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★都市農業ビジネスモデル②「少品種高回転型」#ビジネスモデルと経営戦略

畑会の山田です!
今回は都市農業ビジネスモデルの2つ目「少品種高回転型」について話をします。
少品種高回転型は、読んで字の如く、少ない種類の野菜を、同じ場所で年に何回も育てて収量をあげていきます。
品目としてはトマト、アスパラ、水菜、小松菜、レタスなどがあります。
少品種高回転のメリットとして、ビニールハウスの中で養液栽培が多く、農業ビジネスの課題である自然の変動の影響や除草作業を大幅に減らすことができますし、多品種少量生産に比べ、計画しやすく数字管理するこができるため、より製造業のような経営モデルに近いものとなります。また、高回転することで、狭い農地だとしても大量生産、効率化が可能になり、収益率が大幅にあがります。
それと同時に、地方の大規模の農家のような安売りではなく、一定の品質とブランド力をもつことで単価を上げていく必要があります。
 
今回の少品種高回転型は、内訳の数字が具体的にわからない点、また地域や品目によって初期投資や経費の違いがあるため細かな分析することができませんので、公に公開されている数字だけを紹介することになります。
 
東京だと、例えば関ファームさんが該当します。こまかな収益については分かりませんが、記事を見る限りだと、狭い農地でもかなり収益性が高いようです。
参考記事:https://www.nochubank.or.jp/efforts/report/2017/mirai/

こういったタイプのビジネスモデルの農家さんは、全国にも事例があり、毎年特集される週刊ダイヤモンドの「儲かる農業」の小規模農家ランキングで、毎回上位に載ってきます。
その内のいくつかをご紹介します。
 
A-noker(ええのうかー) HP : http://a-noker.com/
・生産品目:アスパラガス
・生産地:佐賀県藤津郡
・各数値:0.3ha、売上1500万円、利益率50%、基本1人栽培。
・栽培や特徴:ビニールハウス内で、太良町特産のカニやカキの殻を原料に有機肥料を使った栽培
・販売先:顧客は個人のネット販売、高級飲食店など。
・今後、生産予測栽培システムや収穫ロボットの導入予定で、さらなる効率化を図る

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キノシタファーム HP:https://kinoshitafarm.com/amamade/
・生産品目:ミニトマト(それ以外に水菜など)
・生産地:大阪市和泉市
・各数値:0.5haのトマト栽培で売上3000万円近い売上(全体では1haで3500万円)、キロ1,200円
・栽培や特徴など:ビニールハウスで袋の中に苗を直接植えて栽培するバッグ栽培。バッグ栽培では、年間を通じて安定した収量、質を確保できる。そのメリットを活かして利益率が高い。
・販売先:大手ホテルや百貨店への販路を開拓、個人販売や観光農園の部分もある

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小島敬久さん 参考記事:https://agrijournal.jp/production/48939/
・生産品目:フリルレタス、ルッコラなど葉物がメイン、最近ではイチゴも
・生産地:京都府亀岡市
・各数値:0.25ha、売上2200万円、利益率50%、新規就農5年目
・栽培や特徴など:ビニールハウス内での水耕栽培、土地柄として京野菜のブランド力があるにも関わらず、あえて溶液栽培で新種の野菜を作る。京都府「4Hクラブ」の会長

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細かな情報がない部分が多いので、一概にすべてが参考になるかは分かりませんが、全体的な数字を見る限りだと、東京の狭い農地だとしてもできるモデルです。溶液栽培であることも含めると地域ごとの差も比較的少なく、設備資金があれば始めること自体は可能です。
そして、このモデルの型にも課題があります。

課題
・初期投資が他のビジネスモデルに比べ最も高い
・ブランド力か品質などがしっかり認知される必要がある(品種、産地、個人ブランドなど)
・栽培のための技術の修得や生産データなどが必要となる
・販路先が限られるため、販売先が潰れたりすると売上が大きく変動する

などがあります。
この少品種高回転型は、資本があるだけでは厳しく、しっかりとした生産技術の習得があってこそ成り立つため、前もっての研修や情報、準備などが必要となってきますので、一部の人のみの可能なビジネスモデルになりますが、参入障壁が高い分、モデルが構築できた場合にはかなり優位なポジションに付けるようになります。

今回は以上です!
次回は、体験農園型です。このモデルが都市農業において最も取り組みやすいモデルだと思います。

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