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(vol.8) チームの関係性を深めるために必要な『同意を取り交わす』ということ。

新チームがスタートするこの時期、まずどのチームもオリエンテーションを行いますね。その中でやることの一つに『同意を取り交わす』ことをお勧めします。これは、企業などのオリエンテーションなどでよくされることですが、スポーツ現場でも同じです。同意とはどういうことか、また、何について同意を取り交わすのか説明していきます。

(前回の続きです。check 👉https://note.com/tahara708/n/n683a27fe2487

1.スポーツ現場の「言った。聞いてない。」あとから生じる『ゆがみ。』

新入生は初めは右も左もわからず過ごします。憧れだった部活動に入部できたわいいものの、何からやっていいかわからない。これ当たり前ですよね。そのチームには文化があって、規則があって風習があるわけですから。そのことを何も伝えずして「感じろ」というのは時間がかかりすぎます

もし、文化や規則、風習を伝えずして、入部を受け入れてスタートさせるとどうなるでしょう?ところどころで考えもしない事態が起きてきます。

例えば、今年度目指す目標を伝えずに新チームをスタートさせるとどうでしょう?選手は何を目指せばいいのかわかりませんし、新入生はチームの基準がわからないので、期待外れの思いを抱いた選手が入部する可能性もあります。

また、各学年の役割を明確にしないでおくとどうでしょう?「なんで1年はあれをしないんだ」とか「3年はトレーニングばっかりで、チームの仕事やらなすぎじゃないか」など選手間同士での争いが起こりそうですよね。

試合に出場できる選考基準を伝えておかないとどうでしょう? メンバーにはずされた選手には『なぜ?』が生じます。最初に選考基準を伝えてくれれば、それを目安に自分と向き合うことができるのに、基準がないと心にもやもやが残ってしまいます。

部活動では、一週間の行動予定などもありますね。練習に行って事前の報告もなしに監督から「今日は走るぞ。ランシュー履き替えろ」なんて言われたら選手はわけわからない気持ちになります。がっつりトレーニングするモチベーションだったのにくじかれる感覚ですね。

スポーツ現場ではこのような事例は多々あります。最初に言っておけば、チームの関係性に『ゆがみ』は生じなかったものの、言わずして過ごしていたために、起こってしまう状態です。

これを起こさないために、また、関係性をより良く保った状態でチームを前進させるために、新チームがスタートした時には『同意を取り交わす』必要があります。


2.同意とは

『同意』と『合意』

似たような言葉ですが少し違うので、補足説明をします。

同意とは、
1.他人の意見などに対して賛成すること。2.同じ意見、同じ考え 3.同じ意味 (コトバンク参照▼)

要するに、『同じ意味にする』『同じ理解にする』『同じ考えになる』ことが同意です。

そして、それら同意に対して、承諾する(同意を取り交わす)ことを『合意』と言います。

なので、企業とかでは『合意書』を書きますよね。あれは、今後の活動や社内の規則など、同意を取り交わした後に行う法的な承諾のことなんです。

チームにおいても、新チームスタート時に、同じ意味にしておくといいこと、同じ理解にしておくといいこと、同じ考えにしておくといいことはありませんか?

これをしないと1で書いたような事態が起こるかもしれませんからね。

それでは以下、同意を取り交わす具体例を挙げていきます。

3.何について『同意を取り交わす』といいか?

(参考▼)

目的、目標、ビジョン、ゴール
・練習方法
・選考基準
・個々の責任、役割、仕事
・ルール
・賞罰
・行動指針
(・契約条件)←プロの場合
(・報酬)←プロの場合
・戦略、戦術
・計画

以上をオリエンテーション時に伝え、同意を取り交わしておく(同じ意味にして、同じ理解にして、同じ考えにする)と、選手たちもチームの理解度が増し、今後の活動に対して覚悟を持つことができ、わからなかったことを知れたという安心感を抱くことに繋がります。

これが、チームの関係性を深める重要なポイントです。

もし、『同意の取り交わし』無しに活動が進んだとしましょう。

チームは同じ方向を向いて全員で歩むことができますか?
トレーニングに意欲的に、集中度が高く取り組むことができますか?
試合のメンバー選考に納得感を得られますか?
競技以外で選手が自立したチーム運営ができますか?

きっと、思ってもみなかったことが起きてきて関係性に『ゆがみ』ができてきます。指導者のみなさんはこの『同意を取り交わす』ことを視野にいれて、活動をスタートしてみてはどうでしょうか?『同意を取り交わす』ことで『同意を取り交わす』ことが無い状態の逆の効果を得ることができます。この機会にチームをゆっくり見つめ直して、さらなるチームの関係性構築に向き合ってみてください。

4.最後に

余談にはなりますが、

私は小学校教員としても働いてましたので、学級経営でおこなった『同意を取り交わす』を紹介します。小学4年生の学級担任でしたが、年度初めにこのようなことを話しました。

先生としての価値観(「いいなぁ」「しかるとき」)を話して同意を取り交わしたんです。

なので、もし叱ったとしても子どもたちはなぜ叱られたかすぐ納得しますし、いいなぁと感じることに共感して、4つのことをがんばろうとしていました。これもスポーツ現場でも参考になることではないでしょうか?

実際にサッカーのコーチとして活動する時には、同意を取り交わしてから活動すると、選手たちは納得感をもって自立した行動をすることが増えました。選手も指導者の考えに『合意』するということなので、選手自身も理解が深まるということなんです。関係性も強まり、チームとして弊害を少なくして前進することができますよ。

以上が『同意を取り交わす』でした。
明日はオリエンテーションのその2、『データベースを整える』という話をします。


それでは今日はこのへんで!



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