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絵本を読んで育つと人生で”3回”嬉しくなれる

絵本をたくさん読んで育った、らしい。らしいというのは自分ではあまりよく覚えていないからなのだけれど、絵本を読んで育つと人生で3回オイシイ瞬間が味わえるな、と最近感じたので書いてみた。素敵な絵本にたくさん出会えて、本当によかったと思う。

1. もちろん子どものころ楽しい

私の子ども時代にはちょっとした伝説(?)が残っている。ちょうど2歳のころに妹が生まれたのだが、そのときすでに、生まれたばかりの妹に当時お気に入りだった絵本を読み聞かせていたというのだ(!)。もちろん字が読めるはずはなく、意味だってわかっていたか怪しいところだが、出産のために入院した母親がテープに読み聞かせを吹き込んで置いて行ってくれて、それを繰り返し聞いているうちに覚えたらしい。覚えてしまうくらい好きで、楽しかったのだと思う。

ちなみにその本は福音館書店の「プッポコとペッポコ」シリーズ。なぜ好きだったのかさっぱりわからないのだけれど、プッポコとペッポコがひっくり返っている2つ目の表紙にケラケラ笑っていたのを覚えている(逆さだから面白かったのか、裸で出べそなのがツボだったのか……?)

1993年の月刊誌「こどものとも」のもので、サイトでは「品切れ中」になっている。他にも小さい頃に読んだ本がもう手に入らないことを知ると、とても悲しい。デジタル印刷で少量発注もできそうなのだから、「絶版」という悲しい言葉が世の中からなくなればいいのになぁと思う。国会図書館に行って読むしかなくなってしまう。古本屋やメルカリもすごく漁っている。

2. 大人になりかけのときに救われる(こともある)

大人になる過程で、生きていくのがしんどいなーと思った不安定な時期が数回あった。そのときに、昔読んでいた絵本の表紙を偶然見かけると、うわ、懐かしい、これだよこれ、と急に気分が上がっていった。そのうちの一冊がこれ。『わたしのワンピース

ウサギが着ている真っ白なワンピースが、環境に合わせて花や星やいろんな模様に染まっていくファンタジックなお話なのだけれど、自由で可愛らしくて好き過ぎた。まずワンピースを作るシーンから良い。最後の絵も文も良い。読んでいるうちに、狭まっていた視野がふっと開けたような感じになる。

ふしぎなナイフ』も好き。これもストーリーらしいストーリーはないのだけれど、絵が好きすぎて何回も何回も読んだ。

一方しっかりと物語のある絵本を再読した時は、小さい頃とは全然違う読み方ができるようになっていることに気づく。そもそもうろ覚えだったりするので「こんな話だったっけ?」って新鮮な思いができたり、主人公に感情移入していたはずが、そのお母さんに気持ちが移るようになっていたり。

そしてどの絵本にも言える最高に尊いところは、お気に入りだった絵本を手に取ると、子どものころの気持ちを思い出せることだと思う

遊んでも遊んでも全然飽きなかったおもちゃのこととか、子ども部屋の窓から見えた景色とか、母親が夜ごはんを作っていた音とか、忙しい毎日ですっかり忘れてしまっていたそのときのことが心の中に戻ってくる。と同時に、なんとなく守られていた、大切にされていた感覚を思い出して、そういうふうに育ってきたのだから、これからもきっと大丈夫だろう、と、自分を信じ直すことができる。

昔好きだった絵本を手に取るのは、誰にも迷惑をかけずにひっそりと“赤ちゃん返り”できるよい方法かもしれない

最近、絵本の原画展が頻繁に開催されるようになっている。もしかしたら、心のどこかで絵本とそれに紐づく記憶を思い出したがっている大人が、あちころにいるのかもしれない。(ちなみに2016年に仙台でやっていたぐりとぐら展には救われた。本当に救われた。)

3. 子どもができたらまた楽しい

絵本のベストセラーはなかなか入れ替わらない、と聞いたことがある。お父さんお母さんが、おじいちゃおばあちゃんが、自分が読んできた絵本を子どもに買い与えることが多いから、という理由らしい。わかるような気がする。私もきっと子どもが生まれたら、少なくとも自分が読んできた絵本は全部買って、どれを好きになるのかなーとわくわくしながら眺めているのだと思う。新しい作家さんも応援したいけれど。

2. のような事情で、私は疲れてくると昔読んでいた本を買い漁り始める。狭い部屋なのにどうするんだ、と思う一方で、自分の(将来生まれてくるであろう)子どもに読ませてあげるためだ、いつ手に入らなくなるかわからないから、という言い訳をしながら、コツコツと蒐集している。

いちばん読んでほしい本はこれ。大人になっても何度でも読みたい。小さい頃の子どもの距離感とか不安な気持ちとか嬉しさとか、こんなに単純な表現で伝えられるなんて本当にすごい。

絵本じゃないけどこれも思い出のある一冊。全然見つからなくて2年くらい探し続けて、福岡の古本屋さんにあるとわかって秒でぽちった。無事に届きますように。

というわけで、絵本への思いを2,000字も書いているうちに日付が変わってしまいそうだ。原稿も研究もなにも進まなかったけれど、元気を貰えたから良しとしよう。

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MarkeZine編集部。東北大学卒業後、テレビ報道記者を経てWebの世界に。マーケティングやPR、情報生態系、メディア運営、政治、政策に興味があります。放送大学大学院で論文(の卵)を作成中。365日焼き肉食べたい。好きな場所は南半球。発言は個人の見解です。

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