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アランの『幸福論』を卓球にフル活用しよう!⑤/5

同じことを繰り返し考えない

「脳を柔らかくほぐすいい方法があります。
あえて別のことを考えるのです。」

【75.心の健康】

ネガティブな感情は、頭の中をぐるぐる回りながら増幅します。

「全然上手くならない…」

という思いが繰り返されるうちに、思いはどんどん膨らみ、本当に上手くいかなくなってしまいます。



こうならないために、別のことを考えましょう。

方法は2つあります。



1つ目は、

「よく観察すること」

です。

周りの人はどうやって打っているか、観察しましょう。

周りにはいろいろな人がいるはずです。

ラケット、腕の振り、体の向き、足の使い方など、観察すべきポイントはたくさんあります。

見るものはいくらでもあるので、いつまでもやり続けることができます。



2つ目は、

「本当の原因を考えること」

です。

「全然上手くならない…」

という結果について考えるのではなく、

「なぜ、上手くならないんだろう?」

という原因について考えるのです。

結果から原因へ視点を移すことで、思考は今いる場所から離れていきます。



思考は、立ち止まるとどんどん深みにハマっていきます。

さぁ、どこへでもいいので、とにかく移動しましょう。


優柔不断は最大の悪

「恐怖とは、優柔不断の感情」
「行動しなければならないのにできないときに恐怖を感じるのです。」

【78.優柔不断】

試合中に恐怖を感じることはよくあります。

「ドライブが入らなかったら…」

「逆のコースに来たら…」

こんなことを考えてしまいます。



この感情は、優柔不断が原因です。

「ドライブが入らなかったら…」

と考えるのは、ドライブ打とうか迷っている人です。

優柔不断なせいで恐怖を感じ、ドライブが打てなくなっているのです。



「逆のコースに来たら…」

と考えているのは、コースを読めていない人です。

フォア側に来る可能性が頭によぎっているせいで恐怖を感じ、回り込めなくなっているのです。



必要なのは決断です。

そして、決断するためには根拠が必要です。



「バックロングにサーブを出せば、ミドルに繋いで来る。」

という相手の癖を見つけていれば、もはや迷うことなくミドルで待ち伏せて、ドライブを打つことができます。



「バック前に順横サーブを出せば、クロスにしか返ってこない。」

という相手の癖を見つけていれば、もはや迷うことなく回り込むことができます。



根拠さえあれば、たとえ10-10でも迷いの無い攻撃をすることができます。



いわゆる

「メンタルの強い選手」

とは、

「根拠のある決断ができる選手」

のことを言うのです。


病気を怖れなければ健康になる

「軍人の生活は、弾丸に当たることは別にして、健康にいいとは、昔からよく言われてきたところである。」

【86.健康を維持する方法】

ミスを怖れなくなると、ミスをしなくなります。

2-8ぐらいの大差で負けているときに、経験のある人も多いのではないでしょうか。

「どうせこのゲームは取られるんだから、思い切ってやろう!」

という思考により、ミスにも、相手のブロックにも、怖れを感じなくなります。

だから思い切りドライブが振れるし、容赦なく連打ができるのです。



では、これを「ミスが許されない状況」でもできるでしょうか。

9-10で、ミスを怖れないでいられるでしょうか。

僕は、無理だと思います。

だって、ミスが許されないんですから。

世界のトップ選手たちの中にも、ミスを怖れないでいられる人を、僕は見たことがありません。



「メンタルを鍛えろ!」

という指導者がいますが、そんなのは無理です。

本当にすべきは、

「メンタルが弱いことを認める」

ということです。



強打をするのは怖い。

じゃあ、ループドライブならできるのか。

それとも、相手に打たせた方が良いのか。



ミスが許されない状況で、それでも自分にできることを見つけましょう。


努力で手に入れた幸せが本当の幸せ

「私たちが努力で手に入れた幸せは、しっかり身についています。
染料で染められた毛糸以上に、私たちはその幸せ色に染まります。」

【89.幸せは徳】

自分の努力で手に入れた幸せが、最高の幸せです。

それに比べて、与えられた幸せは、小さいものです。



自分で考えることはせず、すぐ人にアドバイスを求める人がいます。

こういう人は、上達してもそれは与えられたものなので、大して喜びは感じません。

そして、上達しなかったときは、指導者のせいにします。



上達を外に求める人は、どちらにしても幸せにはなれないのです。



卓球で幸せになるためには、なるべく自力でなんとかすべきです。

自分で試行錯誤し、自分で微調整をするのです。

アドバイスを求めるのは、本当にどうすればいいか分からなくなったときだけです。



上達を与えられた方が、上達は速いかもしれません。

しかし、本当に幸せになれるのは、自力で上達を掴みに行く人です。

たとえ上達が遅くても、僕はそっちの方が良いと思います。


幸せは歩いてこない

「幸せになるには、幸せになろうと決意し、本気でそのことに取り組まなくてはなりません。」

【90.幸せは気前がいい】

幸せは、自分から掴みに行くものです。

待っているだけでは、幸せはやってきてはくれません。



卓球も、自分から上手くなりに行くと、上手くなります。

ただ練習をしているだけでは、なかなか上手くはなりません。



同じフットワーク練習をするにも、

「足の動かし方を覚えたい!」

と、明確に目的地を設定すると、足に意識が向き、やがて足を動かせるようになります。



「試合での動きの流れを覚えたい!」

と設定すれば、しっかり振りながら動くことに集中し、やがてできるようになります。



しかし、何の考えもなしに、ただメニューをこなしているだけだと、何も身に付きません。

具体的にどこかを意識して、試行錯誤しようとしていないからです。



自分が上達することを待っていても、なかなか上達はしません。

練習メニューに目的地を設定し、そこに突き進むことが、上達のコツです。


幸せになることを決意しろ

「幸福になることはまた、他人に対する義務でもあるのだ。」

【92.幸福にならねばならない】

周りの人のためにも、あなたは幸せでいないといけません。

なぜなら、情念は伝染するからです。



あなたが不機嫌だと、周りも不機嫌になっていきます。

そして周りの不機嫌があなたを更に不機嫌にさせます。

そしていつしか、不機嫌が当たり前の空間になってしまいます。



逆に、あなたが上機嫌だと、周りも上機嫌になります。

いつしか、上機嫌が当たり前の空間になります。



スポーツは、幸福を追求するためのものです。

経済活動ではないわけですからね。



つまり、あなたが不機嫌であるということは、

「周りの人の幸福の追求を邪魔している」

ということです。



不機嫌な人は、周りの足を引っ張ってしまっているのです。



卓球をする本来の目的を忘れてはいけません。

自分のためにも、周りの人のためにも、上機嫌を貫くように努めましょう。


まとめ

以上が、アランの世界観です。

卓球への取り組み方が見えてくるメッセージがたくさんありました。



「ネガティブに考えてしまう…」

というあなた。

そう考えてしまうのはあなただけではありません。

人間はつい、ネガティブに考えてしまう生き物なのです。

ポジティブで居続けるには、強い意志が必要です。

まずは、ポジティブな顔を作るところから始めましょう。



「なかなか上手くならない…」

というあなた。

それはむしろ、幸せなことです。

目標に向かって努力すること自体が幸せなのですから。

そして、苦労の中に喜びを見つけましょう。

上達を感じられないとしても、実際に全く上達していないわけではありません。

自分の小さな上達を、自分で見つけてあげましょう。



「メンタルが弱い…」

というあなた。

メンタルが強い人なんていません。

メンタルが弱いことを受け入れるのです。

その上で自分に何ができるのかを探しましょう。

また、自分のメンタルをコントロールするなんて激ムズです。

考えるべきは、相手のメンタルを操ることなのです。



アランは「情念」という言葉をよく使っています。

情念というものの、人間の心に対する支配力は、それだけ強いということです。

情念に囚われながら卓球をしても、幸せにはなれません。

情念に打ち克って、幸せな卓球人生を送ってください。


アランの『幸福論』を卓球にフル活用しよう!④/5
アランの『幸福論』を卓球にフル活用しよう!①/5

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