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【ネタバレ含】『羅小黒戦記〜ぼくが選ぶ未来〜』を観た

皆さん
羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)は観ました?


僕は観ました。


『羅小黒戦記〜ぼくが選ぶ未来〜』は中国発のオリジナル長編アニメ映画で、日本国内で上映が始まったのは昨年(2019年)の9月だそうです。
当初は字幕版のみが非常に小さな規模で配給されていたらしいですが、クチコミで瞬く間に噂が広がり、細く長くのロングランを記録。
その後いったんは上映終了してしまうものの、この度めでたく吹き替え版として再上映が始まり、僕はこの吹き替え版を観たのでした。

実は観終わってから『羅小黒戦記』について調べるまで、この作品にそういった経緯があったことは露知らず……観に行くことを決めた動機も「ネットでやたら評判が良いらしい」「黒猫がやたら可愛い」という噂を小耳に挟んでのことでした。
何なら観る前はタイトルの読み方すらうろ覚えでした。
タイトルくらいは正確に把握しなさい。

以下、若干のネタバレをちらほら挟みつつ、つらつらと感想を述べていきたいと思います。
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ハッタリの効いたアニメーション
随所に感じられるカートゥーンっぽさ

まず、何といっても映像表現の素晴らしさは触れざるを得ない要素です。
本作の監督であるMTJJ氏は、ジブリ作品をはじめ日本のアニメから多大な影響を受けた人物であるとのことで、背景描写なんかにはそのエッセンスが随所に現れています。
しかしその一方、線の太さと丸っこいキャラデザは日本アニメにはあまり観られない(こういうこと言うと角が立つかな……)ような表現に感じられ、キャラクター描写に関してはカートゥーンからの影響を強く受けているように思いました。
繊細な背景描写と、非常に主張の激しい線やデザインで描かれたキャラクターが同じ画面に描かれる……どうしてもキャラが浮いてしまいそうな気もしますが、なかなかどうして両者は上手く溶け込んでおり、摩訶不思議です。
アニメーションの和洋折衷ですね(?)

もう一つ、映像表現で触れておきたいのは演出面です。
本作は「動かす」ところと「動かさない」ところ、あるいは「描く」ところと「描かない」ところの取捨選択が非常に高いレベルで吟味されており、全編を通じて丁寧な演出が成されています。
良い意味で「手を抜くべき箇所では手を抜いている」と言えるかもしれませんが、もちろんこれは決して雑になっているという意味ではありません。
メリハリが利いていて非常に小気味が良く、観ているだけでも非常に爽快感があるのです。
観ているだけで気持ちが良い……というのはアニメーションとしては最高峰とも言えますが、それを支える一因にはカメラワークの巧みさにもあると思われます。
特に、終盤の戦闘描写における惜しげもないカメラワークは圧巻の一言に尽きるでしょう……4DX版での上映もやってるみたいだけど、そっちで観たらまた物凄いことになるんだろうな。

シャオヘイの良い意味でのクソガキ感

本作の素晴らしさは映像表現だけではありません。
何といっても登場キャラクター全員が魅力に溢れており、特に主人公であるシャオヘイの可愛さは突き抜けています。
何はともあれ随所に見せるクソガキっぽさが堪りません。
とにかく一挙手一投足に到るまで全てが非常に可愛らしく、表情の豊かさも相まって「この子をずっと眺めていたい……」という気持ちにさせられてしまった人が続出していることでしょう。
かくいう僕もその一人です。
特にムゲンとのやり取りは本当に微笑ましく、慈母のような気持ちになること間違いなし。(というかムゲン……好きだ)
それにしてもこのシャオヘイ、キャラメイクに相当〝力〟を込めた輩が制作陣内にいると僕は睨んでいますが、果たして真相やいかに……。

物語としてはもっと説明や描写が欲しい要素たくさん

これはオリジナル長編アニメ映画の宿命とも言えますが、どうしてもキャラの掘り下げが甘くなりがちな傾向があります。
物語の中核を成すシャオヘイ、ムゲン、フーシーの3人に関しては十分な掘り下げが見られる一方、館の執行人たちやロジュをはじめとしたフーシーの仲間など、短い描写でも確かな魅力を感じられる脇役たちにもう少しスポットライトが当たっていたらな~と少し物足りなさを感じました。
また、シャオヘイ達を取り巻く世界観についても、観ている側の想像によってある程度の補完を促すような形になっていたように思われます。

物語としては、本作があくまでもシャオヘイ、ムゲン、フーシーの3人の物語であることに重点を定め、残りの要素はある程度割り切った構成に仕上げたのではないかと簡単に予想はつきます。
また、脇役にしろ世界観にしろ、掘り下げがまったく足りていなかったわけでもなく、端々でテンポ良く必要不可欠な要素はちゃんと拾われており、そういった部分からも一本筋の通った「割り切り」が垣間見えました。
ただ、作中で深く触れられない箇所や要素に関しても、非常に丁寧に設定を作りこんでいたであろうことが節々に感じられるため、個人的にはどうしても「もうちょっと見せてよ~!!」という思いを抱かざるを得ません。
例えば、映画全体の尺を100分ではなく120分にしてみたら……蛇足になるかもしれないので滅多なことは言うもんではないかもしれませんが……。
ディレクターズカットとか出ませんかね?どうかな……。

作品をもっと知るには

実は羅小黒戦記、映画は別途アニメシリーズ(本編)の前日譚にあたる作品らしいです。
本編は映画と違ってコメディテイストの短編作品らしいですが、ザックリと調べた限り、本編に関しては現時点で日本語ローカライズなどはされてないみたいです……残念……。
もっと羅小黒戦記を詳しく知りたい!!となっても、本編が中国語しかないとなるとこればっかりはどうにもお手上げですね。
ネットで探せば有志の人が翻訳してくれていたりするのかもしれませんが、果たして公式に日本語ローカライズされるまでどれだけ時間がかかるのでしょうか……そもそもローカライズされるのか?

それと最後にもう一点、これもザックリと調べた情報ではありますが、どうやら映画も映画でシリーズもの?っぽい?展開を見せるらしい?ですね。

詳しくは各自調べてください。

というか僕に教えてください。

宜しくお願いします……。

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