見出し画像

いま、どこに立っている?


家にいる。家にいすぎである。見え方によってはひきこもりである。それは僕だけじゃないはずだ。え、あなたは引きこもってない? ああ、そうですか。失礼しました。

相変わらずウイルスが猛威をふるっている。気軽に出かけられるような状況ではない。万が一感染したら家族に迷惑がかかる。

その他にも、外出しない理由が揃いすぎている。2月の屋外はめちゃ寒いし、これから花粉も飛びそうだし、出かけたら無駄なお金を使いそうだし、そもそも自分は自宅事務所のフリーランスだし、仕事の打ち合わせは9割リモートで済むのだ。

たまに出かけるとしても、めったにない対面打ち合わせで都内に出たり、いつもの行動範囲内を散歩(買い物)する時くらいだ。



鳥籠に幽閉される日々がつづく中、
積もり積もった何かが溢れ出そうになる。




北の港町で地元の日替わり定食を食べたり、見晴らしのいい山寺から遠い空を眺めたり、誰も自分のことを知らない街で旅情に浸りながらこっそり泣いたり、小さな民宿で旅先の夜を噛みしめたい。

この約2年間、そんな妄想と渇望を何度繰り返したことだろう。




本質をつきつめてみれば、旅に出たいとか、日常から飛び出したいとか、そういった思いは、きっと[今の自分が立っている場所]を確かめたいからなんじゃないだろうか。

じっとずっと同じ場所で同じ景色の中にいると、自分の現在の立ち位置がわからなくなる。自分の人生で自分が行方不明になる。

そう、じっとしてるより、動いている方が実は安定していたりする。


だから、人には、道からそれる瞬間が必要だ。旅をする時間は、自分の人生を俯瞰から見るための時間でもあるから。



人生で迷子にならないために、
旅先で迷子になりたい。


あなたは今どこに立っているだろう?



#エッセイ

読んでもらえるだけで幸せ。スキしてくれたらもっと幸せ。