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読書備忘録:「沢庵」 水上勉著 中公文庫

こんにちは。

自身の備忘録もかねて、読書中に印象的だった部分をnoteに記録していこうと思います。

さっそくですが今読んでいる本はこちら

「沢庵」 水上勉著 中公文庫

本屋に行った時にたまたま見つけた本です。
以前、沢庵和尚の「不動智神妙録」を読むなど気になっていた人物だったので即買いしてしまいました(笑)

印象に残ったシーンはこちら

小京都と呼ばれた閑境で、主君宗詮が礎いた平穏境も、風で散った露に似ていた。父も母もその無常の風の中にある。ならば、この世に普遍のものは何か。生きる以上はそれをつかみとらればならぬ。不変なるもの、永遠なるもの。それさえつかめば無常流転のこの世はいささかもこわくない。仏典をよみ、写経を映していた沢庵に「無常を悟る」ことこそ「不変なもの」とする目が宿って不思議はなかった。

水上勉(1997)「沢庵」中公文庫 25Pより

沢庵の少年期に起きた出来事を紹介しつつ、どんな問題意識を持っていたのか?を語るシーン。

このシーンを通して自身の中にあった無意識の問題意識、無意識に自分が解決したかった祈りのようなものを感じたので印象に残った。ただの気づきというよりかは、感情を伴う心の奥底から欲している問題意識のようなものだ。

私は幼少~学生時代にかけて、自分自身の心が条件によって変わることに困っていた。当時の私はコロコロ変わる心の動き、特に不安や恐怖の感情をどう対処すればよいのかわからず対処できない自分を「弱い」と思っていた。

「弱い」からこそ「強く」なりたい。
では「強さ」とは何か?それはどんな条件状況でも揺るがない心、違う言葉で言えば「不動の心」ではないか?そう思っていました。そしてそれを強く欲していました。

「強さ」に対する追及は続き、自己実現、起業、サムライ、悟りなどに問題意識がいくのですが「不変なものそれさえつかめば無常流転のこの世はいささかもこわくない。」という部分は、表現は違えど私自身の中にあった言葉にできない問題意識を表現してくれている感じがして、とても共感したのがあり印象に残りました。

話は変わりますが、今の時代を表す言葉としてVUCAという言葉があります。簡単に言えば変化が激しいので未来の予測が難しくなるということです。

では変化の激しい時代に住む私たちは一体どう対応すべきなのか?
それは変化を生み出す不変を悟ることこそ、本質的ですがもっとも必要な問題意識でもあると思っています。

よって、今日紹介したシーンと、私が持つ問題意識というのは、今の時代を生きる多くの人たちにも実は意味のあるメッセージだなと思っています。

みなさまはどう思いますか?

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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