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2020 J2リーグ第27節 ツエーゲン金沢 VS ジュビロ磐田 レビュー 「頑張っても手に入らないもの」

遠藤くんが見られる。1万人チャレンジデーの時は小野くんが見られるという事で沢山の人が集まった。賑わいが戻ってきた事は嬉しかったが、早く金沢が強くなる事で人が集まるようになって欲しい。つーか俺は遠藤くんが見られるからといって、みんなが集まったともあんまり思っていないのですが。なんにせよ入場者数の制限がある中で、ほぼ上限まで入った事が嬉しかったですね。

スタメン

金沢の変更は藤村くんが警告累積で出場が出来ない為、その穴を本塚くんが埋めました。公式のMDPの表紙が藤村くんだったのはツイてなかったですね( ノД`)シクシク…。前回の磐田戦で茫然自失となっていた彼。この試合に賭けた思いは強かったでしょう。

他には金子→窪田。相手が疲れてきたところで窪田くんのスピードを使って翻弄したいのかと思ったのですがどうだったのか。そして山根→加藤。二人そろって19得点の強力2トップを第10節の愛媛戦以来17節ぶりに磐田にぶつけてきました。

そして磐田の変更は、なんと無し。前節9試合ぶりに勝利した良い流れを断ち切りたくなかったのでしょう。そういうところはやはり似ている二人の監督。元金沢の山本義道くんと個人的注目選手の伊藤洋輝くんの事はRED TAGの非公式マッチデープログラムに書きましたのでご覧ください。

試合開始

磐田の狙いは、金沢のやや内側に絞るサイドハーフ(SH)の裏、もしくはボランチ(CH)の脇と言い換える事も出来ますが、そこにボールを収めてサイドから攻略するパターン。試合開始3分に最初のシュートを放ったルキアンさんにつながるまでのプレーがそれです。

松本・大森のホットラインでペナルティエリア(PA)進入を許しマイナスのクロスをあげられてしまいました。

しかし、その後はあまりSHが前に食いつく事をせず、そのスペースを埋めて守っていました。

狙いを潰す金沢

磐田は最終ラインが3人、対する金沢FWは2人なので深追いはせず、磐田CHへのパスコースを消します。

と言いますか、これは5対2のロンド(鳥籠)のようなものなので比較的容易に磐田CHにボールが渡ります。

磐田のCHにボールが渡っても、金沢のSHは磐田のCHにアタックしません。磐田のウイングバック(WB)から離れて、もしWBにボールが渡るとあっという間に前進を許してしまうからです。

なので、磐田CHにボールが渡ると金沢のFWとCHで挟み込んでボールを奪おうとします。

磐田はボールを獲られないようにCBへと戻しますが、ボールを前進させたいので、CHの位置に大森くんが下りてきてビルドアップに参加します。

そしてここから磐田のSHが上下動して金沢のSHを動かし先ほどの円の場所を空けさせます。

そこを使い、金沢のSHが食いついてきたらサイドに展開

金沢SBが食いついてきたらFWへ縦パスを

もしくは大森くんがドリブルで持ち運び、磐田の他の選手を動きやすくさせるようにしていました。

しかし金沢も簡単にはボールを前進させる事はしません。大森くんがCHのところに降りる、金沢SHが磐田WBにつく、すると金沢SBが浮いてしまいます。そこでボールサイドにスライドし、磐田WBをマークしに行く事で

磐田FWを3対2で監視しつつ金沢のSHがプレスにいってボールを狩り取る状況を作り出しました。

このやり取りで磐田がボールをCBに戻して前線にロングボールを出したり、金沢が囲んでボールを奪ってカウンターを仕掛けるという攻防が繰り広げられました。

給水タイム後も基本的な両軍の振る舞いは変わりませんでしたが、より金沢が磐田のCHと前線の間を分断できているようでした。磐田は分断をさせないようにオフサイドラインを高く攻めますが、磐田の3CBがそんなに上がってくる事も無いので、サイドで大森くんが起点となり多少攻め込まれる事はあっても、中央を絞っていた金沢は磐田のFWに仕事をさせていませんでした。

ここまでの金沢のプランはほぼ完璧でした。ただお互い拮抗していて、後半はお互いが動きます。

後半開始、止めたシュートと外したゴール

まずは金沢。ルカオさんのフィジカルの強さを生かす作戦。47分10秒、磐田CH遠藤くんのフリーキック(FK)を金沢CH大橋くんが大きくはじき返し、前線に残ったルカオさんへ。強引に突破を試みますが味方のサポートが無くボールはタッチへ。

磐田はルキアンさんにボールを集め始めます。ルキアンさんのスピードやドリブルという「質的優位性」を生かし金沢ゴールに迫ります。

特に52分53秒、カウンターを狙った金沢のパスを磐田CH山本康裕くんがカットし、カウンター返しでFWルキアンさんにボールが通り金沢CB石尾くんと1対1。ルキアンさんが石尾くんを剥がした瞬間に金沢GK白井くんが飛び出しピンチを防ぎました。最近、白井くんの調子が戻ってきましたね。(心配ではありますが)

金沢版「ロストフの14秒」

53分48秒、磐田のCK。遠藤くんの蹴ったボールを金沢FW加藤陸次樹くんがヘディングでクリア。そのボールを金子→ルカオへとつなぎ磐田ディフェンスを剥がしてドリブルします。金子くんが蹴った時点で陸次樹は全力疾走、まさに「ロストフの14秒」のように狙ったカウンターでした。

しかしロストフと違ったのはゴール出来なかった事でした。

陸次樹はもう一年は金沢で頑張れ

残念ながら陸次樹くんはパスを受ける前に、磐田GK八田くんを見ていませんでした。以前の難しいシュートの時は見ていたのに。簡単なシュートほど外す陸次樹くん。簡単なシュートが簡単に入るようになるまで、せめてあと一年金沢で頑張りましょう。その理由は後程。

耐えてきた80分、とうとう失点

この前になんやかんや交代がありましたが、山本大貴くんが交代でINした時は左のWBで山田くんが右のWBでしたが、失点の直前の交代で舩木くんが左WB、大貴くんが右WB、山田くんは2列目に替わっていました。

失点の直接的要因は、クロスを打たれる時の詰める距離の甘さと石尾くんが小川航基くんとボールを視野に入れられる位置にいなかった事でしょう。しかし、失点したらまた得点すればいい事ですし、そもそも得点していればよかったのです。

じりじりと終盤に差し掛かり「勝てないのではないか」とか、失点し「また負けるのか」とか、遠藤くんが退き、気が抜けたりしていたのではないかと思うのです。

もったいない。残念。そんなに怖いと感じなかったし、でも勝ちたいという気持ちから、ボールの奪い合いとか競り合いとか、シュートでも、そういうのが足りないかな。(Jリーグ公式HPより抜粋)

試合終了

ハイライト

来年への覚悟を持とう

若いチームですから、なかなかメンタリティで優位性を保つのは難しいと思います。メンタルトレーナーを雇うのも一つの手かなと思います。メンタルがパフォーマンスにも影響しますからね。分析をしている僕がいうのもアレですが、今回は勝てる場面はいくつも作った。あとはメンタル。しかし昨年も引き分けが多かったですし、メンタル力が上がったとはあまり思えないのです。

あと少しの差。それが勝ちと負けの差。勝つことでしか得られないものがあります。それは山雅戦で分かったはずです。頑張っても勝たないと手に入らないものがあります。勝つことの積み重ねがメンタルを強くする。

今年は「コロナ禍」で結果はそんなに求められないし降格はありません。しかしヤナ将5年目の来シーズンには(多分決まっている)結果がついてこないと、監督を続ける気力が失せるかもしれません。

そろそろ結果を求めてもいいのではないでしょうか。離脱を最小限に食い止め、5年目の金沢に勝者のメンタルを植え付け、ヤナ将を再びJ1の監督にさせる為に、我々も備えましょう

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