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経営理念(ミッション)、ビジョン、バリュー #6

1.はじめに

今回は企業経営における「経営理念(ミッション)」「ビジョン」「バリュー」について、考えてみたいと思います。

一般的に企業経営において、「経営理念」や「ビジョン」は重視され、よく話題になりますが、「バリュー」については、あまり意識されていない気がします。

しかし、企業経営においては「バリュー」もとても重要な概念だと思います。以前お話した「オールブラックスの強さの秘密」の話は、まさに「バリュー」の話です。

やはり、「経営理念」「ビジョン」「バリュー」はセットで考える必要があります。

それぞれの概念について、簡単に整理したい思います。

2.経営理念(ミッション)とは

「経営理念」とは、いわば企業が事業を行う「目的」となります。特に創業時の「経営理念」が重要です。

創業者は何らかの思いがあって、創業というリスクを取ります。もちろん、何となく始めるケースもあると思いますが、事業を成長させるためには、いずれはその「目的」を明確にする必要があります。

3.ビジョンとは

「ビジョン」とは、あるべき姿を描くことです。つまり「目標」です。

企業もステップ・バイ・ステップで成長していきます。一つのステップをクリアしたら、次のステップを目指すといった感じです。

「経営理念」としての目的がありますから、それを果たすため、企業は成長を志向します。基本的にそこに終わりはありません。これを「ゴーイング・コンサーン(企業継続の前提)」といいます。

「ビジョン」はそのステップごとの目指すべき姿(目標)のことです。

4.バリューとは

「バリュー」とは、その企業が持つ「価値観」のことです。

「目的」や「目標」を達成しさえすればそれで良いとはなりません。企業は社会の一員ですので、社会的に認められなければ、存続できません。そのため、その企業がどのような価値観を持っているかが、より重要となります。

つまり、企業が成長してくると、ステークホルダー(株主、従業員、顧客等の利害関係者)が増えてきますが、このステークホルダーの共感を得られる価値観を持っていなければならないのです。

企業の「価値観」は「行動規範」として明文化されている場合もありますが、明文化されず、「企業文化」という形で綿々と内部で受け継がれている場合もあります。

とはいえ、本来であれば、やはりスタークホルダーに対して、自社の「価値観」をしっかり示していく必要がありますので、「バリュー」は明文化する方が良いでしょう。特にそこで働く従業員の方々はそれぞれ異なる価値観を持つ個人ですので、同じ「価値観」を共有し、同じ方向を目指すため、明文化しておくことが、望ましいと思います。

5.この3者の関係

この3者の関係性の捉え方はいろいろあります。

「経営理念」を上位概念として、「ビジョン」「バリュー」をその下位概念として位置づけるという捉え方の場合もありますし、それぞれを独立した概念として並列的に捉える場合、これらを明確に区別せず、統合的な概念として捉える場合などがあります。

その企業の実情にあった捉え方ということで、正解はないと思いますが、それぞれの意味合いはしっかり押さえておいた方が良いと思います。

6.「株式会社GABA」の「バリュー」

参考になる「バリュー」について紹介したいと思います。

以前、2014年にBBT大学のセミナーでお聞きしたものです。

青野仲達氏が代表取締役社長を務めていた頃の「株式会社GABA」の「バリュー」です。

なお、今は当時と環境も変わっていると思いますので、内容も変更されているかもしれません。当時の話ということで、ご了承いただけたらと思います。

「株式会社GABA」は英語教育を提供する会社ですが、従業員には様々な国籍の人が多く、価値観もバラバラ。それで、全従業員の意思統一を図るため、指針となる以下の内容を策定したそうです。

team work,work together
ownership,take responsbility
passion,love what you do
speed,get the job done

最初のteam work "work together"という言葉の意味には、

integrity
oneness
respect
leadership

が含まれているとのことです。

特にintegrityというのが経営には重要だとのことでした。

このintegrity、ピーター・F・ドラッカーの「マネジメント」においては、「真摯さ」と訳されていましたが、日本語でぴったりニュアンスの当てはまる訳はないとのこと。

「真摯」「誠実」「正直」「整合」など、これらの総体的意味として捉えておきたいです。

ownershipは絶対に必要ですし、passionも重要。やはり気持ち、情熱は大事です。

そして、speed "get the job done"には、マーク・ザッカーバーグ氏の"Done is better than perfect"に通じるものがあると思います。

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非常に簡潔で分かりやすく、でも、重要な要素が詰まっていて、よく出来た「バリュー」だと思います。ご参考になれば幸いです。


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