くるみを聴いてくるみを憶う
初秋のドライブのBGMは
Mr.Children 『シフクノオト』
昨年この世を去った飼い猫くるみの名前は二つの由来がある。
一つは、居間に夫と二人で名づけをあれこれ考えていた時に、私がくるみパンを食べていたから。
夫説は
俺が「くるみがいいんじゃないか?」
と言ったからくるみになった。
私説は
私がくるみパンが好きで(このころ凝っていてベーカリーに行くとくるみパンを買っていたのだ)それで「そうだ、くるみにしよう!」と言った。
どちらもそれなりに正しいが少し足りない。
実はもっとバックグラウンド的な由来があるのだ。
くるみがうちにやってきた当時、Mr.Childrenの『くるみ』が大ヒットしていたのだ。
2003年はまだネットの音楽配信は始まっておらずiTunesも日本に上陸していなかった。
高校生の長男がスカパーでJ-POPのランキング番組をよく視ていたのだ。
私はそれより前に特別ミスチルに関心はなかった。
けれども、『掌』『くるみ』『HERO』このラインナップは非の打ちどころない音楽史に残る名曲(個人史だけど)に思う。
アルバム『シフクノオト』に収録されている。
このところはCDをかけることはほとんどなくなったが、レコードで聴いていた曲はレコードで、CDで聴いていた曲はCDで聴くのがしっくりくる。
曲の新旧はあんまり関係なくて、その曲に出会った時、またはよく聴いていたのがどの媒体だったか、という話。
名前をつけた時はいつかはくるみ(飼い猫)と別れる日が来るということを考えもしなかった。
くるみ(飼い猫)と過ごした約二十年間にくるみ(歌)のことをさして思い出しもしなかった。
くるみがいなくなって二回目の冬を迎えようとしている今、しみじみと歌詞の意味を思う。
そう、いつだって
ねえ、くるみ
と呼びかけていたっけ。
死んだ猫や犬のことを思うと、夫も私も無口になって遠い目になってしまう。