見出し画像

「これからの働き方」議論のズレた感じ

弊社の人たちは世界どこでも働ける知的産業従事者だ。遠隔地とのミーティングは創業以来ずっと続いてきた。だから、社内でこれからの働き方の議論をするときには、オフィスを本当に持ち続けるのか、というところから始めた。

だけど、もし僕が「これからの私たちの働き方」を問われたら、いまネットを賑わせているようなリモートワークとか地方移住とかの話は絶対にしない。それはごく一部の、すでに十分にやっていける人たちの満足度をちょびっと上げるくらいの話にしかならないからだ。

そもそも日本の産業従事者は、リモートワークがすることができず、感染リスクに直面せざるをえない人が多数を占めている(リンクからTaejun作成)。

(単位は万人)

画像1

職業別でいっても、そもそも難しい職業が多い(リンク)。

画像2

ここでいう事務従事者は一応リモートワークができるとは書いているが、ちゃんとリモートワークを成立させようとしたら、相応に広い家が必要だ。日本の世帯所得の中央値は420万円、一人平均は220万円。コロナ以前から家計が苦しいと感じている人は多かった(リンク)。どれくらいの事務従事者が実際にリモート対応できる状況にあるのか、僕には分からない。

画像3

リゾート地や国立公園でキャンプしながらリモートワークとか、一部の「持つ者」たちのための贅沢でしかないので、いま国策として議論する必要はどこにもないと思う。そういう人たちは雇用の心配も相対的に小さいし、リモートワーク用の個室がある部屋に住めるだろうし。

「わたしたち」のこれからの仕事の仕方について考えるのなら、自分とか自分の周りの恵まれた状況にある人たちでなくて、大勢の普通の人たちのことに頭を使ってくれないだろうか。大多数を占める「普通の人」の生活に対する想像力がない人たちに、国の方向を議論してほしくない。

念のために書くけど、一部の恵まれた階層のための働き方議論があってはいけない、というわけではない。それは大いにすればいいと思う。僕が感じているのは、一部の人にだけ実現可能な生き方を、「これがあるべき姿だ」と全ての人に対して主張するのは、ズレているのではないだろうかということだ。

 

代替案なき批判はあまり好きではないのだけど、僕は仕事で忙しいし、これくらいしか書くことができない。少なくとも、相当にズレている議論が多い気がするので、ちゃんとしてくれないだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?