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祖母から贈られた数珠

私はいわゆる「おばあちゃん子」でした。

両親が共働きだったので、私が子供のころは、すぐ近くに住む母方の祖母が、色々と面倒をみてくれました。
保育所に迎えに来てくれたのも祖母なら、夏休みに昼ご飯を作ってくれたのも祖母です。

祖母は信心深い人で、仏壇に向かって、朝晩きちんと「おつとめ(読経)」をしていました。

「多恵ちゃんも、手ぇ合わしとき。仏さんにお参りしてたら、ええことあるから」

よく、そう言いました。

祖母の隣で、私もお経の真似事をするうち…
般若心経を覚えました。

そんな祖母の影響を受けた私は、あちこちのお寺にお参りするようになりました。

そんな私に、祖母が「数珠」をプレゼントしてくれました。
私が23歳の時だったと思います。

「あんたもそろそろ、『本式』の数珠、欲しいやろ」

本式とは、数珠の玉が108個ある数珠です。

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↑コレです。

数珠の玉は「星月(せいげつ)菩提樹」です。
数珠の材料としては、割とメジャーなもの。
最初は白っぽい色ですが、使い込むうちに飴色に変化します。

ちなみに、お高いです。
たぶん、2万円くらい。

年金生活だった祖母にとって、けっして安い買い物ではなかったはずです。
それでも祖母は、私に数珠を買ってくれました。
ありがたい。

この数珠は、私にとっては「一生もの」です。
これを手に、私は西国33か所観音霊場、西国薬師49か所霊場、近畿36不動尊霊場をまわりました。

祖母と一緒にお参りしているような、そんな感覚です。

数珠は、長く使い込むと、玉を通している紐(房)がゆるんできます。
そうなると、数珠がちぎれてしまうこともあります。

なので、ちぎれる前に「房替え」をします。
房替えは、仏具店などでやってくれます。
この数珠も、2回房替えをしました。

2014年、私は得度を受けました。
坊さんになるための、「入り口の儀式」です。

得度式では、この数珠は使えません。
「新人坊主」が使うには、高価すぎるので(笑)

もし私があの世に行く時は…
棺の中に、この数珠も入れてもらおうと思っています。

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