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【コラム】中国マーダー・ミステリー・ゲーム・スペース訪問記

青いスウェード調のカーテンとシャンデリアで飾られたヨーロッパの王宮風の部屋、座椅子と浮世絵で日本的な雰囲気を演出している部屋、毛筆の書が掛けられた古代中国風の部屋に、赤い壁紙・カーテンと有名絵画のレプリカで装飾されたゴージャスな洋風の部屋。

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ここMIST推理館にはマーダーミステリーゲームのシナリオのよくあるテーマに合わせて四つの部屋が用意されている。日曜の昼だというのに客は1組しかいない。店員に聞くと、スタッフ数人が展示会に出張しており、人手が足りないので今日はあまり予約を受け入れていないのだと言うが、空き部屋に乱雑に散らかっているメモ用紙や筆記具を見ると、それほど説得力は感じない。

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私は上海でボードゲームイベントShadow Marketが開催された7/12~14の前後に上海・杭州のマーダーミステリーゲーム用スペース3店舗を視察してきた。MISTはその3店舗目だった。

MISTはヨカゲームズ(遊卡卓遊、Yoka Games)が運営するマーダーミステリーゲーム用のプレースペースだ。ヨカゲームズの本社がある杭州に店舗を構えている。平日は1人108元(約1,600円)、週末は118元(約1,800円)でマーダーミステリーゲームを楽しめる。最寄り駅の打鉄関一帯は集合住宅が立ち並んでおり、いかにも中国大都市の郊外という感じがする。

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ヨカゲームズといえば悪名高い『三国殺』が有名なので、あまりいい印象がないという方は多いかもしれないが、中国のマーダーミステリーゲーム業界における貢献度は非常に高い。「謀殺之謎」というマーダーミステリーブランドを早期から展開しており、そのシナリオのひとつは中国のマーダーミステリーブームの火付け役となったと言われているネット配信バラエティー番組「明星大偵探」の第1話に使われている。

ところが、Shadow Marketの主催者Halifaは、MISTはこのブームの本質を体現してはいないという。いわく、このブームの本質は数多くの作者が自分のシナリオをこぞって発表するようになったことにあるという。

確かに、MISTにもヨカゲームズ以外のメーカーが作ったシナリオが多数置かれており、中には個人出版に近いと思われるものもあった。私がMISTに視察に行こうとしていることを伝えると、Halifaは上海の評判が高い2店舗を紹介してくれた。

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