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本のこと

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フィクション(小説)を中心に、自己啓発・スピリチュアル・心理学など、お気に入りの本やおすすめしたい本をご紹介します。
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ここではないどこかへ

エッセイを読むことは少ない。 なんとなく哲学的なタイトルに惹かれたのと、偶然目にしたおすすめ本紹介の上位にランキングされていたため購入した一冊。 『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』 若林 正恭著 みなさんご存知の、といって良いのか定かではないけれど、お笑い芸人オードリーの若林さんが書かれたエッセイ本。 正直それほど期待せず購入したので、積読状態で数ヶ月ほど放置していた。ふと読んでみようかなと思い立ちページを捲ったところ、自分でも驚くほど世界観に引きこまれていっ

ミステリー読破には集中力が必要

知り合いの娘さん(中学生)にすすめてもらった本が積読の中に埋もれていた。目が合ったというか「そろそろ読みませんか」と話しかけられた気がしたので手に取る。 実はこれまでもページを捲っては閉じ、捲っては閉じを繰り返して、いつの間にか積読の仲間入りをしていたのだ。 正直、本を読むスピードは早い方だと思う。比較対象がいないので自己申告ではあるけれど。自分が読みたくて購入した本ならば2時間で大抵は読み終える。 人からすすめられて買ったものだからなのか。読みたい欲求が希薄だったから

余白のある文章を

ゆっくりとページを捲る。 文章を追うのではなく拾いながら読む。 読書の醍醐味って人それぞれだけど、私は大事な何かを見失ってたなと気づく。いつの間にか「一冊でも多く、そして早く」本を読む行為そのものに重きをおくようになってしまっていたと。 久しぶりに川上弘美さんの短編集を手にし、言葉を拾いながら読み進めてみる。ああ、やっぱり好きだなと感じた。面白いとか感動したとか、何がどうしたという具体的な「好き」は表現できない。 だけれど「しみじみと」した世界がそこに広がっている。この

この世にアイは存在しますか

『この世にアイは存在しません』 冒頭の一文から既に世界に惹き込まれていた。 シリアで生まれた主人公のアイは、裕福な夫婦の養子として大切に育てられる。周りから見れば恵まれた環境であり幸せそのものだ。けれどアイは自らの身に舞い込んだ幸運を抱きしめることができない。 なぜ自分が選ばれたのだろう なぜ他の人は選ばれなかったのだろう 選ばれたというより『選ばれてしまった』後悔の念に縛られて生きている。選ばれなかった人たちの『不幸』な現実をつきつけられる度、アイは自分を責めるのだ。