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ぼれ

「時短営業中は、俺のラーメンだけ一杯2,000円でもいいよ」と、馴染みのラーメン屋で冗談を言ったけれど、半分は本音。だって、客として食べた分しかお金を落とせない飯屋のルール(縛り)って、けっこう辛い。今が厳しいのは分かっているだけに。

さすがに莫大な寄付はできない。けれど「少しくらいは何かしたい」と感じている常連客は、僕の他にもたくさんいるはず。例えば、店の玄関に募金箱を設置してみるとか。そしたら、僕は通るたびに1,000円を募金する。それが10人分集まれば1万円、100人分集まれば10万円だ。

政治に補償を求めることは大切。その一方で、少しは常連客にも甘える。僕からは、ぼろう。いつかの笑い話にさせてくれ。

平成版の鉄腕アトム(アストロボーイ)で「金星ロボット襲来!」という回がある。

金星開拓計画が頓挫し、海中に捨てられた金星ロボットたちは、いつか自分たちを作った創造主(科学者)が再び現れる日を待ち続けて、海底に都市を作って密かに暮らしている。ある日、その心のスキを天満博士に利用されて地上で暴れてしまうのだけど、最後はアトムとの友情を心の拠り所にして、海底に戻っていく…、という話。

これは手塚治虫が頻繁に漫画で引用した戯曲「ゴドーを待ちながら」に対する、制作チームなりの回答で、いつまでも現れない「神」を待ち続けることがいかに脆弱で危ういかを示す、「妄信的」な依存に対する警笛だ。(※この話に限らず、平成版の鉄腕アトムは単なるリバイバル作品に留まらず、手塚治虫が残した問いに対する回答とも取れる内容が多くて、とても面白い)。そして、金星ロボットたちが最終的に「神」に代わって「友」を信仰するという構造がとても興味深い。

「神」から「友」へ。政治に補償を求めることは当然だけど、いつまでも現れない神様を待ち続けることは、身も心もかなりヘビー。もしかすると目の前に頼る相手がいるかもしれない。とりあえず、僕からはぼろう。

最後。食べ物とか飲み物とかのプレイリスト作った。矢野顕子の「ラーメン食べたい」がSPOTIFYにないことが残念だ。

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