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組織には目的が大切だと実感したのは休日のフットサルだった

組織にはビジョンや理念が大切だとよく言われます。組織のメンバーが目指すビジョンや理念、つまり「共通の目的」があってこそ、組織は成立します。私が「共通の目的」の大切を実感した話をご紹介します

同期で始めた休日のフットサル

かれこれ20年以上前の話だが、新卒入社した会社の同期で週末にフットサルを始めたときの話。

「仕事に追われ不健康な生活になったなー」
入社一年目の同期で飲み会をしていたときに、
「今度の休日に運動不足解消のために、フットサルをやってみよう」
といつの間にか会話の流れで決まったように記憶しています。

今ほどフットサルはメジャーではなかったうえに、フットサル、サッカー経験者はほとんどいませんでした。しかしながら、不健康な生活の中で仲の良い同期たちと適度に運動ができること楽しくが、いつの間にか休日には定期的に行うようになり、参加する同期の人数も増えていきました

仲の良い同期だけの初心者ばかりだったので、ぎこちなかった動きをしても、思いっきりシュートを外しても、身勝手なミスをしても、みんなで笑いあう。そんな素人だらけのチームでも回を重ねるごとに、徐々に上達していきました。上達するとフットサルがより楽しくなっていきました。

そんなある日、偶然にも知り合いのチームと試合をする機会があった。少しずつ上達してきた、きっと勝てると思ってました。

しかし、いざ試合が始まると、全く歯が立たない。終わってみれば、見るも無残な完敗。上達してきた、きっと勝てるという幻想は見事に打ち砕かれたのでした。

それからは、同期でフットサルをするときは、より厳しい水準を自然とお互いに求めるようになっていきました。楽しいだけで遊びでやっていたフットサルが、いつしかプレーの質にこだわるようになり、いつしか身勝手なプレー、怠慢によるミスは許されなくなった。

そして、フットサルの主要メンバーの一人がこう言いました。
「楽しいだけではダメだ。大会に出て勝てるようなチームにしたい」
多くのメンバーは、その意見に賛同した。一方で、違和感を感じたメンバーもいた、私もその一人でした。

違和感を感じたメンバーはいたものの、大半の賛同もあり、休日のフットサルは楽しさより勝利を重視するように変わっていきました。適当にチーム分けして試合を楽しんでいたのが、いつしかパスやシュートの練習を行い、そこでのフィードバックは厳しくなっていく。

その変化の中で、一部のメンバーの違和感が大きくなっていきましたた。仲の良い同期であることは変わらなかったが、私を含め一人、また一人と参加者が減っていったのでした。そして、残ったメンバーはより上達しようと、練習に力を入れていきました。

フットサルの目的が変わった

改めてこの話を目的目線で見直してみよう。

当初のこのフットサルの目的は「休日の運動不足を解消したい」

しかし、時を経て目的は「大会で勝ちたい、本気で強くなりたい」に変化したのです。

そう、私を含めた一部のメンバーは、運動不足を解消を目的に楽しくフットサルをしたかっただけでした。共通の目的の変化が私を含め一部のメンバーの離脱を生みました。

ただ、この目的変化があっても、それまで通り楽しいだけのプレーをしていたら、もしかしたら離脱していなかったかも知れません。しかし目的が変わって、実際に行う練習、プレーにも変化がありました。

目的である「なぜ=WHY」が変わると、実際に「なに=WHAT」を目指し、行うかも変わり、「どう=HOW」するか?も変わっていきます。

フットサルで練習が加わり、厳しいフィードバックが行われたことも、目的の変化によるものでした。同様に、企業や組織においても目的が変われば目標や戦略、仕事の仕方が変わることになります。

今回はフットサルは同期の集まりだが、組織でも「共通の目的」が大切であり、そこを目指せない人は離脱することは自然なことでしょう。

しかしながら、人も組織も目的は変わり続けるものです。自分の目的と組織の目的が完全に一致しなくても良いと考えています。むしろ創業者でもない限り完全に一致することの方が珍しいとすら思います。だから合わないと感じても合わないと感じても、すぐに離脱することはオススメしません。

まずは与えられた仕事に対して、自分で意義や目的を考えてみることです。たとえ、「自分の目的」と「組織の目的」が合わないと感じるような場合でも、まずはトライしてみることです。
そのうえで、「組織の目的」にどうしても共感できない場合は、別の組織に行くというのが、個人にとっても、組織にとってもプラスになるでしょう。そもそも、組織は共通の目的を達成するために複数の人が集まったものです。共通の目的に共感できないのであれば、同じ組織に居る理由はありません。 

拙著でもこのように書きましたが、まずは目の前の仕事の意義や目的を考えてみる、そしてやってみることが大切です。

ただ、やはりどうしても目的に合わないと感じたら、離脱する方が自然でしょう。

そのことを最初に知ったのは知識ではなく、私にとっては休日のフットサルという経験だったのでした。


(ご参考まで)

共通の目的およびそれを自分ごと化してチームで目指すためのOKRについて、詳しく拙著にまとめています。ご興味ある方はお読みください。