田端・藤田・竹山さんの討論番組に寄せて

田端さんと藤田さんと竹山さんの討論番組にコメントしたらいっぱい返事が来たのだけど、僕なりにこのテーマについて考えていることを書いておきたい。

議論の全体像はこんな感じになれば良かったと思う。というか、これをフリップチャートにしておけば議論のレイヤーがずれずに良かったんじゃないかな。

現状認識
まず、カンニングの竹山さんについては、そもそもの現状認識がずれていたのかもしれない。彼はたまたま努力できる人だったのだけど、様々な事情(生まれた環境その他の理由)で難しい人がいることは理解してもらいたかった。努力できることや人とうまくやっていけることなどの非認知能力は、生まれ育った環境によって大きく変わる。最も大きな影響を与えるのは親もしくは親代わりといえる人からの愛情だ。

経済的な格差は世界中の先進国で格差が拡がっている。理由は技術進歩と経済活動のグローバル化。このトレンドは民間企業レベルで止めるのはすごく難しいと思っている。

価値観の共有確認
ここはほぼ議論されていないけど、おそらく全員が格差はある程度是正すべきという認識を共有していたように思う。

国の取り組みで課題は解決できるのか
この点については、田端さんは「民主主義的なプロセスで選ばれた政治家によって税制も労働基準法もその他再配分の方針も決まっているのだから、それが正しい。誤っているのなら政治家を選び直せばいい」という主張をしていた。これに対しての藤田さんの主張は「実際問題として富裕層と貧困層の一票は平等ではなく、この結果が正しいものとはいえない」というものだ。

実際問題として政治がお金持ちの人たちの意図を汲みやすいのは、たぶん田端さんとか竹山さんは肌感覚で理解していることじゃないかと思っている。経営者や世の中で尖っている人(そういう人は往々にして所得も高い)が政治家さんと接点があることは多いし、そういう人たちがこの国の政策に与えられる影響は実際の投票権よりずっと大きいだろう。そういう影響力の格差は実際に存在するわけで、政府が富裕層や企業への課税強化をするのをためらうのは想像に難くない。もちろん、全ての政治家さんがそうだとは言っていないけれども。

企業の取り組み
あの討論番組で一番盛り上がっていたのは企業による取り組みでこの格差に取り組めないか、というものだ。具体的には企業がより多くの賃金を払うこと、不安定な非正規雇用を減らすことなどだ。また、討論では言及されていなかったけど、企業が従業員教育に力を割くことで、その出身者らの可処分所得は増していくだろう。

藤田さんの基本的なスタンスは、国への働きかけは先に述べた理由でほぼワークしないため、労働組合を個別に組んで戦うことで勝ち目がある企業に対し、賃上げと正規雇用増大を要求する、というものなのだろう。僕は国に対する働きかけも結構ワークすると思っているので、藤田さんと意見は違うが、それでも彼の主張はきちんとした意見だと思っている。

一方で、会社は株主のものというのが現在の法律の建前であり、株主を軽視する経営者(取締役)は株主によって交代させられるのも事実だ。なので、ZOZOで賃上げが難しいのは事実で、経営者が株主にも理解される形で賃上げその他に応じるためには、労働組合を組織してガンガン戦う必要があるのだろう。だから田端さんの「会社は株主のものだから過激な賃上げは難しい」という主張に対しては、「そうですか、じゃあ株主さんにも納得頂けるように労働組合を組織してガンガン戦いますね」と啖呵を切ったら良かったんじゃないかな。ただ、ZOZOより先に労働組合を強化すべき会社は多そうだけどね。

個人の取り組み
個人の財や時間の使い方に他人が口を挟むことはできないので、この点については、ロールモデルとなる個人が出てきたら良いと思っている。僕も将来にそうなれるよう頑張ります。


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