象条件により通信が一時的に途絶えた場合、メーター自体は正常に動作していても、以降のデータ送信が行われないという問題が発生しました。このリスクに対する対策として、インターネット上からアクセスできるダッシュボードから手動で再送信を指示する機能を開発しました。しかし、この方法は職員の業務負担を増やすものであったため、ダッシュボードでの再送信指示を自動化するシステムの導入を提案し、実現しました。
次に、経営層への説明に際しては、主に費用対効果とリスク対策に焦点を当てました。具体的には、検針員の不足が深刻な自治体において、スマートメーターの導入により検針業務の大幅な省力化が可能であること、また、漏水検知による水道料金の未収リスクの低減が見込まれることを強調しました。また、技術検証において確認されたリスクに対して、手動再送信の自動化を実装することで職員の負担を軽減できることを説明し、全体的な効果を定量的に示しました。
経営層からの指摘としては、さらなる職員負担の軽減と全地区への展開が求められました。これに対して、スマートメーターと連動するIoTバルブを用いた水道栓の遠隔操作を提案しました。この提案により、スマートメーターのデータを基に、遠隔で水道の開閉を行うことが可能となり、現地作業が不要になることで、職員の負担を一層軽減することができると説明しました。
改善策としては、IoTバルブの導入を試験的に行い、技術検証を進めた結果、技術的な実現可能性が確認されました。これにより、経営層の承認を得て、次年度から全地区への本格導入が決定しました。最終的に、スマートメーターとIoTバルブの導入によって、水道事業全体の効率化が図られ、DXによる大きな成果を上げることができました。
私が、令和6年度春季試験で実際に提出した論文(A判定)とほぼ同じ文章が出力されたように思います。この作業により、事業特性の記述方法のほか、自身の知識や体験などをどう記述すれば分かりやすい文章になるのかを知ることができます。
7. 最後に手書きで練習する
ITストラテジスト試験では、手書きで論文を作成する必要があります。最終的には手書きの練習を行い、指定された文字数を時間内に書き上げる訓練が重要です。
まとめ
ITストラテジスト試験の午後2問題は、ビジネス用語の使い方に戸惑うかもしれませんが、自治体業務に置き換えて解釈すれば十分に対応できます。
ChatGPTなどの生成AIを活用すると、過去問題やシラバスを利用した学習を合理的に進めることが可能です。
また、勉強法自体は、ほかの高度試験にも適用できると考えています。私は、令和6年度秋季のプロジェクトマネージャー試験もこの方法で学習しています。
ぜひ参考にしてみてください!
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