感染症の世界史

今年はとにかく歴史の本を読んでいるのだけど、この本の著者はジャーナリスト。専門家ではないが、説明がわかりやすい。感染症について知る入口として読みやすい。

感想も含めていくつかメモ。

■ウィルスは40億年前から存在。通常の生物よりも再生産サイクルが遥かに早いため、変異を起こすスピードも早い。ワクチンや特効薬ができても、すぐにそれを乗り越えるウィルスがまた生まれる。イタチごっこは、多分これからも続く。

■同じ病気を起こすウィルスにも様々なタイプがある。エボラでも5種類。インフルエンザは理屈でいうと170種類。一つの種類に感染して回復しても、他のにはかかる。SARS-CoV-2(今の新型コロナウィルス)も変異を続けていくと思われるので、人類はずっとこれと同居することになる。

■新しいウィルスは動物との距離が近い地域で誕生する(コウモリ、ネズミが多い)。20世紀において、多くの新種の感染症は、未開発地域に近い地域、動物食が盛んな地域で起きている。アフリカ・中国が発生源として多いのはそのため。SARS-CoV-2は中国の大きな都市で発生したこともあり世界中に拡がったが、たまたまパンデミックにならなかっただけで、同じような大災害を引き起こしうるウィルスは常に発見され続けている。

■そもそも、人類はずっとウィルス、細菌、寄生虫らと同居してきた。過去の最悪の感染症たちを見ていると、今回のCOVID-19はかわいいものだという感想が強くなる。現時点でもCOVID-19よりもっと多くの人を殺している病気は多い。大規模な感染症の拡大は天災と同様に、忘れたころに数十年周期でやってくる。人間の移動速度の拡大はこの周期を短くする可能性がある。もっとひどいものがやってくる可能性がある。

■感染症はときに歴史を変えるが(スペインかぜは第一次世界大戦を早めに終わらせた)、それでも人間行動は大して変わってこなかった。Social Distancingは数ヶ月から数十ヶ月は続くけれども、また皆の行動は(少しは変わる可能性があるけど)ほとんど元に戻るんだろう。


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