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教員5年目のはなし

20歳の頃に決めた、「初任校での任期が終わったら、海外に行く。」と決めていた計画を実際に行動に移す初任校での最後の1年となりました。ラストイヤーとなった2022年はこれまでに学んだこと、感じたことを発揮する集大成となる年となりました。4年目までは自分の仕事、成長に集中していましたが、この年は、これまでお世話になった初任校に貢献する意識が芽生え、分掌の仕事や、海外の高校との協同研究のシステム作りなど、学校運営に関わる仕事に努めた1年でした。また、1年生の担任を任せてもらい、クラス運営に関してもこれまでの反省を活かした生徒への指導や関わり方を意識しました。また、この年は学習指導要領が改訂され、新カリキュラムでの教科指導を行うことができました。

01 クラス運営


クラス運営では、これまで当たり前にやってきたことを見直して、本当に大切なところを大事にするクラス運営を心掛けてみました。

1.始まりと終わりの挨拶の撤廃
2.掃除は週に3回
3.提出物を「無理に出させる」はしない

年度当初にも入学生であったクラスの生徒達に、「人に言われたから行動するのではなく、自分で考えて、自主的に行動する人になってほしい。」と伝え、当たり前を疑い、「なぜ?」を5回くりかえして考える。そんなことを生徒達に伝えると共に、自分も実践しました。

それと同時に大切なことである、教室の環境整備、黒板がきれいであることや、連絡の徹底、生徒との面談や、カジュアルなコミュニケーションはより綿密に行いました。また、生徒には、勉強以外に、ちゃんと高校時代はとても貴重で人生に一回しかないから思いっきり青春して、たくさんの失敗もするように言い続けたつもりです。

担当した生徒達が非常にまじめだったこともありますが、何も言わなくても、生徒達は勉強にも、行事にも主体的に向かい、非常に有意義な1年を生徒達は過ごしました。担任が生徒に与える影響は大きく、担任の色が学級にでると言われます。私が、教員として非常に生真面目なのもあり、生徒達は本当にまじめです。もう少し、砕けてもいいのになとたまに思ったりしますが、総じてとても素直でいい生徒です。今年はかなり緩く振舞ってみたと思うのですが、もっと自分の弱さや、足りないところを見せてもよかったかなとか思ったりもします。

02 生徒指導課の業務


分掌は5年間通じてずっと生徒指導課でした。初任の内は色々な分掌を回って、経験を積むんだと最初に言われていたのですが、蓋を開けてみれば、生粋の生徒指導の教員になりました。生徒指導課といっても、落ち着いた学校なので、生徒会誌の編集や、応援団の指導、文化祭、体育祭の運営、校則の検討などなど、学校行事の運営が主な仕事です。もちろん学校で問題行動が発生した場合は、その聞き取りや、指導原案の作成は生徒指導課を中心に行います。5年間で、体育祭以外すべての仕事を経験しました。進学校は教員数が足りず、業務量に担当教員が合わない傾向があります。なので、1年目の頃から、1人で担当の仕事がガンガン割り当てられます。1年目の頃は、4月の最初からいきなり応援歌練習の計画と運営を一人で任され、大変だったり、野球応援全校応援の計画、大型バス12台の発注、配車計画など、非常に大変でした。5年目になり、コロナが落ち着いてもう一度野球応援を行う際には、非常にスムーズに仕事が進み、自分の成長を実感できて嬉しかったです。5年目で受け持った大きな仕事は、文化祭と高速検討委員会です。

文化祭は、コロナ下での運営で、感染状況が読めない中、感染対策ガイドラインを0から綿密に作成し、感染対策を徹底した上で全校行事を成功させました。できるだけ、生徒の青春を作りたかったので、反対はされながらも、3年生の模擬店を実施し、これまで、1日開催だった文化祭を2日開催で行い、生徒の意見をできるだけ取り入れた文化祭にすることができたことは、自分がやってきた仕事の中でも誇れるものの一つです。

また、学校での携帯端末の使用のルールを改定するため、生徒、職員、保護者が会議を開き、校則検討をし、新しいルール作りをするといった本校では前例のない取り組みもしました。これも、自分に仕事を任せてもらい、何とかうまく、生徒を動かし、生徒中心の校則改定を行うことができました。

03 探究活動×海外高校との協同研究


探究活動にもかなり力を入れました。私が勤めている学校はスーパーサイエンスハイスクールなので、理数系の研究を先進的に進めます。また、国際教育的な視点も含んでおり、海外の高校との協同研究を一つの柱と掲げて、第3期SSHがスタートしました。その海外との協同研究を繋げる仕事を任せてもらい、イギリスの高校と繋がり、海洋に関わる研究・プロジェクトを一緒に行ってきました。その関係で、理数科の生徒達と、彼らが1年生の頃からともにプロジェクトを進めさせてもらい、非常に充実した時間を過ごさせてもらいました。生徒達と共に、海洋問題や、プラスチックについて考え、学び、探究を深める中で生徒達の成長を近くで感じる経験は確実に私にとって忘れられない経験です。

04 教科指導(新カリキュラム)


教科指導においても、色々なことにチャレンジしました。絶対にブレない書くとして自分の中で持っていたことは、生徒の3年間だけではなく、生徒の人生を長い目で見て指導する。ということです。たとえ、高圧的に指導して、テストの点数が上がり、生徒が苦しんで学力を上げて、共通テストで高得点を取り、志望校に合格できたとしても、生徒が英語を試験の為だけととらえてしまい、むしろ英語そのものを嫌いになってしまっては元も子もありません。なので、生徒には常に、「今英語ができなくたって、何も問題ない。大切なのは、英語を好きであること。興味を持ってみること。そしてゆっくりでいいから学び続けること。テストの点数ばかり気にして偏差値が高校の時に高い人より、大人になっても英語に興味があって、続けている人の方が、最終的に英語もできるようになっているし、英語が人生を助けるようになる。」といったことを伝え続けてきましたし、興味を持ってもらえるかどうかは私の力量にかかっていましたので、毎回毎回授業を工夫して行っていました。その中でも、もちろん進学校ですし、「楽しい」の一番の原動力は「できる」ですから、生徒の英語力が上がるように今できる全力で指導しました。因みに、明日の課外で教員人生最後の授業となります。灌漑深いですね。悔いの無いように、気持ちを込めて授業をしてきたいと思います。

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