もうひとつの主人公『函館』の町。立ち往生する想い。なぜこのコマなのか、なぜこのネームなのか。
佐藤泰志著『海炭市叙景』に触発されたのが始まりだった。
『函館』は、もうひとつの主人公である。
函館の町の中にちいさく生きている我々夫婦を描きたい。
試行錯誤が始まった。
函館の町の写真を1000枚以上撮った。
一昨年、『吾妻鏡』に触れ右大臣実朝の歌集を買った。
背景に必要な感受性が実朝の歌に詰まっていた。
当たり前だが自分の感受性は実朝には遠い。
実朝の歌に縋るように拙い背景を描いている。
妙子の目線はあくまで妙子でしかない。
ボビーを描くには西行の目線が不可欠だった。