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UNIQLOの強さの秘密 #60

UNIQLOの時価総額が世界のアパレル業界首位だったZARAの運営元、スペインのインディテックスグループ(時価総額は約814億ユーロ=10兆3378億円)を初めて追い抜いたことがニュースになりました。

UNIQLOについては以前ビジネスモデルについて考えた時に少しご紹介しました。

UNIQLOは、SPA(Speciality Store Retailer of Private Label Apparel)という業態で事業を拡大しましたが、ZARAも同様であり、それ自体は既に差別化の要素にはなっていません。

このUNIQLOの強さをファッション・インフルエンサーのMBさんが解説されていましたが、なかなか分かりやすく納得するものでした。

一般的にはUNIQLOもZARAもファストファッションというカテゴリーに分類されていますが、UNIQLOはどちらかというとベーシックアイテムを長く売るビジネスモデルなので、厳密に言えばファストファッションではないと思います。

MBさんの解説では、ZARAは流行に敏感なファッション好きをターゲットにしていますが、UNIQLOはファッション好き以外をターゲットにしていて、それぞれの顧客層は異なるということでした。

UNIQLOも最近では、Uniqlo U(アーティスティックディレクターのクリストフ・ルメール氏のコレクション)や+J(ファッションデザイナーのジル・サンダー氏のコレクション)などのコラボラインを取り入れてファッション好きにもリーチしようとしていますが、通常ラインに比べると生産数も少なく、やはりメインターゲットは機能性の高いベーシックアイテムを好むいわゆるファッション好き以外の人たちということなんだと思います。

世界中を見てもいわゆるファッション好きよりは、ファッションにあまり関心のない人たちの方が圧倒的に多いので、MBさん曰く、UNIQLOの方がターゲット顧客のマーケット規模が大きく、理論上はUNIQLOに負ける要素はないということでした。

ファストファッション業界のKSFは、品質の良い素材の商品を低価格で提供できる技術力や生産体制だと思いますが、この点でもUNIQLOには強みがあると思います。

また、UNIQLOは、単純接触効果を狙って、比較的多くの店舗展開をしています。これも老若男女と顧客層が広いからできることであり、この点でも戦略が自社の強みや顧客層と整合してうまく機能しているのではないでしょうか?

UNIQLOの弱点を一つ挙げるとしたら、EC(electronic commerce)分野が弱いことだと思います。もちろん、UNIQLOもECサイトを持っていますが、アプリなどの使い勝手はあまり良くなく満足度は低いと思います。

先程の店舗展開戦略を考えた場合、ECはこれまであまり力を入れてこなかった分野かもしれないですが、今回のコロナ禍を経て、アパレルに対する消費者の購買行動も変わりつつありますので、今後どう対応していくのか注目されます。

とはいえ、世界的な売上高はまだまだZARAやH&Mの方が高く、世界一というには及ばないと思いますが、上記の強みのさらなる発揮とECサイトなどの改善を図ることができれば、ターゲット顧客のマーケット規模の大きさから、いずれは売上高でも世界一になれるのではないかと期待しています。

一昔前までは、ユニクロだとバレたくないという消費者心理もあったと思いますが笑、今やファッション・インフルエンサーやYouTuberなどがUNIQLOの商品を高く評価し、広く宣伝していますので、ユニクロのイメージもUNIQLOへと大きく変わることになりました。

ブランドイメージの展開に対しても様々な企業努力がなされたのだと思います。

ちなみに、ブランドイメージが大きく変わることとなった転換点は、一説によると、前述のジル・サンダー氏との最初のコラボライン(2009年秋冬)だと言われています。

地方の仕入販売のスーツ専門店から世界的アパレル企業にまで育てあげた柳井社長の手腕には驚くばかりです。

今後も動向を注目していきたいと思います。

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