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飢餓や栄養不良をめぐる世界の現状

TABLE FOR TWOは、飢餓と飽食という世界規模で起こっている相反する食の不均衡を同時に解決することをミッションに掲げ、2007年に日本で立ち上がったNPO法人です。以来、多くの法人・個人の皆さまにお力添えをいただき、今年の10月に設立15周年を迎えます。
15周年を記念して、TABLE FOR TWOとして初となるnoteの公式アカウントを開設しました。2022年9月~12月の間、設立後15年を振り返り、TABLE FOR TWOが歩んできた道のり、現在、そして今後について発信してまいります。

国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」を2030年までに達成するために、2020年からは「行動の10年」と位置付けられていました。しかしながら、新型コロナウイルスの流行拡大はSDGs達成に大きな影響を与え、特に「1.貧困をなくそう」「2.飢餓をゼロに」において解決遅延が起きています。
2030年までに「あらゆる形態の飢餓、食料不安、栄養不良をなくす」という目標に対し、残念ながら国際社会は遠ざかる一方です。

2022年7月、ユニセフ(国連児童基金)、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国連世界食糧計画(国連WFP)、世界保健機関(WHO)は、世界全体で飢餓の影響を受けている人の数が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック発生後1億5,000万人増加し、2021年には8億2,800万人に達したと発表しました。

TABLE FOR TWOが設立された頃からの飢餓人口推移をみると、2018年まで減少を続けていましたが、2019年から増加に転じています。
その主要因として、紛争(Conflict)、気候変動(Climate)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、そして今年に入ってからロシアによるウクライナ侵攻の影響で世界中で起きている価格高騰(Cost)の「4Cs」とされています。

地域別にみる栄養不足蔓延率

世界全体で飢餓人口の増加が懸念されていますが、地域間の格差も指摘されています。
アフリカは過去5年間の栄養不足蔓延率(※)上昇が最も大きかった地域で、およそ5人に1人が飢餓に直面していると言われています。これは他の地域の2倍以上に当たります。

出典データ:世界食糧計画「世界の食料安全保障と栄養の現状の報告書2021」

(※)栄養不足蔓延率 Prevalence of undernourishment (PoU)は、
活動的で健康的な生活に必要な食事エネルギーが不足している人口の割合の推定値で、飢餓の状況を測る指標のひとつです。

◆ご参考:地域別PoU
・アフリカ 21.0%
・アジア 9.0%
・中南米とカリブ海 9.1%
・オセアニア 6.2%
・北米とヨーロッパ 2.5%未満

TFTの主な支援先である東アフリカは、28.1%とアフリカの平均よりもさらに高い数字になっています。

3タイプの栄養不良

東アフリカは、発育阻害児の占める割合もアフリカの中で1番高い地域です。地域全体の34.5%(2,300万人)の5歳未満児が発育阻害であるといわれています。
新型コロナウイルス感染症やロシアによるウクライナ侵攻で食糧価格が上昇している影響による経済的な打撃で、多くの家族が貧困に追いやられていることから、発育阻害児の数が増えることが予想されています。

出典:UNICEF, WHO and the World Bank

TABLE FOR TWOでは、学校給食支援に関連するプログラムとして、栄養不良児に対する特別食の提供を行っています。
支援が必要と判断された子どもには、通常の給食で提供しているお粥に加えて、緑黄色野菜や豆類、卵などを含む特別食を週に3回提供しています。
コミュニティ菜園で採れた野菜や、給食室の隣に設置された小規模養鶏場でとれた卵を使っています。
菜園は、食料自給率や経済的自立を高めるだけでなく、子どもたちに栄養や食の安全について教える場にもなっています。

TABLE FOR TWO2021年度「年次報告書」

栄養不良の二重負荷

栄養不良の二重負荷(Double burden of malnutrition)とは、低栄養と過栄養が同じ地球上に、同じ国に混在している状態を指し、昨年東京で開催された「東京栄養サミット2021」においてもメインテーマとして議論されました。

SDGsの『飢餓をゼロに』を細かく見ると、その1つに “あらゆる形態の栄養不良をなくすこと”と記載があります。飢餓など栄養不良は、開発途上国でのみで起こっている問題だと思われがちですが、1つの国でも都市部と農村部で併存したり、世帯内・集団内で同時にみられることがあります。一人の人生の中でも、過体重であるが栄養不足に起因する鉄欠乏性貧血であったり、生涯を通じて壮年期、中年期は肥満や生活習慣病を抱えながら、老化とともにフレイル(虚弱)や低栄養状態となるケースがあることが現在日本において健康にまつわる課題だといわれています。

肥満の解消や予防は、飢餓の解消とともにTABLE FOR TWOの活動の両輪の一つです。今後も引き続き生活習慣の変化に伴う健康維持に関する課題の把握に努め、 解消につなげる取り組みを模索してまいります。

月500円のご寄付で、子ども1人に1ヵ月分の学校給食を届けることのできる「マンスリーサポートプログラム」もぜひご検討いただけますと嬉しいです。 http://jp.tablefor2.org/donate/ (TABLE FOR TWOは寄付金控除の対象です)