見出し画像

展示「Now&Then」を終えて

こんにちは。takutoと申します。長野県で趣味で写真を撮っています。
今回はフォトブックをご購入いただきありがとうございます。

はじめに

昨年、初めて写真展というものを開き、今回フォトブックを販売することとなり、せっかくなので自分がどんな考えで写真を撮っているのか、ということを知ってもらいたいと思い、現在このnoteを書くに至っています。有難いことに昨年開いた展示に行けなかったという方から、フォトブックが欲しいという要望をいただいたこと、また自身初となる写真展の振返りをしたいなと思ったことから、今回フォトブックを作成し、販売するという形になりました。

画像5

展示についてですが、昨年の10月から11月にかけて、地元の長野県大町市で行いました。そもそも何故急に展示をやろうと思ったのかというと、人伝で知り合ったギャラリーのオーナーさんから「写真を撮ってるなら、展示をしてみない?」という誘いをいただいたことがキッカケでした。ただ自分自身あまり写真展に行ったこともなく、よく分かってない中で展示をすることに少なからずためらいがありました。そんな軽い気持ちで展示というものをやっていいのかと。ですがいろいろ悩んでやらないよりも、とりあえず一回経験してみたほうが、今後写真を撮ることを続けていく上でプラスになると思ったので、展示を行うことを決意しました。

今回の展示をするにあたり、テーマを考えている中で、どんな写真を撮りたいのか、何を伝えたいのか、ということを改めて考えてみました。せっかくなので僕自身の考えも知ってほしいと思い、展示の時に置いたノートにも書いていたのですが、改めてここに書かせていただきます。以下、だいぶ長くなるので、時間があるときに読むか、興味のある項目だけ読んでいただければと思います。笑


1.写真に深く向き合うことになったキッカケ

画像5

カメラというものに興味を持ち一眼レフカメラを買ったのは大学生の時でした。買ったキッカケも星空を撮ってみたい、というありきたりな理由だったと思います。ただ旅行とかの時にカメラで写真を撮ることはあっても、当時はまだアクセサリー的な側面が強く、あまり考えずにただ漠然と撮影してる期間が長かったように思います。そこから三年前の夏、県内で写真を撮っている人とたくさん知り合い、写真を撮るために出かけることが増えました。ただこの時もどちらかというと、同じ趣味を持つ友人が増えたことが嬉しくて、遊ぶことがメインになっていたような気がします。

前段が少し長くなりましたが、そんな中、二年前の夏に写真というものと深く向き合うキッカケになった出来事が2つありました。

1つは以前からSNSでやり取りさせていただいていた、被写体の方を撮影させていただいたことです。とても魅力的な方で、良い写真を撮ろうと考えていたのですが、結果としてその日は良い写真を撮ることは出来ませんでした。原因は明確で、自分の力不足、準備不足でした。撮影の技術もさることながら、考え方がまだ定まっていなく、何を撮りたいのか、何のために撮るのか、そんな当たり前の事を自身の意思として表示出来ないという事実を突きつけられました。また、その日には彼女の被写体としての考え方や、今まで関わってきたカメラマンの話を聞き、改めていかに自分が漠然と写真を撮っていたのか、ということに気付かされました。後で考えると、この日を境に「表現」としての写真を意識するようになったのだと思います。

もう1つはとある写真を撮っている方と話す機会があったことです。写真を撮ることが上手くなりたいと思うだけで、あまり具体的な行動を起こしていなかった(行動を起こしていない事もあまり認識していなかった)自分にとって、その方との話の中で理解できない、話についていけていないと感じる部分が多く、自分がカメラ、また写真というものに対してあまりにも無知であるということを実感しました。「知らない」のと、「知ったうえで選択しない」のでは、とても差があるなと感じたので、その日から出来る限り知識を付けて、出来ることの選択肢を増やしていこうと考えるようになりました。

この二つのキッカケにより、ただ漠然と撮影するのではなく、真剣に写真と向き合おう、趣味だけど本気でやろう、と考えるようになりました。


2.写真展のテーマ「Now&Then」に込めた思いについて

画像4

前述のとおり、写真というものにより深く向き合う上で、まず考えたのは新しいカメラを買うことでした。もちろん良い機材を買えば良い写真が撮れるようになるという、単純な話だとは微塵も思っていませんが、これまでフィルムカメラをメインに写真を撮ってきた中で、まずデジタルでの撮影にちゃんと向き合うことから始めなければいけないなと思い、新しいカメラを買うことを決意しました。また簡単に出せる額ではない金額のカメラを買うことで、ある意味逃げられない状況を作った、という意味合いもあったと思います。一昨年の12月に新しいフルサイズのカメラと、50㎜の単焦点レンズを1本買い、それで写真を撮り続けています。今回、展示している写真はそのカメラを買ってから撮った写真です。(フォトブックの写真も一部レンズは異なりますが、このカメラで撮った写真のみです)

また前段が長くなりましたが、「then」という言葉には、過去の方向を見て「あの時」、未来の方向を見て「それから」、という全く逆方向を示した意味があります。この時展示した写真は、写真に真剣に取り組もうと決め、新しいカメラを買ってから、試行錯誤を繰り返してきた自分の現在地(now)であり、ここまで辿り着くまでのその時々(then)を振り返っています。併せてこの展示を新たなキッカケとして、この先自分が写真というものにどのように向き合っていくのか、展示を終えた後のこと(then)も含めて考えていきたいという思いから、このテーマを設定しました。

12月の冬の写真に始まり、桜などの春の写真を経て、秋目前までの約9ヶ月間で撮影した写真になりますが、本当に試行錯誤しながら撮っていたので、そのあたりも感じてもらえたら嬉しいです。


3.フィルムカメラで撮影した写真を展示しなかった理由

画像3

先程も書きましたが今回の写真展では、新しく買ったデジタルカメラで撮影した写真のみを展示しました。以前から自分の写真を見てくれている方であれば、フィルムカメラで撮影してるイメージが強く、「フィルムで撮った写真も展示すればいいのに」と、もしかしたら違和感を感じたかもしれません。何故デジタルで撮影した写真にこだわったのか、さらに言えば何故デジタルでの撮影にちゃんと向き合おうと思ったのかというと、フィルムカメラは良くも悪くも、"良く"写り過ぎてしまうな、とある時から考えるようになったからです。

私は現在、フィルムカメラでは「CONTAX Aria」と「PENTAX SPF」というカメラを所有しています。どちらも素晴らしいカメラであり、レンズの描写も含め非常に愛着の強いカメラで、今後ずっと持ち続けていきたいと思っているカメラでもあります。ですが素晴らしいカメラであるが故に、ある意味あまり考えずに撮っても、良く見える写真が撮れてしまう、そのことに危機感を覚えました。もちろんフィルム独特の質感は大好きですし、それでしかできない表現というものはあると思います。また、フィルムが存在し続ける限り、撮り続けていきたいと思っています。ですが、まだ写真が上手くはない自分が、フィルムの良いところに頼って、なんとなく上手く撮れているという状況に甘んじてはいけないなと思い、デジタルでの撮影に向き合うことにしました。

その意味で今回の展示では、「なんとなく撮れた良い写真」ではなく、「自身で考え試行錯誤した結果撮れた良い写真」を展示しました。もちろんフィルムカメラで撮影した写真でも、「なんとなく良い」ではない写真はたくさんあります。ですが今回は前述のとおり、自分がデジタルに向き合ってからの過程も展示のテーマとしたかったので、フィルムカメラで撮影した写真は今回は一旦脇に置いておくことにしました。ちゃんと向き合い始める前はデジタルで撮影した写真については全く自信が無かったのですが、カメラを買い、試行錯誤を繰り返していく中で、展示してもいいなと思える写真をデジタルでも撮れるようになりました。このことが何よりも嬉しく、撮影を続けるモチベーションにつながっている部分でもあります。


4.どんな写真を撮りたいのか

画像2

改めて自分はどんな写真を撮りたいのかということを考えてみると、少し言語化が難しいのですが、「人の感情をプラスの方向に動かせるような写真」を撮りたいのだと思います。プラスの感情、というと曖昧な言葉かもしれませんが、例えば写真を見て「綺麗だな」とか「ここに行ってみたい」とか、そんなある意味当たり前なことを感じてもらえる写真が撮れればいいなと考えています。曲がりなりにも二十数年生きてきて、この世界はやるせないことがたくさんあるなと感じています。そんな世界でも素敵だと思えること、綺麗だと思えることはたくさんある、ということを自分の写真を通して伝えられたらいいなと思っています。この世界がキラキラしていて、楽しいことばかりの世界だと、僕は言えないし、そうも思えません。

【辛いことや切ないことがたくさんあるけれど、
 それらを忘れるくらい素敵なこと、綺麗なものがたくさんある、
 それならまあ生きてみるのも悪くないじゃん?】

これが僕自身の生き方であり、写真に対するスタンスなのだと思います。表現が正しいかは分かりませんが、いわゆる「エモい」と言われる写真や、生々しい写真など、人の感情を揺さぶる写真は確かに存在し、それらに憧れる気持ちも若干あるのが正直なところです。ただ自分の撮る写真はもっと静かで落ち着いていたいと思っていて、なんとなく生きずらいなと思っている人に寄り添える写真でありたいと思っています。


終わりに

今回ありがたいことに自身の写真を展示をする機会をいただきました。知らないこと、足りないことがたくさんあると自分で嫌というほどわかっていましたが、冒頭にも書いたようにあれこれ悩んでやらないくらいなら、とりあえずやってみよう、という気持ちで展示を行いました。反省点、改善点はたくさんありましたが、やはりやってみて良かったなと思います。SNSにアップするだけが写真の楽しみ方、表現の仕方ではないな、と再認識できたのも展示をやってよかったと感じる部分です。展示に来ていただいた方々、またフォトブックを見てくださった方々の感情が、少しでもプラスの方向に動いていれば嬉しいです。とても長くなってしまいましたが、お付き合いいただきありがとございました。これからもよろしくお願いします◎

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?