2020 J2リーグ第２節　ザスパクサツ群馬　ＶＳ　水戸ホーリーホック　雑感レビュー

金沢の試合の後に、やはり気になるのは水戸の試合だった。開幕戦で敗れはしたが、初戦とは思えないほど選手の個性を活かしつつコレクティブに戦っていた水戸。Ｊ３から昇格した群馬が相手とはいえ、さらに進化した姿を見て衝撃を受けた。

スタメン

水戸の青を修正するのがめんどくさくて群馬を黒にしました。すんまそん。

水戸は前節５バックだったところを４バックに。質では勝る水戸がミラーゲームにして群馬を上回るように仕向けてきた。この時点で絶対の自信を感じた。

前節の大宮・ハスキッチさんの対応に不安を見せた外山くんは、この日も先発起用。マイナス面よりプラスのスピード面を買われたのだろう。そして注目は松崎くん。ようやくベールを脱ぐ。ずっとプレーを見たかった選手だ。

群馬の気になるところはやはり、この中断期間内に加わった金沢キラー林くん。サッカーＩＱが高い事で知られる彼が出場機会を求めて群馬にやってきた。スピードが持ち味のＫＪ加藤くんとコンビを組む。

前半、群馬にほぼチャンス無し

群馬の攻撃が上手く行かなかった理由は、カウンターが出来なかった事だろう。２０分頃のようなチャンスを多く作りたかったが、フィニッシュの精度に欠けるし、そもそも高い位置でボールを奪取出来た回数も多くない。また、群馬がカウンターを仕掛けそうになった時の山田・安東の危機管理が秀逸で、ボールホルダーにアタックをかけ時間を稼ぎ縦パスを入れさせない。

水戸は決して、軽はずみにボールを失うような縦パスを出すという事はせず幅と深さを持って相手を翻弄した。

今節の攻撃パターン　その１

ＳＢの外山・前嶋がＳＨのような高い位置取りで松崎・木村と安東・山田、奥田で菱形を形成。ボールを回しやすく、ボールを奪取されても比較的近いエリアでプレーしているので即時奪回に結びつけやすい。

３０分４０秒くらいの攻撃はこの菱形のパス交換から中山くんへのドンピシャクロスが入り完璧なヘディングだったが、群馬ＧＫ清水くんがなんとか防ぐ。

安定感抜群の安東・山田

水戸は最終ラインからのボール運びを安東くんが繋ぎ、山田くんが緩急をつけ隙あらば縦パスを送る。開幕戦では攻撃で目立っていた感のある山田くんだったが、今回は群馬を封じ込める役に徹していた。初戦に強敵・大宮相手に押していながらも負けてしまった事で、長いリーグ戦を戦う為に腰を据えたのかもしれない。そして攻撃に頼もしいオプションが加わった事も安定度が増した一つの原因かも知れない。

デビュー戦・松崎快

そのオプションとは、僕にとって初見の松崎くん。そのプレーはとても痺れるものだった。１０分３０秒に２ライン間でボールを受けた彼は、一人を躱し最終ラインの手前でシュートもＧＫ清水くんが弾き出した。その後も菱形の一角としてパスを回したり、広い視野で逆サイドの外山くんにパスを出し自分はゴール前にダッシュするなど、一瞬で相手の脅威となる存在になった松崎快。後半変わって入った森くんにもかなり刺激になっていた様で、水戸の攻撃のインテンシティが落ちる事は無かった。

今節の攻撃パターン　その２

７２分に松崎→森、木村→山口と交代になってからは、４－２－３－１にも見える形となり山口くんがサイド深くに流れてパスを中央に供給したり、森くんがドリブル突破からシュートを放つ場面が見られ、中山くんが楔となったり、奥田くんの動きをカバーするような相乗効果を発揮。また、それまであまり見られなかったような高い位置まで安東くんが上がっていくなど、今後に期待を持たせるオプションとなった。

ＣＫの精度の高さ

２ゴール奪ったコーナーキックはキッカーが安東・山口・外山と蹴り分けられるという強み、再現性の高いキック、中山・ンドカ・細川という空中戦に強く相手に負けない選手がターゲットにいる事で今シーズンはかなりＣＫからの得点が増えそう。流れの中から得点出来なくてもＣＫやＦＫで得点出来るというのはかなり強みである。（去年の金沢がそうだった）

替えの利かない奥田

初戦でもこの試合でも、前線の上下左右どこにでも顔を出す奥田の存在は水戸のキープレーヤーとなっている。特にこの試合でのライン間での間受けのタイミングが絶妙であり、何度もボールを味方から引出しフィニッシュに繋げる役割をしていた。奥田くんがシーズン通して好調を保てるか。

懸念材料

ただ良いところばかりでは無く、懸念材料は途中交代の群馬の進くんが見せたように素早いワンツーや失点シーンのような横パスへの対応で、精度の高い想像性のある選手がいる相手との対戦でどこまで耐えきれるか。

感想

開幕戦とは違うサッカーを、しかも高い完成度で見られ、秋葉監督の力に今更ながら驚いている。次節千葉戦も楽しませてくれそうだ。