セカンドハーフ通信 第37話 プラントハンター

プラントハンター

軽井沢の春は遅い。5月になってようやく木々の若葉が芽生え、庭の植物たちも少しずつ葉を出し始めた。庭の植物たちの多くは、自称「プラントハンター」である私がお気に入りの植物を集めたものだ。

プラントハンターは気に入った植物を見つけては採取してくる。もちろん、他人の家の敷地などは避け、道端や雑木林などに自生しているものを小さなスコップで掘り起こしてくるというささやかな楽しみだ。

家の近くには広々とした自然林も多くあり、春から夏にかけて色々な植物が花をつける。犬の散歩をしながら、ゆっくりと林の中を歩き回っていると時々美しい花にでくわす。小さな株を掘り起こしたり、季節をまたいで種を採取し、家の庭に植えてみる。

冬になるとそれらの植物は姿を消してしまうが、そのうちほいくつかは雪や氷の時期を経て、翌年の5月くらいから少しずつ再生の芽をだしてくれる。長く厳しい冬を越えて復活する生命力には驚くばかりだ。

今までは園芸ショップで花を買うことも多かったが、この地に暮らすようになって、散歩で目にする野生の花も増え、その美しさがわかってきた。自然のものを見つけて庭に植えるのは得した気分にもなるし、それ以上に彼らの発する強い生命エネルギーをわけてもらえるような気分がする。

昨年植えたぎぼうしが、そろそろ芽を出すころだ。それはあっという間に大きな葉を広げ、やがて薄紫の清楚な花をつけるはずだ。

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