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ヒット曲よりも大事な「月1の新曲リリース」

音楽プロデューサーという職業にとって、「ヒット」ほど大事なものはない。

音楽業界に入ってからずっと、ヒット曲を出すには何が大事なのか、ということを考えてきた。もちろん、今もずっと考えている。

音楽ストリーミング配信で聴くと、世界中のトレンド曲をいち早く聴くことができる。誰もが、ヒットしようと躍起になっている。ストリーミング上でバズれば、歌手への道が拓けると夢をみている。

ナオトインティライミさんの海外進出の際、マネージャーをしていた時、海外で無名の日本人アーティストがバズるためには、大ヒットが必要だった。いきなり売れそうな臭いのする企画を唸りながら考えていた。

「ヒットだけじゃバズれない。大ヒットを出さないといけない。」

そうやって、自分にもアーティストにも言い聞かせていた。しかし今、全く逆のアドバイスをするようになった。

「大ヒットを狙うな。とにかく、ヒットを狙え!」
「ヒットじゃなくてもいい。月1で楽曲をリリースしよう!」

今の時代、一度も楽曲をリリースしたことない中で、いきなり大ヒットを出せるアーティストは、世の中にどれだけいるだろうか?

毎週、毎月、楽曲をリリースし続ける。
どの曲の反応が良くて、どれがいまいちだったかのデータを分析して、次の新曲に活かす。そういう努力をした人は、いつかどの新曲もヒットし、気がつくとたまに大ヒットが生まれるようになる。

1曲にかける制作費よりも、継続的に新曲をリリースし、やり抜く力の方が大事な時代だ。亀はウサギに勝つ。

毎週新曲をリリースするとなると、ネタ探しに多くの時間を割くことは難しい。だから、「電車で見た人の人生を歌詞にしよう」「カフェで話す女子トークを恋愛系の曲にしよう」など日々の出来事を楽曲化することを推奨している。

今、大きなムーブメントを起こしているラテンのレゲトンアーティストをチェックしてみてほしい。有名なアーティストの仲間入りをするために、1年間に10から12曲をリリースした。

今や超有名アーティストとなったOZUNAだが、まだ売れ始めた頃に、彼の事務所のCEOがこう語っていた。

「OZUNAが売れるようになるまで、今年1年間に13曲リリースする予定だよ。ヒット曲が2曲くらいでたら、こっちのもんさ!それまでは、お金のたれ流しだけどね。笑」

その一年後、彼は超ビッグスターになっていた。

そんなやり方で、プロのアーティストになれるのか?と疑問に思うかもしれない。

しかし、継続的に楽曲をリリースしているアーティストの新人アーティストの方が、かなりの速さで成長している。正直、継続すると、ここまで早く変化が表れるのかと僕自身もびっくりしている。

例え

CDショップやランキングという限られたポジションを奪い合うとなると、新人アーティストがそう簡単に注目を浴びることは難しい。日の目を見ることがないと、自作を客観的に振り返る機会がない。大切なのは、毎日、工夫しながら継続することなのだ。

ゆっくりとした成長は、前に進んでいないように感じて、じれったいかもしれない。でも、1年という単位で振り返ると、全く違う場所へと辿り着いている。

そして、僕は、レベルがある程度高まったタイミングで、ヒットを狙った、大掛かりな制作を進める。すると、SNSで話題を呼ぶバズが本当に生まれてくる。それも、継続的にリリースしていた楽曲があるからこその、エンゲージメントによるムーブメントとなる。フォロワーも1桁単位が増え、タイアップして欲しいというオファーも届き始める。

ヒットすると、注目を浴びることができる。はじめの頃は、継続的な新曲のリリースをしてもすぐにお金には反映しないかもしれない。しかし、自分の才能を開花させ、プロとして食べていくためのメディアに十分なる。

今、求められる楽曲の質が、昔と変わってきている。

『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE』の本に「納品主義からアップデート主義へ」という内容を書いた。つまり、音楽に置き換えると、デビューして大ヒットする時代から、アップデート、アップグレードし続けれる新曲のリリースの方がよくなってきた。

有料メルマガの成功事例として、堀江さんのメルマガはもっとも有名だ。その中に、突飛な企画は一つもない。堀江さんの日記だったり、メンバーからの質問への回答など、「今週はメルマガに書くことが思いつかない」ということが起きない企画が組まれているからだ。

Twitterは続けていると自然とフォロワーが増えていくし、Youtuberとして活躍している人も、毎日配信することを大切にしている。ずっと続けることが一番重要で、企画の強さを最上位に置いてしまうと、継続が難しくなってしまう。

僕がプロデュースしている歌手アナ・ヴィージャも、週1でVlog、インスタライブを行い、2週間に1回のカバー曲をYoutubeにアップし、月1の新曲リリースに向けて制作を同時進行しているところである。

タイアップや大きなプロジェクトが決まってからじゃないとデビューできないとなると、継続はできないと思ったからだ。

同時に、Vlogやインスタライブは価値のあるコンテンツだと思う。今まで、アーティストは私生活が見えないオーソリティ型が良いと思われていたが、今は私生活も見えるフレンドリー型のアーティストが共感性を与え、ファンとのエンゲージメントを高めている。

ファンは、共感することで、ファンとしてのロイヤリティをさらに高めていく。

月1の新曲のリリースができないとしても、極力コンテンツを継続的にアップし、無料と有料で継続的な価値の提供を、どのように共有するかが、求められるようになっている。

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