保育園落ちた。東京脱出した。 〜シリコンバレーで働いてたネットワークエンジニアが東京に引っ越したけど、結局広島に移住することにした話〜

地方在住 Advent Calendar 2021 の12/1の記事です。これ書いてるのは12/25ですが、たまたま空きを見つけたので12/1分として書いてます。

TLDR / 文章長すぎて読んでられないよ!という人へ

もともとシリコンバレーに住んでいたネットワークエンジニアが、帰国したけど東京の保育園に全部落ちてしまいました。「別に東京にこだわる必要ないんじゃない?」ということで、保育園の空きが潤沢だったという理由だけで、縁もゆかりも無い広島県広島市に家族で引っ越した話です。仕事もフルリモート勤務に切り替えただけで転職してないです。


一身上の理由で長い文章読めません!という方はYouTube動画でも似た話をしたのでそちらでどうぞ。5分の動画です。

はじめに

こんにちわ。土屋 太二(つちや たいじ)と言います。グローバル企業の日本支社でネットワークエンジニアの仕事をしています。

もともと2017年からシリコンバレー(実際はカルフォルニア州サンノゼ市という場所です)に住んでいましたが、 2019年1月から今の会社にJoinするのと同時に日本に帰国し、東京にオフィスがある関係で東京都23区内に住んでいました。当時は結婚し妻はいたのですが、まだ子供がおらず「いつか子供ができたらいいね」という感じで平穏に暮らしていました。

2016年に「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログがバズっていたので、東京都の待機児童問題については警戒はしていたのですが、さすがにそれは3〜4年前の話で、当時から散々国会で議論されていましたし、現在はだいぶ改善されたような話を聞いていたので、どことなく楽観的に考えてました。

2019年10月ごろ: 妊娠発覚。保活開始。

入念な子作り計画が功を奏し、無事に妊娠したことがわかりました。

その頃から、数々の先人たちのブログを読み漁り、いわゆる「保活」なるものをはじめないといけないのかな、と意識し始めました。

実際にそこから区役所に何度か電話したり直接話を聞きに行きましたが、説明員の方は「実際は保育利用調整点数だけで決定されるので、それ以外の要素や優遇措置は無いですよ」という話をされていました。

そう言われてしまうとそれ以上何もアクションできないし、実際に住んでいる家の近所には保育園が20箇所近くあったので「さすがにどこかには決まるでしょ。。」とタカを括っていました。妻の出産の時期がもう少し近くなってきたら(確度が高くなってきたら)、保活も兼ねて実際にいくつか保育園の見学をさせてもらおうかな、と思ってました。

2020年3月: コロナ禍 突入

ここで、まさかのコロナが発生します。
私の所属するグローバル企業は世界中の全オフィスが閉鎖し、全社員がリモートワークに移行しました。(実は現在でもまだ閉鎖継続中です。)

それに合わせて、すべての保育園が見学受け入れNG、区役所にも極力来てくれるな、というような事態になってしまいました。

実際に、妻も出産が近いこともありコロナ感染のリスクを最大限なくすために、コロナが落ち着くか、出産までは妻も私もおとなしく保活を中断することにしました。

2020年8月: 緊急事態宣言中に長男誕生

無事に長男が誕生しました。
結局コロナが落ち着くことはなく、病院のルールにより、妻の出産は家族誰も立ち会いすることができず、一人きりで早朝に数時間にも渡って苦しみながら子供を生んでくれました。

妻は実家の山口県の病院で出産したのですが、これまたややこしいことにコロナ禍により各地に緊急事態宣言が出ている中での出産になってしまい、「県外から来訪者は原則2週間待機すること」みたいな状況になってしまったので、結局私は山口県の病院にいけないどころか東京都内で待機するような形になってしまいました。(妻の産後の不調などもあり、実際に息子に会えたのは、誕生から約2週間後になってしまいました。)

いろいろありましたが、無事に息子が生まれてきてくれたので、0歳から保育園にあずけて妻が復職するためにも、2021年4月入園をターゲットとしてもろもろ準備を進めることになりました。

2020年11月: 保育園 入園 第一次申し込み

あらかた保育園の定員情報が出てきたタイミングで、家の最寄りの保育園を厳選し、第6希望まですべて埋めて提出しました。(郵送でOKとのことですが、念には念を入れて区役所に直接提出に行きました。)

入園の結果がわかるのが、2021年2月ごろ(遅くない???)だということで、それまでおとなしく待つことにしました。

2021年2月上旬: 第一次申し込みの結果 全敗

まさかの、全敗でした。
「え・・・全敗???? 4月入園の希望で、いま2月よ???待機児童問題って改善されたんじゃなかったの???」と頭が真っ白になりました。

第二次募集もあるとのことでしたが、2/10までに申し込み用紙を提出して、3月中旬に発表、受かっていれば4月に入園(落ちてれば5月入園を目指す ≒ ほぼその年度は絶望的)、というかなり無茶苦茶なスケジュールでした。

しかも、第二次募集は、すでに第一次募集で欠員が出たところ(≒
人気が集まらなかったところ)ということもあり、微妙な感じの保育園が多く、家から徒歩30分だったり、最寄り駅から上り坂で徒歩20分とか、給食はすべてビーガン食、(口コミで)園長が圧力的、みたいな保育園がほとんどで、正直にいって「この中から選ぶのヤダな。。」というものばかりでした。

2021年2月上旬: 大家族会議

この時点ですでに2021年2月ということで、めちゃくちゃ焦ってました。
仮に第二次募集に落ちた場合は、妻が一年間復職できなくなる可能性も高いですし、いまから無認可の保育園を探すにしても4月入園はかなり厳しく、とにかく時間がありませんでした。

あと、第二次募集のイケてない候補の中から無理矢理選ぶこと自体が、息子の人生を適当に決めてるようで、とにかく気持ちよくなかったです(息子をビーガンにしたくないですしね。。。)

そこで妻といろんな観点で意見を出し合い、話し合いました。

そこでこんな意見がでました。

「あれ?なんでそもそもこんな条件の悪い東京で保育園探さないといけないんだっけ?」

というものでした。

「別に、日本全国すべての保育園が埋まってるわけじゃないんだから、空いてる保育園のある土地に我々が引っ越しすればいいんじゃない?」という、ある意味で当然の結論に至りました。

というもの、この時点で私はすでに1年以上リモートワーク生活が続いており、コロナ禍でほとんど外出もできなくなっていた状態だったので「そもそもなんで東京住んでるだっけ?」という気持ちになっていたのでした。

それに加えて、実は2019年から東京に住みだす前から、神奈川県川崎市 → シリコンバレー → 東京、という感じで、国をまたいだ移住生活続きだったので、引っ越す事自体に抵抗をあまり感じない感覚になっていました。

むしろ、「日本国内の引っ越しなんて、言語の壁も無ければ、就労ビザを取る必要も無いし、会社がOKくれれば転職する必要もない。東京都内に引っ越すのと大差ないから楽勝でしょ」くらいの気持ちでいました。

実際に私の上司に軽く相談したところ「もともとおれたちのチームは全員世界各地から(自宅/オフィス関係なく)リモートで働いてるようなものだから、インターネットさえ使えればどこから働いてもいいよ」と言ってくれ、あっさり承認が降りてしまいました。

さらにラッキーなことに、妻の会社も、スタートアップ企業だったためか、「チーム内でフルリモート勤務の前例はまだ無いけど、初の事例として面白いんじゃないですかね」と承認をもらえたようでした。

予想していたよりもかんたんに、夫婦二人してフルリモートの承認が取れてしまったので、「日本全国から保育園が空いている地域に引っ越す」という計画が現実的に動き出したのでした。

2021年2月上旬: 候補地として広島県広島市を見つける

そこから、雰囲気が良さそうで空きが潤沢にある保育園がある土地で、いくつか候補を絞っていきました。

私の実家が京都で、妻の実家が山口ということで西日本を中心に探していましたが、コロナ後はアメリカや東京への出張があることを見越して、新幹線の駅 and/or 空港がある県を探し、最終的に広島県広島市の地区に決めました。

実際は、広島には私自身ほとんど行ったことがなく、縁もゆかりも無い土地でしたが、山と海などの自然があり、近くにスーパーやショッピングモールもあり、なんとなく評判も良い、というぐらいのざっくりとした理由で広島市を選びました(というより、2次募集の締め切り2/10が迫っていたので、ゆっくり選ぶ時間がなかったのが本当のところです。)

2021年2月中旬: 東京の第二次募集の申し込み & 広島市の第二次募集の申し込み

第一次募集が全敗してから、ここまで1〜2週間ほどです。

2/10の第二次募集の締め切りが迫っていたので、とりあえず残っていた東京の二次募集枠の第1-6希望 + おまけの第7 & 8希望を書いて提出しました(職員さんいわく、枠外にも候補書いてもいいよ、という裏技があったそうです。。。ほんまかいな。。。。

それと同時に、広島市の市役所に確認をとりながら、最初から第10希望ぐらいまで書けたので、全部書いて提出しました。このとき住民票は東京にありましたし、まだ東京の選択肢も同時に検討している状況だったので、市役所の方と相談しながら、問題にならないように、慎重に申し込みを進めました。

2021年3月中旬: 結果発表。

結果はこんな感じになりました

  • 東京は、第二次募集の第8希望(1次募集から数えると第14希望目)が合格

  • 広島市は、第1希望が合格 (最高!!!)
    ただし引っ越し & 住民票が間に合わないので5月入園になるとのこと。

ここでまた家族会議が行われましたが、最終的に子供の育児環境を最優先して、広島市への移住を決めることにしました。

あとは引っ越しやフルリモート勤務の準備など、淡々とやるべきことを進めていった感じです。

広島市に移住してどうだったの?

2021年4月末に広島に引っ越しまして半年ほど経ちましたがが、控えめに行って最高です。

保育園は、とてもきれいで敷地も広く、園長や先生もとてもおだやかな感じで、かなりいろいろ融通してもらえているので、子供にとって最高の環境を用意できたかなと感じています。我々は5月に入園しましたが、その後9月ぐらいまでは月1-2名ほど新規に入園してたので、だいぶ余裕があったようです。ここは東京とだいぶ違うところですね。

また、ショッピングモールや飲食店は、東京じゃ考えられないほど赤ちゃん連れの夫婦が多く、お店はどこもゆったりとしていて、施設には休憩スペースや赤ちゃんのおむつ交換スペースなども十二分に用意されています。

今日はクリスマスでしたが、美味しい洋食店でも予約ナシで、ベビーカーで入って美味しく食事することができました。(同じエリアに赤ちゃん連れが4グループもいてびっくりしました。それぐらいゆったり使えるスペースでした。)

近所のスターバックスも、埋まりすぎずガラ空き過ぎずと行った感じで、常に30-40%ぐらいが埋まっている感じです。都内のように「席で勉強 & 仕事禁止」みたいな看板も見たことないです。

ちなみに家は、15平米ほど広くなりましたが、家賃は月5万円ほど安くなりました。(ただし子供の保育園通園のために車を買う必要があったので、思ったほど生活コストは下がってはいません。)

あと、仕事環境に関しては、恐ろしいほど変わっていません。もともとコロナ禍でリモート勤務だったので、本当の意味で「インターネットにアクセスする場所が変わっただけ」な感じです。今は本当に良い時代ですね。。。。

地方移住して困ったことないの?

広島に半年ほど住んで、移住してよかったことは50個くらいあるのですが、逆にだめだったことは、かなり頭をひねらないと出てこないです。
今のところ思い浮かぶのはこれぐらいでしょうか。

  • 新築/築浅の賃貸物件が少ない

地方都市ではあるあるかもしれないですが、東京よりも引っ越す人が少ないせいで賃貸物件そのものが少ないですし、あったとしても築10-20年というのが多いです。また新築でアパートが建つような話も東京ほど多くなくて、新築だったとしてもほとんどが家族向けの分譲型マンションだったりして、条件に合うちょうど良い賃貸物件を見つけるのに若干苦労しました。結局、たまたま分譲型マンションの個人オーナーが個別に貸し出ししている賃貸物件を見つけることができて、そこに決めることができました。

  • 全国チェーンの賃貸会社、銀行の社員の態度が悪い

これは全国チェーンの会社なので、本社と支社が連携できておらず、うまく教育できてない or 温度感があってない的な問題かも知れません。

個人的には、在米時代にアメリカのDMV(運転免許検査場)や電気料金支払窓口などの人間として最低レベルのオペレーションを見てきたので、それに比べたら要求内容が通じるだけでもだいぶマシですね。

  • 車社会なので、免許がないと辛い & 車の維持費かかる。

やはり東京都市圏ほど電車が張り巡らされているわけじゃないので、車がないと移動範囲にだいぶ制限がかかりますね。とはいえ、車じゃないと行けない施設があるぐらいの程度で、電車&バス使えば広島市内はほとんど困らないです。

  • ファーストフード店に選択肢が少ない

東京ほどそこらかしこにファーストフード店があるわけではないです。
この地域にはマクドナルドはあるけど、最寄りのモスバーガーは超絶遠い、みたいな状況が日常茶飯事です。ぼくはどっちもほとんど行かないのであまり興味ないですが。

このあたりは、私自身がインドアで、コロナ関係なくあまり不要な外出はしないタイプの人間なので、ちょっと極端な見方かもしれないです。

一生広島に住み続けるの?不安は無いの?

今のところ、一生広島に住み続けるかはわからないです。仕事と子供の状況次第かなと思ってます。

今の環境が続けられれば続けたいと思ってますが、仮に会社を変える必要があったときに、次の会社の勤務条件次第かなと思ってたりします。

今後の国内 & 国外 の企業が、恒久的にフルリモート勤務を許容してくれるようになればいいなとは思いますが、まだ米国企業も含めてまだ揺れている感じなので、もう少し観察が必要かなと思ってます。

いずれにしろ、私自身、住む場所に特別なこだわりがあるわけではないので、「必要があれば、必要な場所に引っ越せばいいだけかな」と気楽に考えているというのが正直なところです。

最後に

ながながと文章書いてしましましたが、最後までお付き合いいただいた方、本当にありがとうございました。

もし私のような人間に興味もってもらえたら Twitter をフォローしてもらってもいいですし、私が運営しているYouTubeチャンネルを覗いてもらってもいいかもしれません。

それではまたどこかでお会いしましょう。

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