トランプ大統領への「忖度」が招いたこと


アメリカの大統領選挙には
「オクトーバーサプライズ」が付き物らしいが、
10月2日に飛び込んできた
「トランプ大統領コロナ感染」のニュースには、
ほんとうに驚いた。

いったい大統領選はどうなるのか。
10月4日放送の「激論!クロスファイア」では、
アメリカの政治事情に詳しい
早稲田大学教授の中林恵美子さん、
笹川平和財団上席研究員の渡部恒雄さんに
とことん話を聞いた。

興味深かったのは「マスク問題」だ。
アメリカでは、
日本では考えられないほど
「マスク」をすることに抵抗のある人が多く、
政治論争のタネとなっているという。
中林さんは、
「トランプがマスクをしないから、
側近たちも気を使ってできない。
マスクをしないことが、
トランプへの忠誠の象徴になってしまっている」という。
結果的にそれが、
ホワイトハウス内での感染につながってしまったわけだ。
上司に「忖度」するのは、
どの国も同じようである。

渡部さんの話で興味深かったのは、
「トランプは、実は指導力がない。
ポピュリストだ」という点だ。
トランプの支持層には、
マスクをするのは「弱虫だ」といって
しない人が多い。
結局トランプは、
そうした支持層に迎合して
マスクをしないのだという。

今後のトランプの作戦としては、
「『コロナを克服した起死回生の大統領だ』
という強さを見せつけるカードしかない」
と中林さんはいう。
なるほど、その言葉どおり、
トランプは5日に超特急で退院し、
「20年前より調子がいい!」と、
健在ぶりを見せつけている。

それにしても、
第一回目の討論はひどいものだった。
トランプ大統領は、
バイデン氏が話している途中、
73回も横やりを入れた。
これも実は作戦だというのが、
両氏の見方だ。
一生懸命討論しても酷評される。
だったら、討論会を見て、
「ああくだらない。興味を失った」と
多くの国民に思わせることを狙ったのだという。
つまり投票に行かない人を増やすのだ。
日本でいえば、いわゆる「浮動票」が入らないと、
自民党が強いのと同じだ。
かつて、「天気が悪い方がいい」と言った
大物自民党議員もいた。

アメリカ通の二人に話を聞いても
トランプ大統領という人間は、
やはり何を考えているかわからない。
なんとも不可思議な大統領である。
いったい選挙戦はどうなるのか。
菅政権としては、
バイデン氏のほうが
つきあいやすいだろう、
というのもお二人共通の見方であった。
11月3日の大統領選まであと半月。
引き続きトランプ、バイデン両氏の動きを
注視していく。

最後に私の本を紹介したい。
タイトルは、
『90歳まで働く―超長生き時代の理想の働き方とは?』。
私はフリーランスであり、
86歳の今も現役だ。
タイトルどおり90歳になっても、
現役で働きたいと思っている。
しかし会社員にとって
平均寿命がどんどん延びる
「超長生き時代」は、
定年後の生き方が難しくなる時代だ。
好奇心、教養、人脈、そして目標――。
この4つの資産は、
定年後の人生において、
非常に大切なものだと思う。
私はこの4つの資産を活かせるよう、
「自分磨き」を実践してきた。
読者のみなさんが今後いきいきと働く、
何らかのヒントになるのではないかと思う。