SATC 4-7 女と男と罪と罰

【子と仕事、どちらかを選ぶのか、そのどちらも選ぶのか。身勝手な女】

この1話にはいろんな話題が詰まっているけれど、メインテーマは女の仕事について。結婚し、子作りをしようというシャーロットが仕事を辞めるという話。ニューヨークらしく、自立した女性を描くドラマでありながら、シャーロットは古風というか、日本風ともいえる考え方。自分はSATCの中で誰に近い?って考えた時、シャーロットだと思う日本人女性は多いはず。

でもさすがはニューヨークで働く女性、シャーロット。日本人女性に多いように「仕事を辞めたいから結婚したい。子供が欲しい。」なんて女ではない。本当は彼女は仕事を辞めたくなくて、でも辞めたい気持ちもあって、葛藤している。シャーロットの「仕事を辞める」という選択は間違いではないけれど、シャーロット自身決断しきれていなくて、「仕事は辞めるべき」って自分で自分に言い聞かせている感じが痛々しい。

性に関する話題以外で、サマンサが愚痴をこぼしたり、意見したりってことは珍しくて、キャリーもそのことを指摘している。自分が仕事を辞めたら、その後釜を若い女たちが狙っている、そういう経験が自分にもある、と話すサマンサ。きっとみんなに言っていない中で、辛いこといろいろあるんだろうなあ。

このお話の最後で、サマンサはキャリーに「男に下の毛がボーボーと言われたこと」について文句を言っている。こんな風に性に関する話題については声を荒げるサマンサだから、なんでもみんなに話しているように思いがちだけど、性にまつわること以外で彼女はみんなに相談できないもやもやを抱えているのかもしれない。


そしてキャリーの勝手さ、エイダンの優しさ、も、描かれている。首筋がつって身動きが取れないミランダを、キャリーの代わりに助けに行くエイダン。彼女にだけでなく、彼女の友人にも優しくしてくれるなんて、なんと完璧な彼氏なんだ、エイダン。

それなのに、エイダンが女友達と飲んでいるのを見つけてイライラするキャリー(男友達にドタキャンされたりして、結果一時的に女と二人になっただけなのに)。その後、急に彼女ぶってエイダンの犬の散歩して、でも結局手に負えなくなって、最後は仕事中のエイダンに犬を返しに行ったり。そして女性と一緒にコーヒーを持っていたエイダンを非難。

おい、キャリーよ、エイダンええ奴やぞ!もっと大事にせい!と言いたくなる。けど、この程度の我儘って女にはよくあることで。わたしが男友達と連絡取るのはいいけど、彼氏が女友達と連絡取っているなんて許せない、なんて話は聞いたことがある。だいたい女は我儘で、自分を棚に上げている。全く、世の「彼氏」さんは大変なもんだね、とわたしは友人の恋バナを聞きながら思ったりしている。

キャリーが勝手でいけないのは、彼氏に対してだけじゃなくて、友人に対しても、相手のことを考えているようで、実は自分のことを考えているところ。エイダンの犬を散歩したのも、エイダンのためではなく、自分がいい彼女だって思われたいから。ミランダのお見舞いにとベーグルを買って行ったのも、自分とエイダンの話を聞いてほしいからって言う気持ちもあったから。ミランダを助けに行きたいけど、自分はどうしても行けないから、自分の彼氏に行ってもらうっていうのも、一見得策のようだけど…ミランダの立場に立って考えるならばそれはダメだったのかもしれない。

でも、ミランダに指摘されて素直に自分のダメなところを認めて反省するキャリーは素敵だなと思った。ま、その指摘された欠点が改善されるかどうかは別だけれど。

(この記事は2016年に書いたものです。)

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