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和紙原料を作る! -煮熟編-

皆さんこんにちは。
和紙職人見習いのますだです。

今回は、和紙の原材料を作る工程のうちの、
"煮熟(しゃじゅく)"
と呼ばれる工程を実際にやってみたので、
皆様にもご紹介したいと思います。

まず、和紙は、
楮(こうぞ)三椏(みつまた)雁皮(がんぴ)
といった、木の皮がメインの材料になります。
したがって、和紙を作るには、
木を、和紙を漉く直前の繊維の状態に、
もっていかなければなりません。
その工程をかんた〜んに紹介すると以下の通りです。



①木を刈り取り、長さを揃える。
②刈り取った木を、蒸す。
③蒸した木の皮を剥いで、芯と皮に分ける。
(皮の部分が和紙の材料になります)
④皮の表面の黒い部分を剥ぐ。
⑤残った白い皮を煮る
⑥煮終わった皮からゴミを取り除く
⑦皮を叩く

繊維

このようにたくさんの工程を踏んで繊維が出来上がるわけですが、
今回やったのは、このうちの⑤の部分です。

まず、黒い皮を剥いだ木の皮がこちら↓
※今回は三椏を使用しています

これを大きな窯で煮ていきます。
我々の本拠地、紙谷和紙工房には、↓のような立派な釜がありますので(今回の工程は右の窯を使います)

釜に水を入れていき

同時に火を起こして窯を熱します。

中の水が温まってきたら、材料を入れます。

沸騰させたら、

お薬↓を適量入れて、グツグツと煮ていきます。

アクを取りながら、

材料が浮いてこないよう落とし蓋をします。
※中火でコトコト、がコツ✍️混ぜながら、水を入れたり、火を調整しながら、、。

材料を引っ張った時、スッと解けるようになるまで、煮続けま

からのー

こんな感じ。

材料が煮えたら、火を落として、翌日まで放置し、
翌日、材料を水からあげて、
ようやく煮熟の工程が終わります。

いやー。
材料を作る7つの工程のうちの1つだけでも、このボリュームです。
他の6つの工程も、時間がかかり、大変なものが多いですが、
それでもここまで受け継がれてきたのだと思うと、歴史の壮大さを、改めて感じました。

技術が進んだ現代において、
効率を求めれば、
材料を変えたり、機械を導入したり、様々なことが出来るかもしれません。
しかし、
古くからこの2021年まで、形を大きく変えずに受け継がれてきたのが、修善寺紙です。
長年受け継がれてきたという事実、その長い年月や、受け継いできた方々の想いこそが、修善寺紙の"価値"ではないかと思います。

何が修善寺紙にとって一番大事なことなのか。
お客さんに何を売り、何を感じてもらうべきなのか。
何を変え、何を変えないべきなのか。
そんなことを考えながら、
一つ一つの工程を学び、今後の活動につなげていきたいと思っています。

今回の煮熟以外の工程についても、随時皆様に共有していこうと思います。
是非一緒に修善寺紙のことを学んでいただき、興味を持ってもらえると嬉しいです!

それではまた!


【追伸】
今日はじめて、
今まで頑なに紙漉きを見せてくれなかった、大先生の紙漉きを見せて貰いました。
格が違いました。
精進します🙁

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