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#3 『最強に美味しいご飯の炊き方』


ご飯くらい誰でも炊けるよー
なんて思っていませんか。

料理初心者で正しいご飯の炊き方を覚えたいという方はもちろんですが、もう自分は炊けると思っている方もこの機会に今一度、ご飯を美味しく正しく炊くポイントやコツ、炊飯の基本を見直されてみてはいかがでしょうか。

お米の炊き方なんて尋ねたらバカにされそうで、なかなか他人には聞けないというプライドも影響しているかもしれませんが、かつて大型レストランの料理長として僕が部下やスタッフを指導していた際にはそれなりに長い期間、料理を本職としてきた者にも関わらず、正しいお米の炊き方を理解できていない人が少なからずいたことにショックを受けたものです。

でも、この講座で紹介している内容をしっかり読んで日々実行すれば、ご飯の炊き方については完璧であると僕が保証します。完全にマスターしているつもりの人でも案外、初めて知る情報が含まれているかも知れませんよ。

どんなに美味しく凝ったおかずを作れたって主食である米が美味しくないと全て台無しです。ほぼ毎日のように食べるからこそ、まず何よりも初めに最強に美味しいご飯を炊けるようになっておきましょう!

① 米の種類と選び方

お米には数多くの品種やブランドがあり、それぞれに食感や味わい、粒の大きさや形状など特徴があります。

ただ僕もお米マニアではないので正直そこまで数多くの品種について詳しい知識を持っているわけではありません。もっと深く徹底的に学びたい方はお米の図鑑でもご覧いただくとして、ここでは僕が最低限おさえておくべきだと思う品種を個人的なおすすめ順にご紹介しておきます。

【最低限おさえておきたい美味しいお米7選】

1. 新潟県産 コシヒカリ
日本を代表するブランド米。口に含んだ時の粘り具合と炊き上がりの香りが非常に良く、噛めば噛むほどに甘味があふれてきます。
2. 北海道産 ゆめぴりか
日本人が好むねっとりもっちりとした食感と甘さが特徴。冷めてもほとんど味が落ちないので、お弁当やおにぎりなどにも最適です。
3. 山形県産 つや姫
甘みや旨味が強く、艶があって粒が揃っています。もっちりとした強い弾力がありながらも味わいとしてはあっさり系のお米です。
4. 岩手県産 ひとめぼれ
ソフトな味わいと優しい食感が特徴。粘り、艶、旨味、香りのトータルバランスが良く、特に和食との相性が抜群です。
5. 北海道産 ななつぼし
もっちりし過ぎず程よい粘りと艶であらゆるジャンルの料理と合います。特に女性や子どもから人気があり価格もリーズナブルで普段使いには最適です。
6. 秋田県産 あきたこまち
粘りがあり、ふっくら。炊きあがりの光沢、香りも良く、固くなりにくいため、お弁当などにも最適です。少し長めに水に浸すのがおすすめ。
7. 佐賀県産 さがびより
比較的、固めであっさりした味わい。粒が大きく、しっかりと弾力があり、食べ応えがあります。カレーライスやリゾットなどにおすすめ。


お米を購入する際に注意すべき点はパッケージに『コシヒカリ』や『あきたこまち』と表示されていても、その産地によって品質は別物だということです。

特に生活応援米お徳用米と名付けられた産地や品種が曖昧な商品や基本的に価格が相場よりも圧倒的に安い米には、それ相応の品質上の理由があると考えたほうが賢明でしょう。

もちろん毎日のように消費するものだからこそ高価なものばかりを選ぶわけにはいきませんので、ご自身の予算圏内の米を色々と試してベストなものを見つければ良いかと思います。

安い輸入米でもそこそこ美味しい商品はありますし、複数の品種や産地をミックスしたブレンド米と呼ばれるものの中にも自分好みの商品が見つかるかもしれません。

ですが、必ず一度は上記に紹介しているような日本の誇る高品質のブランド米を以下の正しい炊き方で食べてみてください。きっとお米に対する考え方が根本的に変わるほど大きな衝撃を受けられることと思います。


② 米の洗い方

は今ほど精米の技術が高くなく水が濁らなくなるまでしっかりと洗う必要があったため、お米を洗うことを【とぐ研ぐ)】と表現し、今もその名残が残っていますが最近のお米は高度な精米の後に加熱乾燥させた柔らかいものがほとんどですので何度も強くといでいると米自体がつぶれてしまう恐れがあります。

たまに手が濡れるのを避けたいのか、熟れた感じが格好いいと思っているのか金属製の泡立て器を使って米を洗っている人を見かけたりしますが、これも米をつぶす原因となります

シリコン製の泡立て器なら金属製ほどの心配はないかもしれませんが、やはり力加減の調整が難しいので、お米は原則的に手を使ってやさしく洗うように心がけましょう。

【米を洗うときの正しい手順】
1. ボウルに一気に水を張り、最初はすぐに捨てる
米をボウルに入れ、たっぷりの水を一気に入れたら手早くひと混ぜして、すぐに水を捨てる。最初の一番汚い水を米が吸収しないように、できるだけ素早く水を入れ、すぐに捨てるのがコツ。

2. 一度だけ手で揉み洗いする。
次に米がぎりぎり浸る程度の水を入れ、手のひらで何度もやさしく握るようにして全体を均等に洗う。力を入れずぎて粒を潰さないよう注意。

3. 水が透明になるまで水を替える。
一度だけ洗ったら、もう後は洗う必要はないので、ひたすら透明になるまで水の交換を繰り返す。

4. ザルで水をきる。
水がほぼ透明になったら米を一度ザルにあげて水をきる。洗った水には米から落ちたぬかが混じっているので面倒でも一旦それを完全に捨てきることで味や香りの良いご飯になります。


③ 米の炊き方

ザルで水を切った米を炊飯器の窯に入れ、米の量に対応した目盛りに合わせて冷水を注ぎます

ここですぐにはスイッチを押さず約30分間、静かに放置してから炊飯器のスイッチを入れます。

水に浸したまま放置し、お米に予め吸水させておいてから炊き始めることで仕上がりがふっくらします。


④ 米の仕上げ方

お米が炊きあがった直後の時点では、まだ芯まで完全に火が通っていません。ここから余熱でゆっくりと火を通す『蒸らし』という過程を経ることで芯まで柔らかくなり、旨味や甘味が倍増していくことになります。

蒸らし時間の目安は約10分
炊きあがりから10分が経過するまでは炊飯器の蓋は開けることなく放置しておきます。

10分経ったら炊飯器の蓋を開け、しゃもじを使って中身のご飯を十字に切り、全体を底から返すようにやさしくかき混ぜます。熱い蒸気が立ちますが手を火傷しないように気をつけてください。

かき混ぜるのは蒸らしの過程でご飯粒の表面に溜まっていた余分な水滴を飛ばすためで、この水滴を飛ばしておかないとその後も蒸らしが進行し、炊飯器底の方の米がネチネチしてきますので、必ず底の方からふんわりとかき混ぜることを忘れないようにしましょう。

なお、あまり激しくかき混ぜるとご飯粒が擦り潰れますので、軽くダマになるような感じで構いませんので、あくまでふんわりとほぐすようにしてください。

これで、ふっくらもっちり『最強に美味しいご飯』の完成です!


⑤ 鍋でご飯を炊いてみる

初めに言っておきますが鍋でご飯を炊くこと自体は全く難しくありません
すごく簡単でしかも短時間で炊ける上、炊飯器を使うのをやめてしまう人が大量発生するほど抜群に美味しいです。

僕はイタリアに住んでいた頃、家に炊飯器が無かったのでほぼ毎日でご飯を炊いていました。イタリアでは米も野菜の一種だと考えられていますので、米を炊くという行為は『野菜を茹でて蒸す』のと同じことなのです。

【鍋でご飯を炊く方法】
1. 蓋付きの鍋を用意。(蓋と深さがあればフライパンでも可)
2. 電子スケールで米の重さを計る。(ちなみに1合は150gです)
3. 米を洗う。(洗い方は炊飯器のときと全く同じです)
4. 米をに入れ、米の重さ×1.2倍量の水を入れる。
5. そのまま約30分間放置して吸水させる。
6. 強火にかけ、完全に沸騰したらに蓋をする。
7. 極弱火にして10分間、静かにコトコト煮る。
8. 火だけを止め、蓋をしたまま15分間放置する。
9. 蓋を開け、底からかき混ぜてほぐしたら完成。

僕は上記の方法で炊いていましたが好みの硬さに応じて、水の量を増減してください。ちなみに僕はやや硬めが好きなので、やわらかモチモチ系が好みの方は水の量を1.3~1.5倍程度に増やすと良いかもしれません。

災害などで電気やガスが急に使えなくなった時、カセットコンロさえあれば米を炊けるという知識や技術は大変役立つことと思います。
家族が困り果てている中、パッとやってのけたらとても心強いですよね。

この機会にぜひ実践して覚えておいてください


⑥ 炊飯の知識に関する補足

家庭用炊飯器のおすすめ商品を聞かれることもありますが、これがなかなかベストな回答が難しいです。いわゆる家電製品包丁などの道具類とは違って家族構成や日常的な使用容量、重視する最低限の機能や最新性能へのこだわり、デザインからカラーまで選ぶ基準が人によって千差万別。しかも商品自体が年々進化していきますのでおすすめを絞りにくいのです。

ちなみに僕が今、自宅で使用している炊飯器は以下です。

【僕が自宅で実際に使用している炊飯器】
パナソニック 炊飯器 5.5合 スチーム&可変圧力IH式 Wおどり炊き ブラック SR-VSX109-K
我が家は嫁と中学生の息子の3人暮らしで量も結構食べる方です。味は間違いなく美味しく炊けますし、今のところ不満は一切ありません。デザインやサイズ感なども気に入っています。あくまでご参考程度に。

・同じ米でも無洗米と書かれた商品が出回っています。これは読んで字の如く『洗わずに炊けるお米』のことです。洗う必要がないとのことですが僕は水を入れて軽くかき混ぜ、サッと捨てるという洗米の最初の工程だけは無洗米であってもすべきだと考えています。

そのまま炊いても健康上は無害かもしれませんが、炊きあがった米が少し黄色っぽかったり、小さな虫が中に紛れ込んでいたりしたら気持ち悪いですからね。

一度だけ洗って水を何回か交換する』という調理工程の一部を省略できる代わりに普通の米よりも割高になっている商品と考え、その方が良い方は無洗米を選んでも何の問題もありません。無洗米のほうが製法上、栄養素や旨味成分は多く米に残っているそうです。

・その年度に収穫された全ての米は『新米』と呼ばれて区別されています。米の年度とは毎年11月から翌年の10月末日までのことで、その期間内に穫れたものは『新米』、それ以降になると『古米』ということになります。

ただ多くの店頭では収穫から1~2ヶ月くらいまでの期間を『新米』としてアピールしているみたいです。収穫されたばかりの米は水分含有量が多いため、普通よりも1割くらい水の量を減らしたほうが美味しく炊くことができます

要は年末頃に新米と表示のある米を購入したときは水を本来の目盛りよりもやや少なめにして炊くと覚えておきましょう。


⑦ 米の保存について

炊飯器の中で米を保温しておけるのは最大24時間程度です。

食べる上で問題がなくても味や品質は時間を経るごとに確実に劣化していきます。保温で美味しさが保たれているのは、せいぜい12時間程度までと考え、できるだけ早めに食べ切ってしまいましょう。

・もしご飯が余ってしまった時は、茶碗一杯分をラップの上にできるだけ平らにのばして包み込み、常温で少し置いて粗熱が取れたら冷凍庫に入れて保存します。平らにすることですばやく均一に冷凍でき、解凍も短時間でできます。

解凍するときはラップのまま電子レンジに入れ、600Wの場合で2~3分加熱すればOK。様子を見ながら途中で裏表を返すことで、より偏りなく温められます。

確かに炊きたてに比べると大きく味は落ちますが、例えばチャーハンやお茶漬けなどに利用するのであれば全く気にならないレベルの品質を保持できます。


⑧ 要点まとめ

・ 米は信頼できるブランドのものを選ぼう。
・ 正しい方法で素早く、やさしく洗うこと。
・ 慌てず吸水と蒸らしの時間をしっかりとる。
・ 鍋でもご飯を炊けるようになっておくべき。
・ 無洗米は少しの手間が省ける代わりに割高。
・ 年末頃に出回る新米は水の量を少なめに。
・ 炊飯器で保温できるのは最大24時間くらい。
・ 余ったご飯は平らに広げ、ラップして冷凍。

※内容にご意見ご質問等ございましたらお気軽にコメントくださいませ。

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