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株式会社WellWay。産業医・労働衛生コンサルタントとして活動。 noteでは、これ…

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株式会社WellWay。産業医・労働衛生コンサルタントとして活動。 noteでは、これまでの個人的経験(n=1)を基に、内省・自叙的なことを中心に綴って参ります。

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はじめに

私は、医師としてのキャリアを初期臨床研修以外のすべてを産業医として産業保健に費やしてきました。 産業保健における産業医の役割は多岐にわたり、「産業医とはこうあるべき」という考え方も多様になっています。 それもそのはず、産業保健に求められる役割、産業保健が提供すべき価値は時代や産業の変遷に伴って絶えず変化すること。また産業保健として関わる企業・組織の文化や、展開する事業や活動によっても変化するからです。 それでも基本の「型」のようなものはあり、そういったものを学ばなければ

    • 教育・研修の評価とPDCA

      教育と研修の目的産業保健活動の中で、労働衛生教育や健康教育、その他企業における必要な教育研修を担うことがあります。 教育や研修の目的は、情報を提供することで関心を引くことや、知識を身に着けてもらうこと、あるいは教育・研修をきっかけに行動を変えてもらうことで実施者が狙う”ありたい姿”に近づけようとするものです。 しかしながら、私自身、専門職として”これを知っておいてほしい””これを分かって欲しい”という思いに留まった研修を繰り返してきた節もあり、反省しています。なので、教育・研

      • 目標の転換で前に進む

         産業医として実務を行っていると、得てして職場における様々な”問題”に対応することになるし、産業保健業務の構造・仕組み・体制などについても”問題”が山積みであることも少なくないのでその対応も必要になります。そんなときに必要な”目標の転換”について思うことを綴りたいと思います。 問題解決の手法 「問題解決」のフレームワークでは、”なぜなぜ分析”などによる問題背景の掘り下げや、”4M5E分析(又は4M4E分析)”などによる網羅的な分類と解決策検討などの手法が用いられることがあり

        • 産業医に求められがちなことを超えてゆけ

           なんだか、エッジの効いたタイトルになってしまいましたが、そんなにイキる話ではありません。「産業医」という職種や役割があまりに知られていないために生じるすれ違いと、それに対処することの大切さについて、自分が感じているままに綴ります。  産業医は、産業医である前に「医師」ということで多くの方に「お医者さん」と認識されます。会社のどの階層にもそういう認識を持っておられる方が多く、特に産業医として関わりを持つ初期段階の企業においては、経営者や人事担当者を含む殆どの人に「病気のこと

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        はじめに

          就業上の配慮は産業医一人で抱えない

          これは私の経験に基づく問題意識ですが、一律にそうであるという主張ではありませんのであらかじめ。 産業医の役割のひとつとして、「就業上の配慮についての意見を述べる」という要素があります。俗に就業判定と言ったりもします。しかし、これには相当に重たい判断を伴うということを心得ておく必要があります。 まず、労働者(被雇用者)と事業者(雇用者)の間には、労働契約(雇用契約)があります。また、多くの企業ではその企業が労働者に求めるルールとして、就業規則を設けています。労働者はこれらの

          就業上の配慮は産業医一人で抱えない

          臨床マインドだと、産業医の仕事が難しく感じるワケ

           産業医として働きながら、医師会等が提供する産業医研修の講師を担当すると、もともと臨床を専門とする先生方から産業医として働くうえでの悩み事や困りごとについて相談を受けることがあります。  その中でも結構多いのが、「産業医の仕事って難しいよね...」「産業医って大変だね...」という文脈です。何故、難しいと感じるのか。彼らの話を掘り下げていくといくつか見えてきたことがあるので、紹介してみたいと思います。 1:臨床医の役割と産業医の役割は違う  名称が違うのだから当たり前とい

          臨床マインドだと、産業医の仕事が難しく感じるワケ