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2020 J2リーグ第38節 FC琉球 VS ツエーゲン金沢「沈んでは浮かんで」

去年のタピスタと言えばツエーゲンと石井くんが遭遇した場所。そんな場所でヤナ将が石井くんをスタメンにしたのは偶然だろうか。

昨季、琉球に所属していた石井くんは12試合に出場したが無失点はただの一度も無かった。

しかし今季は試合数はここまで4試合と少ないが2試合で無失点。とはいえ前回出場の山形戦では失意の4失点を喫した。自らのパスも失点の要因となった。今季ルーキー以外では唯一、完全移籍での加入となった石井くん。白井くんのバックアップ、上田くんの成長までの繋ぎとは思われたくないはずだ。

ぼくはこういう選手が大好きだ。自分がそうであるように。

スタメン

1無題

琉球は前節4得点で快勝したヴェルディ戦から5人の変更。ルーキー人見くん初先発。阿部くんはどこへ。メンバー選考は監督の裁量だから何とも言えないが、怖いと思える存在が少ない印象。

金沢は3人の変更。特筆は金沢の特攻隊長、大石くんがお勤めから帰ってきた。京都の石櫃くんや長崎の徳永くんなどにビビりもしないでメンチを切っていた頼もしい漢。ヤンツー塾で丸くなりすぎてないように祈りたい。

前半

前半を失点0で抑えた事が大きかった、わけでもない。最近でいえば新潟戦がそうだった。理由は相手が琉球だったということかも知れない。

琉球が左サイドから多く攻撃してきた事で、サイド追い込み型の金沢の守備が上手くハマっていたし、サイドチェンジで隙間を作られる事も少なかった。

だが、実況で再三言っていた距離感が良かったのは事実だろう。その為、中央のパスが通る事もあまり無かったし、ボランチの二人も前に出ていけた。しかしそれは昨年までならできていたこと。ここからのプラスαが必要なのだ。

良かったのは出来ていたことを思い出せたということと、先制点を獲られなかったということだ。決して楽観はしない。思い出すことが出来るという事は忘れることも出来るという事。

良いときと悪いときがあるのは仕方ないが、そのツケがリーグ後半の大失速だとしたら、プロ失格である。

コロナ禍の状況は22チーム同じ条件だ。ゆえに僕は他と比べる事はあっても他が凄くてこちらがダメだという理由に逃げたりしない。

前半やった事は必要最低限のこと。ただそれだけ。

琉球としては30分42秒のような山口くんと小泉くんが入れ替わって空いた金沢右サイドからクロスをいれて人見くんボレーで合わせたような形をもう少し出せれば良かった。

40分22秒など小泉くんに石尾・廣井と2人のCBが張り付くというめったにないシチュエーションがあったが、そこから山口くんにパスが通り、シュートを外してくれたからよかったものの、PAの真ん中ががら空きだった。

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ここを狙う琉球の選手がいたらヤバかった。

ただ、良い流れを持続したからこそ、後半の2点があった。

後半

なぜ廣井くんと長谷川くんを換えたのか。廣井くんは前節も前半で退いた。前節の理由は前節のレビューで示したが、今回は逆になぜスタメンに名を連ねたのかが不思議だった。

もう一度作ちゃんを見てもらえば違いは歴然。作ちゃんはパスを出して終わりではない。動いて味方のパスの出口になろうとしている。さらには残念ながら、同じ時間出ているにもかかわらず貢献度が全くちがった。

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そして長谷川くんは依然調子が上がらない。イエローを貰ったのは運が悪かったが、それだけが交代理由だとは思えない。

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ただ単に勝負出来ていない。そう感じたのは僕だけだろうか。高安くんに74分40秒のようなシーンを見せられてはそう思わざるを得ない。

1点目

デザインプレーなのか、それとも阿吽の呼吸なのか。ボールがスローされる前に恭平くんとアイコンタクトしているのが見えた(後のインタビューでも言っていたが)。

ノッている時にはイメージも共有できる。それが良くわかるシーンだった。計4人を置き去りにする見事な抜け出し。(下の動画は得点シーン~)

タイキくんはロングスローのイメージがあるから、こういう場面はなおさら効果があると思うのだ。ロングスロー投げるフリして投げないとか、PAから遠くてもロングスローするとか、もう少し武器を有効利用するべきだ。

このシーンは、藤村くんがしないであろう事をしているから効果があったわけで、それがサッカーで必要な上手さでありズルさだ。

2点目

たぶん作ちゃんだったと思うが、ボールを奪うタイミングが絶妙だった。琉球の選手が前がかりになったのを見計らったタックルで大橋くんにボールが渡り、永遠くんにパス。

永遠くんが前を向いた瞬間は3対2で数的不利だったが、そこからの頼盛くんの動きが秀逸だった。

ボールに近づき永遠くんのカバーをして恭平くんにパス。そしてまた離れる。フワッとした浮き球をそのままボレー。もし弾かれたとしても永遠くんが詰めていた。

あまりカルバハルさんのポジションも良くなかったが、頼盛くんこそが金沢の好不調を測るバロメーターのような存在。あんなゴールが決まるくらいチームの調子が良いという事なのだろう。64分30秒のロングシュートがそれを物語っていた。

ただ、もうそろそろ点を獲りたい永遠くんの哀愁が漂っていた。報われる日が来るといいのだが・・・。87分12秒のシュートが入らなかった事が不思議に思えて仕方無かった。

スタッツ

ハイライト

感想

金沢は受け身のチームだという事は何度も言ってきているが、今回もそれを強く感じた試合だった。ヴェルディ戦の琉球はどこへやら。ターンオーバーを考えすぎたか。それでも小泉・山口はセンスを見せていたがチームメイトがそれを生かせていなかった。

攻撃と守備がブツっと切れていた為に、金沢にすればやり易かったと思う。チャンスは多くあったのに、普通の流れの中で点が入らなかった事が不安材料。この流れが最終戦まで続けばいい。唯一、去年を超えられる成績が得られるとすればそこだ。

しかし、多くはのぞまない。結果より内容。4連敗してから、1勝しただけで全てがリセット出来たとは思わない。何でも積み重ねが大切だ。沈んでは浮かぶ。沈んだ以上に浮かばなければ上には行けない。今年の話ではない。来年に向かってだ。

そしてお帰り、13番。無理すんなよ。

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