張込18加藤との死闘①

 江藤、翔子、佐川が、愛と武者小路を尾行している。張り込みの任務も今日を含めて残り3日だ。
「江藤先輩、武者小路と愛が横浜でデートとは珍しいですね」
 江藤と翔子は変装して恋人同士。佐川はサラリーマン風を装って遠方から距離を置いて尾行している。

 夕暮れになり、海に太陽が沈みかける。
 愛たちは横浜の港が見える公園のベンチに座っている。デートスポットらしく付近には大勢のアベックがいる。江藤たちは、愛たちから3つ離れたベンチに座って様子を伺っている。

 しばらくすると武者小路が突然立ち上がり大声で怒鳴り始める。
「だから何回も言っているだろう、今回は降ろしてくれ」
 愛は、
「授かりものよ、赤ちゃんは、どうせ結婚するならいいじゃない」
「うるさい」

 翔子は、その状況を察知して
「止めに入ります」
 江藤も、
「そうだな」
と立ち上がりかけた。
 武者小路は直情型か。愛の腹に蹴りを入れようとしたその瞬間、
 ズキューンの音と共に一発の弾丸が発射される。弾丸は武者小路の右脚に命中した。血が流れる。物陰から拳銃を発射した男が愛たちに近寄ってくる。
 加藤だ。とうとう来たか。

 江藤も翔子も拳銃を構える。
「加藤止めろ」
「拳銃を捨てなさい」
「拳銃を捨てろ」
 加藤は拳銃を構えながら、
「皆んな動くなよ」
 周辺のアベックも足止めされた。
 加藤は愛たちに近寄ると武者小路に
「俺の女に何をする」
「お前は加藤」
「ああ一度若い頃刑務所で一緒だった加藤だ、この結婚詐欺師」
 愛は震えながら、
「こんなこと止めてください」
 加藤は、愛を盾にして、
「警察、俺が打てるなら打ってみろ、一般人に流れ弾が当たったらどうする」

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