🔴いつも大安吉日8　〜春よ来いはやくこい〜

【春よ来いはやくこい】

花が咲きはじめた

草が起き上がりはじめる
木に若い葉っぱがついた
風があったかくなりはじめる
自然と気持ちが外にむかう


みんなちぢこまった体を伸ばしはじめてる

春がすぐそこまでやってきたぞ

縁側に入る日射しがきもちいいぞ


長い冬のおわり

ここ佐久穂町の冬は長くて寒い

春夏秋ときて冬冬冬ってくらいの割合だ

体はだんだんと慣れていったけど、やっぱり寒かった

暖冬なんてウソだと思ったよ
暖冬がホントならいつもはどんななんだろ

積雪量は少ないけど雪が降る回数は思ったよりも多かったな
いつもこんなもんなのか

気温が低いから降った雪も「サラッサラ」で雪かき用のスコップよりも竹ぼうきのほうが楽だった

この冬は何日かしかなかったけど、日中もずっと氷点下のときもあった

寒くてからだもあんまり動かない冬
畑仕事も土がカチカチで何もできない

冬までに蓄える保存食やら薪、家の中でやれる手仕事

春夏秋は冬の準備で、冬は次の冬を乗り越えるための春夏秋の準備充電


そして春、一気に動きだす

農も山も動物も、がっこうも会社も
いつもの暮らしもあたらしい暮らしも

春ははじまりのときだ


佐久穂町のぼくが暮らす地区

桜も梅もほぼ同じ時期に咲く
種まきや定植、豆も野菜も時期が重なる

今年はしっかり米もつくる
もちつきもぽん菓子も米だからね

農作業がはじまる春からは天気も毎日気になる

朝の天気次第でその日やることが決まる

そーだ、ぼくはその日暮らしだ


その日暮らし

晴れているなら土いじり
雨ならやれることをやる

田んぼ畑がはじまると基本はそんな暮らしになる

だけどぼくは農家じゃない

たっくさん作っているわけじゃない

米なら自給用と糀とかに加工する用、もちつきぽん菓子につかう用だけ
畑の作物も基本自給用

だから暮らしの作業をしながらでも1日2日は急に頼まれごとがあってもいつでも動ける

農作業がなければさらに動けるから、結局は1年中いつでも動ける

結婚してから8年間くらいはずっとそんなその日暮らし

頼まれごとをいつも受けていると、頼まれごとがとまらなくなる

はじめのころはなんでも受けてた

ゴルフ場の草刈り
型枠大工
解体などなど

いまから来れるとか
明日おねがいできるとか

それで動けるから重宝された

だけど自分の暮らしのリズムがわからなくなるほどなんでもやってたらダメだね

何が大事か何がしたいか
時間は限りがあるもんね

やりたくないことは全部やめた

それでもやってくる頼まれごとは同じように暮らす仲間にもふる

派遣会社でもはじめて一発当てればよかったか


余白がある暮らし

そんなこんなで今も基本はその日暮らし
いつでも動ける余白がある

その空いたスペースにおもしろい話しが飛び込んでくることがある

秋田に荷物取りに行ってもらえないかとか
東京のハイソなホテルで茶室作ろうとか
災害のあったところにボランティアさんを運ぶ運転手とか
伐採で遠征して仲間と旅館お泊りとか
みんなであつまる素敵な場所作りとか

知らない世界を見てみたくて
行ったことない場所に行ってみたくて

そんな話しにはすぐに飛びつく

いつもそこにはすてきな出逢いがある


いまは余白があまりない

ここひと月くらいは春間近ではじまりのとき

ぼくはまたおもしろい話しにのっている

佐久穂の立派な古民家を直して宿をはじめる

もともとあった話しに誘ってもらって、最後の作り込みがもう少しでおわる

桜が咲くころにお客さんを迎え入れはじめたら、その対応とか現場での運営もやることになってる

どんな世界が待ってるんだ


今日最後の障子張りを終えた

障子ひとつとっても手をかける部分の高さはどーしようかと、お客さんの気持ちよさをイメージしてみる

こどもだったらこの高さか
背の高い外国の方ならこれじゃ低いか

寝室がここなら早く休みたい人がゆっくりできるようにこの扉はこうしよう

落ち着いた場所を提供するのにあそこにはちょっと背の高い木を植えよう

木の扉の穴はひょうたんの形にぬいた和紙で埋めて縁起よくいこう

ここの文化もしっかり感じてもらうにはどうやってこの町を伝えよう

すでにあたらしい世界にどっぷりだった

山はすっかり緑におおわれて
桜も満開
鳥もうたをうたってる
まんまるお月さまが田んぼにうつるころ

やることあるなー
そのころまでは余白はいっぱいまんぱんかな

余白がまたできたころ
今度は予約がいっぱいになってればいいな


五穀豊穣　
子孫繁栄　
大安吉日や　さかいひろし

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