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ライプツィヒの守備①~フィジカル能力との向き合い方~

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今回は、先日のツイート↓にもある通り、あるチームや試合について、これまでよりもポイントを絞って書いていく取り組みをしていきます。
これまで、試合・チームについてツイートにて書き込むことを何度もしてきましたが、複数回ツイートするならそれらを記事にまとめた方が良いのでは?と考えました。この記事はその取り組みの初回となります。

取り上げるテーマは、ライプツィヒの守備です。戦術について深く分析するのではなく、チーム全体を設計する上での考え方について今回は扱いたいと思います。

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まずはライプツィヒの守備の大枠とはどんなものか。

ライプツィヒの守備戦術については以前↓の記事で詳しく言及しておりますので、より詳細な部分については是非こちらの記事を読んでいただければと思います。

ライプツィヒは、常に縦横コンパクトなブロックを形成し、高い位置からプレッシングをかけます。中央のスペースを埋めて相手をサイドへ誘導して、ボールサイドへ全体を圧縮し、パスコースを削いでボールを奪うことを目指します。
ボールがある位置を基準として全体の陣形をスライドさせ、ボール周辺の密度を高めたいわけなので、選手達の動きは「ゾーン」がベースとなります。
自分のマークにくっつくのではなく、ボールに対して個人の立ち位置・チーム全体の陣形を最適化させる。この動きを絶え間なく行うことが要求されます。

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もちろんライプツィヒのベースもそこにあるのですが、一点違うポイントがあります。

「CBの担うタスク」

です。
ユリアン・ナーゲルスマン監督は、自チームの保有するCBの能力を最大限チームに還元してもらうために、CB陣には若干「自由」を与えています。
ライプツィヒの保有するCBは、ウパメカノ、コナテ、オルバン、クロスターマン、ムキエレ、ハルステンベルク(2CB、3CBは問わない)。これらの選手から読み取れるのは、フィジカル能力に長けた選手が多いということ。特にウパメカノ、コナテ、クロスターマン、ムキエレは、「高い・強い・速い」を高い水準で備えています。
こういった戦力を保有しているため、ナーゲルスマン監督は「細かな微調整を求めすぎない」ことを選択しているように思います。
つまり、前述の通りライプツィヒというチームのベースは「ゾーン」にあり選手達にはボール方向への圧縮、周辺の選手と距離感を詰めることが要求される。しかし、CB陣にはゾーンを基にした徹底的な立ち位置の調整に関する要求レベルが他の選手よりも少し低い。
そのため、試合の中では「ウパメカノのスライド、少し甘いのでは?」という場面が見受けられます。
それはなぜか。ナーゲルスマン監督が「細かい立ち位置の調整の徹底を求めるよりも、フィジカルを頼ってカバー範囲を広げた方が上手く守れる」と考えているからでしょう。
彼らのようなフィジカル能力に非常に優れている選手には、戦術を徹底的に落とし込んでそれに沿った動きを要求することは逆効果になりやすい、ということです。むしろ少し選手の裁量を広げ、フィジカル能力を存分に活かす守り方の方が選手のポテンシャルが引き出せる。そして、「戦術」の遂行では守れない範囲まで守れてしまうことがよくある。
これらのことをナーゲルスマン監督は理解しているので、あえてCB陣には少しの「自由」を与える設計をしているのでしょう。

余談ですが、この考え方はリバプールのユルゲン・クロップ監督も恐らく同じです。リバプールの試合を常に追っているわけではないのであくまで断片的に見た試合からの分析ですが、クロップ監督もある程度CBには裁量を与えることによってフィジカル能力を引き出し、守れる範囲を広げるという考え方をしていると思います。
なぜなら、リバプールにはファン・ダイク、ジョー・ゴメスというフィジカル能力に長けたCB(この記事では負傷離脱は無視します)がいるからです。

まとめると、ライプツィヒやリバプールのようなチームにとっては、チーム全員が決められた戦術に沿ってプレーすることよりも良い守り方がある、ということ。
もちろん、チーム全員が歩幅を揃えて同じようにタスクを遂行する方が結果が出るチームもたくさん存在するはずです。しかし、「組織」を尊重しすぎない方が上手く「組織」が機能することもある、というのも確かでしょう。

最後にもう一度書かせていただきます。もしこの記事を気に入っていただけたら、SNSなどでの拡散をぜひよろしくお願い致します。皆さんで日本サッカー界をもっと盛り上げ、レベルアップさせましょう!

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