長期的な目標を立てることについて

最近のキャリア論の多くは、プランドハップンスタンス(planned happenstance)が主流になりつつあるように見える(僕は専門家でないから間違っているかもしれないが)。要は、「その都度その都度これと思ったものに飛びついて、それを一生懸命にやっていたらそれが最終的には立派なキャリアに結びついている」、ということのようだ。スティーブ・ジョブズのスタンフォードでの有名なスピーチでの"connecting the dots"の話も、まさにこれだろう。

そして、長期的な目標を立てることには全く意味が無いといった主張も主流になってきた。

そんな流れの中で大変に気が引けるのだけど、僕は不器用なので、長期的な目標を立てて、微修正しつつも基本的にそれに沿って生きている。

23歳でニートだった僕は「投資銀行か戦略コンサルに入って、PEファンドに入って、33歳から自分で1000億円を調達してPE投資をする」と言っていた。恥ずかしいけれど消せない昔のブログがその証拠だ(投資銀行とかファンドに入って云々は書いてない)。

今は33歳で、規模はかなり見劣りするけどほぼ当時言っていたままの人生を歩いている。当時は1000億円の資金調達がどんなものか全く理解していなかったのであんなことが言えた訳だけど、運がよければ、数年遅れで予定通りになるかもしれない。

さて、僕が当時99%の人に失笑か憐憫を買った長期目標を持って人に話さないでいたらどうなっていたのだろう。あくまでも仮定の話だから分からないのだけど、僕の性格からすると、多分どこかで易きに流れていたと思う。

目標を立ててそれを宣言しないと、辛い時に足を踏み出し続けることは出来ないことがある。本州を走って横断したときもそうだった。アキレス腱断裂直前まで痛んでいた足を抱え、冷たい豪雨の降る冬の日本海側で、歩道のない山奥を猛スピードで飛ばしてくる車を避けながら夜中走ることなんて、できなかった。一人で静かに走り始めていたら、途中でいろんな言い訳をつけて止めていたと思う。

人間は弱いもので易きに流れる。そんな人間が、自分を超克して自分以上の何かをしようとするときには、その目標を宣言する必要があるときはあるんだと思う。そして、そういう今の自分以上の目標は、必然的に長期的なものになってしまう。

僕が今やっていることは10年前に言ってたことだし、10年後も死んだり大きな誤ちに気付いたりしない限り今言っていることをやっているんだと思う。プログラム化されたつまらない人生と思う人もいるかもしれないし、僕の考えは誤っているという人もいるかもしれないけど、自分の人生だし、責任は自分で負うんだから、よほど自分の間違いに気づかない限り、僕はこのまま粛々とやっていく。


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