ふりかえりサムネ

フレームワークで見る2019年のツエーゲン金沢 ~タギリスト的リポート④~ ネガトラ・セットプレー編

いよいよ大詰めのリポート第4段となりました。過去のリポートをご覧になってない方は下のリンクからご覧ください。第1段はデータ編

第2段はフレームワーク守備編

第3段はフレームワーク、ポジトラ・攻撃編です

ちなみにちっとも読まれていませんが(自虐)全然気にしてません。むしろ、自分の血となり骨となっていく部分ですから、どれだけか後になって、その重要性に直面する事でしょう。読まれているサポさんは熱心でありがたい。と、いうか今読んでおいてラッキーだと思います。どうか最後までお付き合いを。

こちらの本を参考に進めていってます。とても良い本です。サッカーに詳しくなりたい方は必見です。

https://g.co/kgs/XsGmaE

ネガティブトランジション(ネガトラ)

金沢のネガトラ時の対応についてですが、はっきり言ってまだ整備出来ているとは言えないでしょう。即時奪回という事は言われていると思いますが、マンツーマンで対応していますし、基本的にはボールを取られたとしても、自分の担当している敵に対してプレッシャーをかければOK。しかし監督も「激しく襲い、素早く仕留める」という所までいけていないとラジオのインタビューで話していました。

上下のスプリントを繰り返す金沢のサッカーの弱点ともいえる場所は、僕が思うにSHとSBの間です。特に沼田・小島のSBになってからはSBが攻撃に参加する回数が少なく、SHに負担が増えていました。リーグ前半の長谷川・毛利はPA付近までの進入がちょくちょく見られました。それは、SBの両者に守備面の不安がある事が大きかったのかもしれません。指示されて上がらなかったのかもしれませんが。とにかく、連動が出来ていないと上下動を強いられるサッカーなだけに、大きな穴が開いてしまいます。

さらには後半戦、主に右SHに使われていた金子くんは、ここぞという時の動きは「閃光」の異名通り早いですが、トランジションの切り替えは遅いです。ですから、ボールの奪いどころにもよりますが、敵からすれば中央→左サイドに展開という形が多かったように思います。これはネガトラだけに限った事ではありませんが、一度、金沢FWのプレッシングをかいくぐる事が出来れば、次のプレッシングが来る事とそうでない事があるので、特に金沢の右にはその傾向が強いです。実際金沢と対戦した相手も、その傾向をわかって攻撃してきていました。相手チームはいずれも終盤戦の相手です。

(画像はFootball Labより)

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休む事をなるべく無くすとヤナ将(柳下監督)も言っていましたから、金沢のネガティブトランディションを改善し、「激しく襲い、素早く仕留める」という所に穴を開けない事が2020年のカギではないでしょうか。

セットプレー「ゴールキック」

まずはゴールキックです。最初にご紹介した本の中で、バルディ氏が「スローインと並んで最も頻度の高いセットプレーの一つ。積極的に注意を払ってシステマティックに活用すべき機会」と位置づけています。

近年ゴールキックをCBに一旦預けすぐにGKに戻し、数的優位を生み出し攻撃のアクションをスタートさせるチームが多くなりました。

セットプレー1

これはフィールドプレーヤーが10対10では無くてGKを含む10対11になれば理論上、攻撃を優位に運ぶ事が出来る訳ですから、GKを使わない手は無い、という考えです。常にボールを支配し、技術的に優れたプレーヤーが多く連動して、相手にボールを与える時間を減らし、ボールを相手ゴール前まで運ぶ事を嗜好する監督が用いるやり方です。

金沢はボール保持にこだわっておらず、前へ早いサッカーを嗜好しているのでこれには当てはまりません。リポート③の「ダイレクトなビルドアップ」で触れているのと同じ状態で、ゴールキックも行われているので、そちらをご覧ください。

セットプレー「スローイン」

コーナーキックからの得点が多い印象の強い金沢ですが、スローインからも得点を奪っています。

第9節の京都戦のスローインからのゴールです。

小松くんがスローする事で、相手ディフェンスに迷いを生じさせて、本来FWがいるところがポッカリと空いています。そして長谷川くんがPA前のエリアに走り込んでいます。スローインからのバリエーションの一つだと思います。

そして第30節の鹿児島戦のスローインからのゴール

これは隙を突いたパターンです。

この二つに関して言える事は、1、相手の動きに惑わされず 2、各々の仕事を見失わない 3、油断しない という事でしょうか。

セットプレー「コーナーキック」


上の動画2つは同じ形です。ニアに選手を走らせて真ん中で長身のクルーニーや垣田に合わせるパターン。

杉浦くんの令和初ゴール。真ん中とファーに長身選手を走らせニアで合わせるパターン。

その変形が下のニアの選手がヘディングでゴール前に落としてファーの選手が決める場面。

この他にも成功していないパターンがあったと思いますが、動画が無いので振り返る事が出来ません(泣)とにかく1、真ん中に飛び込むパターン 2、ニアに飛び込むパターン 3、ファーに飛び込むパターン(動画無し)があって、廣井・山本・垣田・クルーニー(小松)がターゲットになり、ニアは杉浦・加藤・山根など全てのパターンが幾つあるのかよく分からない状態で、ここはさすがだなと思わせる手数の多さです。

これはなかなか「今、このパターンで来るぞ」と予測するのは難しいですね。キッカーの藤村くんとGKの白井くん、あとSBが戻っているとして7人でゴールを狙っている訳で守りは10人。数字では簡単ですが、いざとなるとねぇ。垣田・クルーニーはやや真ん中に、ニアは山本、ファーは廣井の印象がありますが・・・。ここは答え出せません。ごめんなさい。

セットプレー「フリーキック」

上の動画はシチュエーションは少し違いますが、一度落ち着かせるかと思いきやタイミングを外す形でニアにクロスを上げ押し込むような、2019シーズンの金沢のお家芸と言っても過言ではないシーン。スローインの時と同じ隙を突いたやつです。騙されないようにしましょう(笑)

こちらはややゴールから遠いリスタートの時に、ヘッドで折り返したボールをゴールに押し込むパターンです。シーズン中、何度か見られたシーンです。少し遠いので遠い距離だと、守る方は追いかけるのに苦労するやつです。そのままボールを放り込んでくる場合はニアに来ないと覚えておきましょう。あくまで2019シーズンは、ですよ。

フレームワーク分析を終えて

という訳で3回に渡ってお送りした「フレームワーク分析」もおしまいです。見て下さった方、本当にありがとうございました。振り返ってみて、大きな気づきがあったと同時に、普段のレビューでもっと細かに観察しておくべきだったと思いました。この振り返りを1年後に見返して、比較してみたいと思います。最近は「こんな事やって何になるんだろう」という事でも、大事だと思う事はしっかりやろうと思っています。無駄な事なんて一つもない。次回は2020選手名鑑など、行おうかと思います。また見てやって下さい!




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