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コロナ状況下における対策アイテムのアジャイル開発事例

・パートナー企業の石川樹脂工業と互いのスキルを持ち寄ってコロナ対策アイテムをアジャイル的に開発。量産の仕組みだろうがPDCAを高速回転。
・3ヶ月で3アイテムを製品化(フェースガード・ドアオープナー・マスクフレーム)
・各アイテム1〜2ヶ月で金型から量産まで行った。
・すぐ作って、顧客の声を聞き、新たな課題が見つかれば即修正。


石川樹脂とseccaは4年の付き合いの中で70種以上のアイテムを共にカタチにしてきたことで、あうんの呼吸で開発を進める連携体制を築きあげてきた。
実はこういう関係ってとても大切。自分たちでできることには限界があるし、開発を進めるスピードは会話の回数が少ない中で精度の高い会話ができることが重要だからだ。

これまで石川樹脂とはPlakira(プラキラ)やARAS(エイラス)といった自社ブランドで食器類を中心に共に開発をしてきたが、今年の2月に入って国内でもコロナウィルスの影響が拡がり、目前に抱える社会全体の課題を解決できるアイデアの内、我々にできる事であればジャンルを問わずどんどんカタチにしようという方針に切り替えた。

その1:フェイスシールド
まず、3月に入って当時明らかに不足していたフェイスシールドの開発に着手した。先陣を切って製造販売の舵を切ってくれた石川樹脂の石川専務がこうしたプロダクトこそ安く広く届けるべきだと主張してくれた。それは同じようなプロダクトがこの状況下で高く販売されていることへの違和感と反感があったこともある。私たちもそれに同意し早速開発に着手した。
1週間でデザインを完成させ、1週間で型の製作から試作まで漕ぎ着けて、すぐに1日2000枚作れる体制を整えた。量産と販路の整備を石川樹脂で行っている間に、seccaが説明書や説明動画を制作するといった連携で、販売まで毎日のようにやり取りをしていた。
我々が想定していたのは医療に従事する方を中心とした施設で衛生管理上頻繁に新しい物に切り替えなければならず毎日大量に使用する必要のある方々だった。当時3Dプリンターで製作している方もいたが、それではこの数の需要に応えきれないだろうという見解から安価に量産できることを重要視した方法を選択した。
結果想定していた通り万単位のオーダーに応えることになった。
狙い通り市場価格を大幅に下げ、私たちが開発した商品以外にも安価に買える選択肢が世の中に拡がった。

また、この時コロナに対する適切な対処方法に関する情報もそれこそ毎日のように更新されていたため、毎週のように形状や構造のアップデートを繰り返し対応した。

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その2:ドアオープナー
コロナウィルスの感染ルートの中で、不特定多数の人が触れる場所から感染するケースが多数報告された事を受けてドアノブやエレベーターのボタンなどに直接触れなくとも操作できるツールを開発した。
こちらも1週間で形状検証して試作してすぐに関係のあるホテル事業者と実地検証するなどし、テンポ良く開発を進めていった。
石川樹脂でフェイスシールドで確立した販路整備を同様に進め、我々が説明書や簡易パッケージを進めるといった連携もさらにスピードを高め、こちらも万単位の数に即対応した。

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その3:マスクフレーム
初夏に入り気温が高まると、マスクフレームの開発に着手した。

マスク着用が定着した状態だったが、気温が上がるにつれ、身体を動かすような仕事をされている方の暑くて息苦しいという声だったり、女性にとってマスクの蒸れやスレで化粧崩れや肌トラブルの原因となっていたりと、日常を過ごす中で感染対策が億劫なものになりつつある時に、それに対する解決が求められていると感じたため開発するに至った。

マスクの境界線で肌の間に空間を開けてはいけないが、マスク裏面が口に密着している状態は緩和し、かつ視覚的にも自然に見えるような形状を針金を使って何度も試作して方向性を導き出し、すぐに3Dデータで具体的な形状を詰めていった。この頃には開発スピードもさらに高まり、金型を用いた成型品でありながらも開発に着手して金型製作を入れても2ヶ月で製品化しAmazonに投下することができた。

発売直後つづけて子どもや顔の小さな女性向けにサイズ展開も行った。
これは石川樹脂が金型の制作から成形まで一貫した設備と技術を保有していて、量産のイロハを熟知しているseccaの連携があってこそできた開発速度だと自負している。

今回は世界的な非常事態に直面した状況で、普段の仕事の中で培った技量やパートナーとの繋がりの中から自分たちにできることをしようと、このような製品開発を行ったが、それがきっかけとなり、結果的にいち早く必要な物を必要な時に世に届けるノウハウを少なからず見出すことができた。これから先「例年通り」といったことが稀となり、非常な状況が訪れることがむしろ常となった時に備え、いかにアジャイル的にプロダクト開発を行うかが鍵となると強く感じている。ただし、こうした取り組みは決してseccaだけでは遂行できないし、今回は石川樹脂の意識と技術と行動力があってこそ実現できたと事例といえる。今回の経験を糧に石川樹脂に限らず同じような意識を持った事業者と協力して、世の問いに応えていきたい。

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