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真夏の地中海沿岸ヨーロッパ旅の思い出Vol.3

前々回からの記事に引き続き、夏休みのヨーロッパ旅行の記憶を綴っていく。
今回の記事は、Day5-6の記録。前回の記事は以下から。

Day5

早朝の旧市街。バルセロナには珍しく昨晩雨が降ったからか、少ししっとりとした空気感だった。
数日滞在してもなお建築に飽きることがなく、街歩きを楽しんでいた。朝の光の感じが個人的にとても良いと思う。
行きたかったコーヒーショップに開店とほぼ同時に入る。コロンビアの質の良い豆をハンドドリップで飲んだが、本当に美味しかった。
固形物を胃に入れたかったので、少し歩いて別のカフェへ。バナナローフとラテを楽しむ。バルセロナで行ったカフェにはほとんどハズレがない。
この日はバルセロナを離れ、昼の電車で南フランスへ。当初は飛行機で移動する予定だったが、行きの便だけキャンセルして4-5時間程度の鉄道旅を楽しむことにした。こんな感じの湿地帯を眺めながらの移動。季節と地域によってはフラミンゴも生息するらしい。
天気がちょうどよく、雲の雰囲気が非常に記憶に残っている。電車の中での時間は意外と後になっても印象に残るものだ。
Nîmesという駅で乗り換え。ここから目的地までの車窓から見える景色は、一気に田舎感が増し、非常に情緒的だった。
PM6時頃、目的地のアルルに到着した。プラットフォームは日本の田舎にある駅を彷彿とさせる簡素な印象。都会から田舎に来て、一気に気楽な感覚になった。
駅を出て、ローヌ川沿いに街を歩きながらスーツケースを引いて宿に向かう。Googleマップを見る限りこじんまりとした小さな街で、歩いてどこにでも行けそうなスケール感だと理解した。
バルセロナもそうだが、南フランスは鳩がとても多い。とくにアルルではどこに行っても鳩に遭遇する。
建物も雰囲気がある。ロマネスク様式の建築が多く残り、古代ローマ帝国の名残が今なお感じられる。これも南フランス特有のゆったりした空気感に通ずる要素の一つなのかも、となんとなく思った。
市街地は車も通れるけれど、基本的に道幅は狭く異世界に迷い込んだよう。街歩きが本当に楽しく、何回同じ道を通ってもワクワクした。
Place du Forum(フォルム広場)という広場が街の中心。テラス席で団らんしながら食事をする人々で夜まで賑わっていた。
アルルでは世界で最も古い歴史ある写真博覧会が行われるのだが、ちょうどその開催期間に訪れた。街の至るところに写真やポスターが貼られており、ストリートアートのようになっている。
デザイナーの柳原さんのアトリエ「VAGUE」では、日本のKyoto Graphieの展示が行われており、無料で入ることができたので覗いてみた。
空間をアレンジしつつ作品の魅力が伝わるような展示をされていた。作品数に対して空間が少し狭い気もしたものの、興味深い内容だった。
日本の写真家の作品のみ展示されており、少し過激な写真作品も。こういったテーマを扱えるのが南部ヨーロッパの魅力。
アルルでは、街全体から芸術や芸術家へのリスペクトを全身で感じた。まるで芸術の本質的な価値を深く理解しているような、なんとなくそんな空気感が漂っている。
少し歩いて宿で休んだりしていたらPM8時ぐらいになっていた。せっかくなのでローヌ川沿いで夕日でも見ようと思った。
橋を渡り対岸を軽く歩いて時間を潰す。鳩が群れになって飛んでいた。
飛行機雲がきれいだった。徐々に空が暗くなっていく。
空が少し曇っていたけれど、夕日に染まる空はなかなか風情があった。
川沿いでは人々が座って空を眺めたり、本を読んだり友人同士で喋ったりと、思い思いの時間を過ごしていた。アルルのローヌ川は京都の鴨川的な存在なのかもしれない。
マジックアワーの景色。一瞬だったけれども、とても良い時間だった。
夜10時でもフォルム広場はかなり賑わっていた。治安も良さそうだ。
ゴッホの描いた「夜のカフェテラス」のモデルとなったカフェが、フォルム広場にはある。実際は、絵を再現しようとして作られたカフェのようで、ゴッホが描いたカフェは既になくなってしまったらしい。
夜の街を徘徊してストリートスナップを撮影しつつ、宿に戻って眠ることとした。

Day6

翌朝、出かける際に階段を降りようとすると、上階部で2匹の猫がこっちを見ていた。
宿のオーナーにおすすめとして紹介してもらった「Peach」というカフェで朝食。クロワッサンが絶品で、何個でも食べられそうだった。カプチーノも美味い。
朝の時点では少し曇り空だった。結果的に、この日は晴れたり雨が降ったりと変な天気だったのだけれど。
カフェを出てL'espace Van Gogh(エスパス・ファン・ゴッホ)へ行ってみた。ここはゴッホが療養していた病院の跡地で、現在はカルチャーセンターになっているらしい。中庭はゴッホの描いた絵を再現して復元されている。植物は小綺麗に手入れされている一方で建物は趣ある感じが、個人的には好きだった。
アルルの主要な歴史建築を周ることができる入場パスが市庁舎で販売されていた。せっかくなので歴史を学ぶために購入してみた。
パスで入ることのできる場所の一つであるCryptoportiques d'Arles(古代フォーロム地下回廊)は、不気味な雰囲気もありつつも圧巻だった。内部は涼しくて神秘的。
空間を見事に生かしたアート展示がされていた。どこか怖さのようなものも感じる。
展示はモダンアート的な雰囲気があり、いろいろと勝手に解釈しながら楽しんでいた。
Cloître Saint-Trophime(サン・トロフィーム回廊)にも訪れたが、ここも大満足の内容。精密な彫刻を楽しむのみならず、実際に身を置くことでアルルの過去の発展を実感できた気がする。
写真作品も一部展示されていた。空間との調和が素晴らしかった。
建物と建物の間に狭い路地があるので、日光が差し込んだときの陰影がたまらなく良い。
郊外まで少し歩いてAlyscamps(アリスカン)という墓地に来た。ゴッホやゴーギャンの絵で有名な場所だが、観光地化されきっていない並木道がとても良かった。
並木道の奥には教会の廃墟が残っていた。清掃などされておらず衛生的ではない感じはしたが、荘厳な雰囲気は今なお感じられた。
ストリートスナップを撮影しつつ中心部に戻る。街自体が小さいので、問題なく歩いて移動できた。
観光客で賑わうエリアへ。土産物屋もいくつか開いていた。
アルルのシンボル的なArènes d'Arles(円形闘技場)へ。ローマのコロッセオなどと比べると規模は劣るけれど、実物はかなり迫力があり存在感抜群だった。
内部は広くて全体を見渡すことができ、綺麗で状態が良さそう。たまに雄牛を使ったイベントが開催されているらしい。
上の方に登ることもできる。日差しが強かったものの、アルルの街並みを見渡すことができ風もあったため気持ちよかった。
内部をぐるっと歩いてみた。昼間の太陽の光が差し込んでできる陰影が良い。
再びフォルム広場に戻ってきた。結局広場のレストランで食事はしなかったけれど、一人で食事する人もたまに見かけた。
何気ない景色でも、光が反射した壁の質感がとても美しいと思った。
PM1時からFondation Vincent van Gogh Arlesというゴッホ財団の美術館のチケットを取っていたので、鑑賞しに来た。エントランスの「Vincent」の文字とデザインが好き。
普段はオルセー美術館に保管されているゴッホの「ローヌ川の星月夜」が、僕が訪れた時期にはアルルで展示されていた。一年前にもオルセーで鑑賞したけれど、絵が描かれたアルルで鑑賞すると感じ方も違う気がする。改めてタッチと配色が魅力的な画家だ。
展示の仕方や内容も大満足。部屋ごとに宇宙や星にまつわる異なるテーマを設けて世界観を作り上げていた。非現実的な別の世界で過ごしたかのような時間だった。
屋上にも登ることができた。高速で飛び回る鳩の群れが遠くに見え、エネルギーを感じた。
美術館で展示されている作品を掲載したポスターを街中ではよく見かけた。美術館に行かず、街中でポスターを見るだけでもある程度は楽しむことができるかもしれない。
鑑賞後の余韻に浸りながら適当に街歩きをしていた。
ヨーロッパではペット連れの人たちを頻繁に見かける。犬を連れている人が圧倒的に多く、大型犬率も結構高いと思う。
先ほど購入したアルルの歴史建築用の入場パスでMusée Réattu(レアチュー美術館)にも入ることができることに気づいたので、来た。
宗教画のコレクションに加えてピカソの作品がいくつか展示されており、内容的にとても充実していた。またヌード写真やストリート写真の展示が充実しており、特に個人的にも趣味でやっているストリート写真はインスピレーションを得られたし、勉強になった。
鑑賞中に雨が降ってきたため、雨宿りがてら館内の作品をじっくり見て時間を過ごした。
夕立ちレベルかと思ったら、そこそこ長い時間振り続けていたので、美術館を出るタイミングに悩んでいた。完全にやむことはなさそうだったので、雨が弱まるタイミングを見計らって退散した。

Day7に続く。


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