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書評「天国のうた」

「ここではない どこかへ / 理想の地を探しても見つからないだろう」

 冒頭のポエムの一節である。理想を追い求めるあまり、遠くの地を探すのは人の常である。「今、ここに在る理想をつかまえる」こと。それが重要なのだ。

 本書は表題作「天国のうた」を含む、計8作品の短篇集である。
 祖父と暮らしはじめた女の子、天国を創るように依頼された学生、サッカーを愛する少年……。

 それらの物語に通底するのは「若者の挑戦」である。どの若者も自分の殻を破り、己を成長させてゆく。その姿は、読者を清々しい気持ちにさせてくれる。

 「この地に天国をつくる」のは、いつの世も若者の役目なのかも知れない。


 A5サイズ、117ページ。税込1375円。
 著者:雨音多一。

 2020年9月22日、Next Publishingさんより出版。

https://www.amazon.co.jp/dp/B08JBB1VNC/

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