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影響力の法則について(8)

とある出版社から企画に関する依頼が来た。

近年、電子書籍を先駆けて開始した国内書店より、出版社へコンテンツの提供を要求されたことが発端だ。

まず市場を調査したところ、電子書籍の利用ニーズは通勤途中が最も高く、セグメントは20代から40代のサラリーマンであることがわかった。よってコンセプトは気軽に読めるコミックとした。選んだものは単行本として10巻以上続いている長編コミックであり、20代から40代の幅広い世代に親しまれている作品だ。

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だがこの商品選定には問題がある。市場に出回っている在庫数は15万部程度、大部分が店頭在庫として多くの書店が抱えている状況だ。つまり電子書籍の販売を開始すれば、市場に出回っている紙の書籍は売れ残ってしまい、販売委託制度によって大量の在庫を出版社が引き取ることになる。

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これについて出版社は、マーケティングプランに以下のような要求事項を付け加えた。

「電子書籍の売り上げに悪影響を出さずに、紙の書籍の在庫も完売できること」

さっそく私は、次回の役員会で具体的な施策を提示することとなった。

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