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#5 麦茶とお煎餅、縁側でおなじ話を

麦茶に合うおやつってなんだろう。

考えてみると、緑茶や抹茶に合うおやつはすぐに思いつくものの、麦茶の相棒はなかなかコレ!というものが頭に思い浮かびません。

おやつは結びつかないのに、思い出すのは小さい頃の夏の土曜のお昼ごはん。
いつも麦茶がお供だったカレーライス。
生意気にもそれが嫌でいつも『カレーには冷たい水が一番合う』と思っており、麦茶はいつも「香ばしいですよ。」の主張が激しいと謎の怒りを感じていたかわいくないお子様でした。


しかし、南国にいると麦茶のありがたみがよく分かります。
暑い日に合うとか、ミネラルが取れるとかカフェインが入っていないとか、そういうことだけじゃない。

この風味が日本の夏を思い出させるのです。
雨が上がった後のアスファルトの匂いのような、ちょっと水っぽい後味の。


最近、お茶を探しにジャカルタ郊外のイオンに買い出しに出て、懐かしいものを手に入れました。
どえらいお値段(高額)の日本の食品が並ぶ棚の奥から見つけた、江戸麦茶です。

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昔懐かしい細長いパッケージに、炒った大麦がパンパンに入っています。
ジャカルタのイオンのバイヤーさん、なかなか渋いセレクトじゃないか・・
この南国の地でまさかと思ったけど、嬉しい再会。

やかんで煮出すと香りがふんわりとたち苦味と香ばしさが優しく感じられます。

この麦茶を飲んでいると、何故か自然に"塩味"が欲しくなる。
暑い時、麦茶を飲んでミネラルを補給しておやつで塩分を摂れば完璧なんだな。なんて合理的。

今日はお煎餅なんてどうかな。
麦茶には、お煎餅の塩や醤油の後味のじっとり感をさっと消してくれる苦味と香ばしさがある。

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●白玉粉のお煎餅

<材料:直径4cm10枚分>
白玉粉  50g
水    50ml
醤油   大さじ2
砂糖   大さじ1
黒ごま  大さじ1

<作り方>
①白玉粉に水を少しずつ加える。粉っぽさがなくなり柔らかすぎないかたさになるまで練り、黒胡麻を加えてまとめる。
②クッキングシートの上に、生地を10個に分けて薄く手でのばす。キッチンペーパーを下に敷き、電子レンジ(600W)で両面1分30分ずつ加熱する。
干し網があれば30分ほど外で乾燥させる。無ければもう一度両面を1分30秒ずつ加熱する。
③醤油と砂糖をよく混ぜて②の生地を浸し、オーブントースターで焼く。
焦げやすいので扉は開けたままにすると良い。



麦茶とお煎餅、か。


いつか、どこかの古い家の縁側でお茶してみたいな。

お昼には、夜はここで松の間からちょっとだけ顔を出す花火を観よう、なんて考えながらそうめんをすすり麦茶を飲む。

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もうすぐ陽が傾きそうな午後の縁側。
庭の草むしりをして、疲れたら縁側で寝っ転がって休む。
天井を見ながら煎餅をポリポリ食べて、麦茶を飲む。

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縁側は、外と中の曖昧な境目だと思う。
中だけど外、外だけど中。

妄想と願いの狭間。縁側と麦茶。
思いを繋ぐもの。
毎年夏には、何となくそこに居ない人のことを考える。

しみじみ、麦茶を飲む。

そのうちまどろんでいくような日曜の午後を過ごしたいな。



●今聴きたい1曲:
おなじ話 / ハンバートハンバート

夫婦デュオであるハンバートハンバートの曲の中でも有名な曲。
彼らの曲にはどこかいつも「死」とか「影」とか、光の後ろにあるものが漂っていると勝手に感じているのだけど、この曲はまさにそれです。

終始シンプルなコードとシンプルなメロディ。のほほんとした雰囲気なのに、夕方にカナカナが鳴いているような切なさが全編にあります。
使う楽器も少ないからこそ主役二人の声が真っ直ぐに心に響きます。

「君」と「僕」の話。

(僕)どこにいるの? (君)君のそばにいるよ
(僕)何を見てるの? (君)君のこと見てるよ
(僕)どこへ行くの? (君)どこへも行かないよ
(僕)・・・・・・・ (君)ずっとそばにいるよ

僕と君は、多分離れて生きている。違う世界かもしれない。
会話のようだけど、きっと互いの声は聞こえていない。
時々の沈黙が色々な感情を想像させて胸が苦しくなります。

それから (僕)君は僕を見つめ
それから (君)泣きながらわらった

さよなら (僕)ゆうべ夢を見たよ
さよなら (君)いつもおなじ話

さよならを言ったらもう・・と毎回ちょっと悲しくなるのです。



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