佐渡6

さすらいの人々・・・・

流浪の民は水を求めて居住地を転々としていた。道中同じように旅をする民族も加わり、一時は顔を覚えられないほどの人数を引き連れていたこともあった。

だが飢えや病に倒れる者も少なくなく、私の種族はもう妹家族のみ。比較的獣の体を持つ種族の方が気候に左右されることもなく、丈夫なようだった。
ほとんどが天涯孤独のような状態で、言葉が通じない民族もいる。まるで山登りの山頂で偶然出会ったパーティのような集団だ。

世界の終わりは近づいていた。
人類が新天地を求めちまちまと移動する最中、気候に左右されず水がなくても生きていける巨大な生物が増殖していた。それは人類にとってさらなる脅威となった。

惑星自体が人類を排除しようとしているのか、新たな何かを生み出そうとしているのか、たどりついた先は雪山で、かろうじて身を寄せられる洞穴で疲れを癒し暖をとっていた。

だがすぐ先に見える地平線には、ぬらぬらと陽炎の立つ灼熱の砂漠の海が広がり、かと思えば後方に砂漠の海に対峙して桜の咲いてる日本庭園のような池があったり…と、しかしそれは景色として捉えられるだけで、次元の境なのだと思われた。

一歩足を踏み入れれば異世界に飛ぶ。ただ一つ共通して言えるのは、どこに住もうと逃げようとすぐに砂漠に追いつかれ、人類には「希望がない」ということだった。

一部の人類は、迫りくる脅威がどんなもので、どう対処すればよいのか本能的に知っている者もいた。そういう者たちは皆「ソルジャー」と呼ばれ、私はそのソルジャーのひとりだった。

ソルジャーは私の他に4人。
気が強く人工的な赤毛を蓄えた外人女性と、欲に目がくらみそうな人間臭い黒人男性、なんとなくチャイニーズな少年と、そして私の相方らしいブルネットの青い目の男だ。
この5人全員が理屈を解っていたわけではない。ただ「いかなければ」という使命感に動かされここに集まってきた。


辺りは耳鳴りがするほどに静まり返っている…。


つづく


この作品は『第2回逆噴射小説大賞』に応募するために書きました





まだまだ未熟者ですが、夢に向かって邁進します